熱砂の策謀家
……ん?“作られた”?…まるで…今のカリム君の様。大らかな性格が消え、横暴な性格に………まるで空っぽの人形にそのまま感情を入れるように。もう少しで何かがわかりそう
寮生「寮の精神にふさわしいかどうかは、魔法力じゃない」
寮生「お前たちはどう思う?俺たちの中で、誰が寮長にふさわしい?」
寮生「そんなの、ジャミル先輩のほうが寮長にふさわしいに決まっている!」
寮生「そうだ。カリム先輩より、ジャミル先輩のほうがスカラビアの寮長にふさわしい!」
寮生「身分ある家の生まれだからって、無能が寮長でいていいわけがない!」
寮生「そうだそうだ!スカラビアに無能な寮長はいらない!」
「スカラビアに無能な寮長はいらない!!!」と、コールを続ける寮生達。
ジャミル君もグリム君もそれを止めようとしている。このままじゃ、カリム君にも気づかれる。でも、何より…………何か、イライラしてきた。
さっきの言葉は何?尊敬しているとか、何だの言っていたのは何だったの。コネと分かった瞬間にこれ?そのコネ自体、カリム君は知っている事実なの?もし、本当に事情があったら?
カリム【あぁ!あいつはいつも俺の側にいてくれた。___あいつだけは、俺を裏切らないでくれたんだ】
従者であるジャミル君の事を、本当に信頼していたカリム君。あの時のカリム君の言葉には…‥‥嘘はない。
監督生「収拾がつかなくなってきた」
グリム「お、おい…これヤバクねぇか……?」
グリム君がツンツンと私の腕を突く。私はグリム君を抱え、そっと下ろす。そして、近くに置いてた金で造られたグラスを握りしめ、騒ぎ立てる寮生達の足元に向かって投げた。
ガッシャーン!という金属と床が接触した音が響く。
「「「!?」」」
「うるさいわよ」
私がそう言うと、シーンと静まる寮生達。エリーゼの方が煩ぇよ…とグリム君が呟いたが、今は気にしていられない。
「鬱陶しく“いらない”“いらない”、バカの一つ覚えた見たく騒ぎたてて……さっき尊敬していたとかは何?コネと分かった瞬間掌返し?」
寮生「で、でもそれは…」
「喋るな、許可してない」
寮生「す、すいません!」
私が厳しくそういうと、反論しようとしていた生徒がシュンと下がる。
グリム君が怖ぇ…という声が聞こえたが、無視する。
「……本気でいらないと言われた人の気持ちが、貴方達にわかるの?今、貴方達がしているのはそういう行為よ。何が本気で尊敬しているだ、この寮に選ばれてよかった、よ……結局口だけだったのね。その程度で、簡単に捨てられるものだったってこと」
私の言葉に寮生たちはどこかハッとした様子で、下を俯く。はぁ、と溜息を吐き、ジャミル君に頭を下げる。
「ごめんなさいね、グラス割っちゃって」
ジャミル「いや…抑えられなかったのは俺の責任だ。此方こそすまない、けがはないか?」
「投げただけだから、怪我はないわ」
【お前の能力を少しは役立たせてみせろよ】
【こんなこともできないのか】
ルシファー家にいたころの嫌な記憶が蘇ってくる。こんな時に出てこないで欲しい。
__「お前達、こんな時間に集まって何をしている」
背後から聞こえてきた声に驚いて全員振り返る。そこにいたのはカリム君だった。
グリム「げげっ、見たかっちまった!」
ジャミル「カ、カリム……!」
カリム「どうやらお前達には昼間の訓練では物足りなかったようだな。
体力が有り余っているらしい。ジャミル!今すぐ寮生を庭に出せ!」
ジャミル「庭へ……?」
カリム「限界まで魔法の特訓をする」
寮生「そんなむちゃくちゃな……!」
グリム「オレ様、すでに疲れが限界なんだゾ~!」
カリム「聞こえなかったのか。早くしろ!」
ジャミル「……わかったよ。お前達、外へ出ろ」
仕方なく、私達は庭へ出ることにした。……あの時、私がグラス何か投げなかったら気付かれなかっただろうか。余計な真似をしてしまった
【無くなった、無くなった】
煩い
【加護の力なくなった】
そんな事、とっくに気付いている。
【無くなったのに、まだそこにいるの?】
…………煩い。
寮生達が庭に出る中、私は立ち止まった。脳裏で幼い私の声が響く。やめて、今…その言葉は聞きたくない。だって、それも認めちゃったら‥‥‥私は本当に…。
カリム「おい、エリーゼ、お前も早く外へ‥‥………………」
カリム君が目の前に来たことが分かる。あ、駄目だ、早く歩かないと…。
また機嫌を損ねちゃう。
「…ごめんなさい、カリム君、今……っ」
カリム「何で、泣いているんだ」
ガーネットの優しい瞳が私を心配そうに見つめている。そっと彼の褐色の手が私の目尻を撫でる。え…と私がこぼした声と共に、涙が自身の掌に落ちた。
「……………………どう、して……?」
自分でも何故、泣いているのか、分からなかった。だから彼に何て言おうか…と考えていた時、彼の背後から誰かが駆け寄ってきた。
ジャミル「カリム、エリーゼ、早く列に……!エリーゼ、どうした?」
「・・なんでもないわ」
ジャミル「何でもない事ないだろ。気分が悪いのか?」
ジャミル君も泣いている私に動揺した様子で、後ろからユウとグリム君もやってきた。器用に私の肩まで登って、頬をペタペタと触ってくる。
グリム「エリーゼ、また心臓が痛いのか!?薬か!?」
監督生「部屋に言って休んだ方がいいんじゃ!?」
カリム「…しん、ぞう…?」
ジャミル「どこか悪いのか?なら、すぐ部屋に戻った方がいい」
大丈夫…と告げないといけないのに、次々流れる涙のせいで、口が上手く動かない。ふと、カリム君がガシッと私の手を掴んだ。
カリム「エリーゼ、部屋に戻るぞ」
「庭に‥行かなきゃ」
カリム「いいから戻れ」
カリム君が私の手を引っ張り、中に戻ろうとした時、カリム君の肩をジャミル君が掴んだ。
ジャミル「カリム、寮生達に指示を出したのはお前だ。お前が残らずどうする」
カリム「…だ、けど…エリーゼが」
ジャミル「…‥‥……エリーゼは俺が連れて行く。お前は戻れ」
ジャミル君がカリム君を見て…え、睨んでいる?さっきは歯向かえないとか言っていたのに……どうしてこういう時は強く言い返せるのかしら。
あぁ、駄目ね、ボーッとした頭じゃ何も考えれない。
ふと、カリム君の手が私から離れた。そして、何も言わないまま、寮生達の元へ戻っていく。
ジャミル「グリム、ユウ、お前らも戻れ。ロゼッタは俺が連れて行く。今のカリムが何を言い出すか分からない」
グリム「うぅ…で、でも」
監督生「エリーゼさんについていたほうが」
ジャミル「大丈夫だ、しっかり部屋まで誘導する。薬の場所は…分かるか?」
「・・・えぇ」
グリム「うぅ…分かったゾ。エリーゼ、ちゃんと休むんだゾ!」
監督生「お大事に」
「ごめんね、迷惑かけて」
監督生「迷惑だなんて!?ゆっくり休んでください。(エリーゼさん、やっぱり様子が変)」
ペタペタと私の頭を撫で、グリム君は肩から降りて、庭へ駆けていった。
そしてジャミル君が私の手を握り、腰にもう片手を添える。
ジャミル「戻ろう、エリーゼ」
寮生「寮の精神にふさわしいかどうかは、魔法力じゃない」
寮生「お前たちはどう思う?俺たちの中で、誰が寮長にふさわしい?」
寮生「そんなの、ジャミル先輩のほうが寮長にふさわしいに決まっている!」
寮生「そうだ。カリム先輩より、ジャミル先輩のほうがスカラビアの寮長にふさわしい!」
寮生「身分ある家の生まれだからって、無能が寮長でいていいわけがない!」
寮生「そうだそうだ!スカラビアに無能な寮長はいらない!」
「スカラビアに無能な寮長はいらない!!!」と、コールを続ける寮生達。
ジャミル君もグリム君もそれを止めようとしている。このままじゃ、カリム君にも気づかれる。でも、何より…………何か、イライラしてきた。
さっきの言葉は何?尊敬しているとか、何だの言っていたのは何だったの。コネと分かった瞬間にこれ?そのコネ自体、カリム君は知っている事実なの?もし、本当に事情があったら?
カリム【あぁ!あいつはいつも俺の側にいてくれた。___あいつだけは、俺を裏切らないでくれたんだ】
従者であるジャミル君の事を、本当に信頼していたカリム君。あの時のカリム君の言葉には…‥‥嘘はない。
監督生「収拾がつかなくなってきた」
グリム「お、おい…これヤバクねぇか……?」
グリム君がツンツンと私の腕を突く。私はグリム君を抱え、そっと下ろす。そして、近くに置いてた金で造られたグラスを握りしめ、騒ぎ立てる寮生達の足元に向かって投げた。
ガッシャーン!という金属と床が接触した音が響く。
「「「!?」」」
「うるさいわよ」
私がそう言うと、シーンと静まる寮生達。エリーゼの方が煩ぇよ…とグリム君が呟いたが、今は気にしていられない。
「鬱陶しく“いらない”“いらない”、バカの一つ覚えた見たく騒ぎたてて……さっき尊敬していたとかは何?コネと分かった瞬間掌返し?」
寮生「で、でもそれは…」
「喋るな、許可してない」
寮生「す、すいません!」
私が厳しくそういうと、反論しようとしていた生徒がシュンと下がる。
グリム君が怖ぇ…という声が聞こえたが、無視する。
「……本気でいらないと言われた人の気持ちが、貴方達にわかるの?今、貴方達がしているのはそういう行為よ。何が本気で尊敬しているだ、この寮に選ばれてよかった、よ……結局口だけだったのね。その程度で、簡単に捨てられるものだったってこと」
私の言葉に寮生たちはどこかハッとした様子で、下を俯く。はぁ、と溜息を吐き、ジャミル君に頭を下げる。
「ごめんなさいね、グラス割っちゃって」
ジャミル「いや…抑えられなかったのは俺の責任だ。此方こそすまない、けがはないか?」
「投げただけだから、怪我はないわ」
【お前の能力を少しは役立たせてみせろよ】
【こんなこともできないのか】
ルシファー家にいたころの嫌な記憶が蘇ってくる。こんな時に出てこないで欲しい。
__「お前達、こんな時間に集まって何をしている」
背後から聞こえてきた声に驚いて全員振り返る。そこにいたのはカリム君だった。
グリム「げげっ、見たかっちまった!」
ジャミル「カ、カリム……!」
カリム「どうやらお前達には昼間の訓練では物足りなかったようだな。
体力が有り余っているらしい。ジャミル!今すぐ寮生を庭に出せ!」
ジャミル「庭へ……?」
カリム「限界まで魔法の特訓をする」
寮生「そんなむちゃくちゃな……!」
グリム「オレ様、すでに疲れが限界なんだゾ~!」
カリム「聞こえなかったのか。早くしろ!」
ジャミル「……わかったよ。お前達、外へ出ろ」
仕方なく、私達は庭へ出ることにした。……あの時、私がグラス何か投げなかったら気付かれなかっただろうか。余計な真似をしてしまった
【無くなった、無くなった】
煩い
【加護の力なくなった】
そんな事、とっくに気付いている。
【無くなったのに、まだそこにいるの?】
…………煩い。
寮生達が庭に出る中、私は立ち止まった。脳裏で幼い私の声が響く。やめて、今…その言葉は聞きたくない。だって、それも認めちゃったら‥‥‥私は本当に…。
カリム「おい、エリーゼ、お前も早く外へ‥‥………………」
カリム君が目の前に来たことが分かる。あ、駄目だ、早く歩かないと…。
また機嫌を損ねちゃう。
「…ごめんなさい、カリム君、今……っ」
カリム「何で、泣いているんだ」
ガーネットの優しい瞳が私を心配そうに見つめている。そっと彼の褐色の手が私の目尻を撫でる。え…と私がこぼした声と共に、涙が自身の掌に落ちた。
「……………………どう、して……?」
自分でも何故、泣いているのか、分からなかった。だから彼に何て言おうか…と考えていた時、彼の背後から誰かが駆け寄ってきた。
ジャミル「カリム、エリーゼ、早く列に……!エリーゼ、どうした?」
「・・なんでもないわ」
ジャミル「何でもない事ないだろ。気分が悪いのか?」
ジャミル君も泣いている私に動揺した様子で、後ろからユウとグリム君もやってきた。器用に私の肩まで登って、頬をペタペタと触ってくる。
グリム「エリーゼ、また心臓が痛いのか!?薬か!?」
監督生「部屋に言って休んだ方がいいんじゃ!?」
カリム「…しん、ぞう…?」
ジャミル「どこか悪いのか?なら、すぐ部屋に戻った方がいい」
大丈夫…と告げないといけないのに、次々流れる涙のせいで、口が上手く動かない。ふと、カリム君がガシッと私の手を掴んだ。
カリム「エリーゼ、部屋に戻るぞ」
「庭に‥行かなきゃ」
カリム「いいから戻れ」
カリム君が私の手を引っ張り、中に戻ろうとした時、カリム君の肩をジャミル君が掴んだ。
ジャミル「カリム、寮生達に指示を出したのはお前だ。お前が残らずどうする」
カリム「…だ、けど…エリーゼが」
ジャミル「…‥‥……エリーゼは俺が連れて行く。お前は戻れ」
ジャミル君がカリム君を見て…え、睨んでいる?さっきは歯向かえないとか言っていたのに……どうしてこういう時は強く言い返せるのかしら。
あぁ、駄目ね、ボーッとした頭じゃ何も考えれない。
ふと、カリム君の手が私から離れた。そして、何も言わないまま、寮生達の元へ戻っていく。
ジャミル「グリム、ユウ、お前らも戻れ。ロゼッタは俺が連れて行く。今のカリムが何を言い出すか分からない」
グリム「うぅ…で、でも」
監督生「エリーゼさんについていたほうが」
ジャミル「大丈夫だ、しっかり部屋まで誘導する。薬の場所は…分かるか?」
「・・・えぇ」
グリム「うぅ…分かったゾ。エリーゼ、ちゃんと休むんだゾ!」
監督生「お大事に」
「ごめんね、迷惑かけて」
監督生「迷惑だなんて!?ゆっくり休んでください。(エリーゼさん、やっぱり様子が変)」
ペタペタと私の頭を撫で、グリム君は肩から降りて、庭へ駆けていった。
そしてジャミル君が私の手を握り、腰にもう片手を添える。
ジャミル「戻ろう、エリーゼ」