熱砂の策謀家
_______スカラビア寮 談話室
グリム「はぐはぐ!もぐもぐ!」
「グリム君、詰まらせちゃうわよ」
監督生「すみません」
「ふふっ・・・大丈夫よ」
モグモグと食べるグリム君の口周りについたソースをハンカチで拭いてあげる。
グリム「くっ……こんな囚人生活からは一刻も早く逃げ出したいのに、
悔しいことにメシだけはメチャクチャ美味いんだゾ!!」
監督生「ほんと単純なんだから」
カリム「“しゅうじんせいかつ”?よくわからないけど、気に入ったならよかったぜ。たくさん食えよな!グリム、今日は牛乳の青カビチーズがあるぜ」
カリム君がクラッカーを手に取り、グリムを見つめる。
グリム「クラッカーはもういいんだゾ……」
カリム「なんだよ、遠慮すんなって」
この間のようにまたグリム君の口にクラッカーをつめていく。笑顔でやっているのが、また恐ろしい…。
グリム「むががっもがっ!ほががっ!」
ジャミル「カリム。そう次々と食い物を口に詰め込むもんじゃない。グリムが窒息するだろ」
カリム「おっと、ゆっくり食っていいんだぜ。まだまだあるんだから」
グリム「もぐもぐ……ごっくん。うぅ、そういう問題じゃねぇんだゾ~~……」
「グリム君、お水」
つまりそうな彼に水が入ったグラスを差し出す。助かったゾーといいながら一気に飲み干す。チラチラと周りを見るが……やはりサラマンダーの姿は見えない。
「……はぁ」
ジャミル「…エリーゼ、どうした?食が進んでいないぞ」
「!…あ、えっと…ちょっと食欲無くて」
ジャミル「固形物は駄目なのか?なら冷たい物を用意しようか?」
「え、大丈夫よ…スープとか食べたから。それに暑いだけだから、気にしないで…」
カリム「暑いのか?じゃあアイスなんかどーだ?昨日食えなかったアイスクリームをデザートに用意してあるぞ。沢山種類を並べて、でかいスプーンで好きなだけでザクザクすくって食べるのがカリム流だ」
「アイス…もらおうかな」
監督生「ん?スプーンでザクザク?」
カリム「そうそう。いくら腹一杯でも、デザートは別腹だろ?今持ってきてやるから待ってろよ」
「…え、カリム君が!?」
カリム「遠慮するなって!すぐ持ってくるから!」
ジャミル「エリーゼの言う通りだ、カリム。俺が用意してくるから、お前は座ってろ」
カリム「いいって。アイスの用意なんか、冷蔵庫から出してくるだけだろ?」
ジャミル「馬鹿。主人に給仕をさせる従者がどこにいるんだ。お前はもう少しアジーム家の後継としての自覚を持ってくれ。お前にそんなことさせたと知れたら俺が父さんたちに怒られる」
カリム「ジャミルは本当に真面目だなあ。いいじゃないか。今は同じ学園の学生同士だろ?」
ジャミル「……はぁ。俺が皿に盛り付けるから運ぶのを手伝ってくれるか?」
カリム「お安い御用だぜ!」
そういい、2人は談話室から出て行った。け、結局やらせてしまった……も、申し訳ない。ふと、ゴソゴソと何かしていたグリム君が私の膝の上に上ってきた。
グリム「………オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ。今のカリムは人の話を聞かないけど悪いヤツじゃねぇ気がするんだゾ」
監督生「行進の時と雲泥の差だよね」
「そうね」
すると、先程談話室を出ていったカリム君が戻ってきた。
カリム「おい、お前たち……いつまでメシを食っているつもりだ!王様にでもなったつもりか!?」
「「「え、えぇ!?」」」
突然のカリム君の言葉に驚く。え、アイスを取りに行ったんじゃ…?
カリム「すぐに午後の特訓を始める!」
寮生達「は、はい……っ!」
カリム君の変わり様に、寮生たちは食事を止めて、立ち上がる。
グリム「ヒィ……また怖い方のカリムになっちまったんだゾ!」
カリム「エリーゼたちも逃がさないぞ。今日は夜までみっちり防衛魔法の特訓だ。さあ、庭に出ろ!」
「・・そんな、急に」
何をしたらここまで変われるの?けど…逆らっても恐らく、変わらないだろう。
「とりあえず、外に出ましょう」
グリム「うぅ~嫌なんだゾ~」
監督生「しょうがないよ」
嫌がるグリム君をユウが抱え、寮生達と外へ出た。結局、その後はかなりしごかれたのは言うまでもない。
***
その日の夜、私達は強制的に空き部屋へ連行された。
スカラビア寮生「…よし、オンボロ寮の2人と寮母は眠っていた」
スカラビア寮生のペアが私達の部屋を見回りし、扉の鍵を閉める。
足音が遠ざかったのを確認して、ベッドから起き上がった。
グリム「……見張りは行ったか?」
監督生「みたい」
グリム「午後の訓練も、食べたものが全部出そうなくらいキツかったんだゾ。学園長はアテになんねーし……もうオレ様たちだけでなんとかするっきゃねぇ」
「どうやって逃げるの?」
窓がない密室空間。扉には鍵がかけられており、鍵開けの呪文には失敗、
しかも開けたとしても寮生達の集団が待っている。どう見たって逃げるのは不可能だ。不安な私とは対照的に、グリム君が不敵に笑いだす。
グリム「ふっふっふ。そこで、頭脳明晰なオレ様が完璧な脱獄計画を考えたんだゾ」
監督生「頭脳明晰とかよく知ってたね」
えらいえらいと頭を撫でると、真面目にきけー!と怒られたので、手を引っ込める。
「作戦は?」
グリム「聞いて驚け。オレ様は脱出な必要なアイテムを昼間入手した……見ろ、これを!」
自信満々に彼は何かを取り出してきた……
「…スプーン?」
取り出されたのは銀のスプーン。それはスカラビア寮生のスプーンだ、食事の時にくすねておいたのかな?
グリム「そうだゾ!このスプーンで、少しずつ床を掘って外に出るんだゾ!」
監督生「時間と根気の作業だね」
グリム「地元じゃ穴掘り名人と呼ばれたグリム様に任せておくんだゾ。
オマエらは誰か来ないか外を見張ってろ!」
「・・・どこの地元?」
やる気満々のグリム君はうぉーと小声の掛け声をあげ、床を掘り出した。
あんなスプーンで掘れるもんだなぁ、と感心しつつ、扉に耳を当て、誰か来ないか見張った。
(ゴリゴリ、ゴリゴリ)
グリム「思ったよりスムーズに削れる!結構イケそうな気がしてきたんだゾ」
(ゴリゴリ、ゴリゴリ……)
グリム「掘ってるだけの単純作業で飽きてきたんだゾ~……」
「・・・代わるわよ」
グリム「おう頼んだゾ、オレ様は外を見張ってるんだゾ」
監督生「え・・でも、エリーゼさん疲れてるんじゃ」
「大丈夫よ」
選手交代し、今度は私がスプーンで床を掘る。
グリム「やべっ!見張りが来た!寝てるフリするんだゾ!」
監督生「え、ちょっと…あ、この壺を置いて…よし」
隠蔽の工作をして、ベッドにもぐる。それと同時に見回りの生徒がのぞき込んできた。そのまま何事もなく去ってくれたので、ホッと息を吐く。そして、またグリム君とユウと交代制で穴掘りをしていく。穴を掘る、見張りをする、その交代を繰り返しているうちに…朝日が昇っていた。
グリム「朝までかかってやっとオレ様の両腕が通るくらいの穴が掘れたんだゾ」
「1日にしてはいいペースね」
眠気が襲ってきて、眉間を触る。流石に、徹夜だとキツイ…しかも昨日はかなり疲労していたし。もう6時…恐らく今日も行進がある…けど、20分だけでも寝たい。しかし、そんな祈りは届かず、鍵が開かれる音が聞こえた。
その音が聞こえた途端、グリム君からスプーンを奪い、ベッドの下に隠し、少し開いた穴の上に壺を乗せる。壺を乗せた…ほぼ同時に扉が開かれた。あ、危ない…一夜の苦労が水の泡となる所だった。
寮生「出ろ、お前たち!朝の特訓の時間だ。今日も東のオアシスまで行進する!」
監督生「・・はい」
グリム「うぅ、眠いんだゾ~」
徹夜だと知らない寮生達に引っ張られ、また噴水広場へ。カリム君の様子は…相変わらずの暴君のままだ。そして…相変わらず精霊たちは見えない。‥‥‥駄目だ、徹夜の頭だとネガティブな事しか考えられなくなっちゃう。私は首を振り、砂漠の大地を歩いた。
グリム「うぅ、寝不足の身体に暑さが辛いんだゾ~……」
「・・・そうね」
ジャミル「寝不足なのか?体調を崩さないように水分補給をしっかりな」
グリム「ジャミル~……わかった。気を付けるんだゾ…」
ジャミル「エリーゼ、君も顔色が悪いが…本当に大丈夫か?」
「…ええ、ちょっと夢見が悪くて…でも大丈夫よ」
そして、そのまま砂漠を進み…何分経っただろうか。昨日はオアシスまで体力は持った……けど、徹夜明けの体はまるでいう事を聞いてくれない。
寮生全体も動きが鈍い、カリム君も昨日より遅いと罵っている。気温が昨日より暑いのと、今までの疲労がたまっているからだ。
「……っ、はぁ‥‥‥はぁ」
私と同じ位ヘトヘトなグリム君とユウ。もう今にも倒れそうだ。汗をぬぐい、グリム君を抱えるが…何か重く感じる。…疲れがたまっている証拠だ。寝不足がここまで響くとは……朝から十分な栄養をとっていないせいでもあるだろう。
ふな″ぁ~と私の腕でくたびれるグリム君。ポンポンと背中を撫でて、重たい足を動かした。
ジャミル「エリーゼ、昨日よりキツそうだぞ。グリムを抱えて大丈夫か?」
「ちょっと‥‥でもグリム君の方が辛そうなので」
グリム「はぐはぐ!もぐもぐ!」
「グリム君、詰まらせちゃうわよ」
監督生「すみません」
「ふふっ・・・大丈夫よ」
モグモグと食べるグリム君の口周りについたソースをハンカチで拭いてあげる。
グリム「くっ……こんな囚人生活からは一刻も早く逃げ出したいのに、
悔しいことにメシだけはメチャクチャ美味いんだゾ!!」
監督生「ほんと単純なんだから」
カリム「“しゅうじんせいかつ”?よくわからないけど、気に入ったならよかったぜ。たくさん食えよな!グリム、今日は牛乳の青カビチーズがあるぜ」
カリム君がクラッカーを手に取り、グリムを見つめる。
グリム「クラッカーはもういいんだゾ……」
カリム「なんだよ、遠慮すんなって」
この間のようにまたグリム君の口にクラッカーをつめていく。笑顔でやっているのが、また恐ろしい…。
グリム「むががっもがっ!ほががっ!」
ジャミル「カリム。そう次々と食い物を口に詰め込むもんじゃない。グリムが窒息するだろ」
カリム「おっと、ゆっくり食っていいんだぜ。まだまだあるんだから」
グリム「もぐもぐ……ごっくん。うぅ、そういう問題じゃねぇんだゾ~~……」
「グリム君、お水」
つまりそうな彼に水が入ったグラスを差し出す。助かったゾーといいながら一気に飲み干す。チラチラと周りを見るが……やはりサラマンダーの姿は見えない。
「……はぁ」
ジャミル「…エリーゼ、どうした?食が進んでいないぞ」
「!…あ、えっと…ちょっと食欲無くて」
ジャミル「固形物は駄目なのか?なら冷たい物を用意しようか?」
「え、大丈夫よ…スープとか食べたから。それに暑いだけだから、気にしないで…」
カリム「暑いのか?じゃあアイスなんかどーだ?昨日食えなかったアイスクリームをデザートに用意してあるぞ。沢山種類を並べて、でかいスプーンで好きなだけでザクザクすくって食べるのがカリム流だ」
「アイス…もらおうかな」
監督生「ん?スプーンでザクザク?」
カリム「そうそう。いくら腹一杯でも、デザートは別腹だろ?今持ってきてやるから待ってろよ」
「…え、カリム君が!?」
カリム「遠慮するなって!すぐ持ってくるから!」
ジャミル「エリーゼの言う通りだ、カリム。俺が用意してくるから、お前は座ってろ」
カリム「いいって。アイスの用意なんか、冷蔵庫から出してくるだけだろ?」
ジャミル「馬鹿。主人に給仕をさせる従者がどこにいるんだ。お前はもう少しアジーム家の後継としての自覚を持ってくれ。お前にそんなことさせたと知れたら俺が父さんたちに怒られる」
カリム「ジャミルは本当に真面目だなあ。いいじゃないか。今は同じ学園の学生同士だろ?」
ジャミル「……はぁ。俺が皿に盛り付けるから運ぶのを手伝ってくれるか?」
カリム「お安い御用だぜ!」
そういい、2人は談話室から出て行った。け、結局やらせてしまった……も、申し訳ない。ふと、ゴソゴソと何かしていたグリム君が私の膝の上に上ってきた。
グリム「………オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ。今のカリムは人の話を聞かないけど悪いヤツじゃねぇ気がするんだゾ」
監督生「行進の時と雲泥の差だよね」
「そうね」
すると、先程談話室を出ていったカリム君が戻ってきた。
カリム「おい、お前たち……いつまでメシを食っているつもりだ!王様にでもなったつもりか!?」
「「「え、えぇ!?」」」
突然のカリム君の言葉に驚く。え、アイスを取りに行ったんじゃ…?
カリム「すぐに午後の特訓を始める!」
寮生達「は、はい……っ!」
カリム君の変わり様に、寮生たちは食事を止めて、立ち上がる。
グリム「ヒィ……また怖い方のカリムになっちまったんだゾ!」
カリム「エリーゼたちも逃がさないぞ。今日は夜までみっちり防衛魔法の特訓だ。さあ、庭に出ろ!」
「・・そんな、急に」
何をしたらここまで変われるの?けど…逆らっても恐らく、変わらないだろう。
「とりあえず、外に出ましょう」
グリム「うぅ~嫌なんだゾ~」
監督生「しょうがないよ」
嫌がるグリム君をユウが抱え、寮生達と外へ出た。結局、その後はかなりしごかれたのは言うまでもない。
***
その日の夜、私達は強制的に空き部屋へ連行された。
スカラビア寮生「…よし、オンボロ寮の2人と寮母は眠っていた」
スカラビア寮生のペアが私達の部屋を見回りし、扉の鍵を閉める。
足音が遠ざかったのを確認して、ベッドから起き上がった。
グリム「……見張りは行ったか?」
監督生「みたい」
グリム「午後の訓練も、食べたものが全部出そうなくらいキツかったんだゾ。学園長はアテになんねーし……もうオレ様たちだけでなんとかするっきゃねぇ」
「どうやって逃げるの?」
窓がない密室空間。扉には鍵がかけられており、鍵開けの呪文には失敗、
しかも開けたとしても寮生達の集団が待っている。どう見たって逃げるのは不可能だ。不安な私とは対照的に、グリム君が不敵に笑いだす。
グリム「ふっふっふ。そこで、頭脳明晰なオレ様が完璧な脱獄計画を考えたんだゾ」
監督生「頭脳明晰とかよく知ってたね」
えらいえらいと頭を撫でると、真面目にきけー!と怒られたので、手を引っ込める。
「作戦は?」
グリム「聞いて驚け。オレ様は脱出な必要なアイテムを昼間入手した……見ろ、これを!」
自信満々に彼は何かを取り出してきた……
「…スプーン?」
取り出されたのは銀のスプーン。それはスカラビア寮生のスプーンだ、食事の時にくすねておいたのかな?
グリム「そうだゾ!このスプーンで、少しずつ床を掘って外に出るんだゾ!」
監督生「時間と根気の作業だね」
グリム「地元じゃ穴掘り名人と呼ばれたグリム様に任せておくんだゾ。
オマエらは誰か来ないか外を見張ってろ!」
「・・・どこの地元?」
やる気満々のグリム君はうぉーと小声の掛け声をあげ、床を掘り出した。
あんなスプーンで掘れるもんだなぁ、と感心しつつ、扉に耳を当て、誰か来ないか見張った。
(ゴリゴリ、ゴリゴリ)
グリム「思ったよりスムーズに削れる!結構イケそうな気がしてきたんだゾ」
(ゴリゴリ、ゴリゴリ……)
グリム「掘ってるだけの単純作業で飽きてきたんだゾ~……」
「・・・代わるわよ」
グリム「おう頼んだゾ、オレ様は外を見張ってるんだゾ」
監督生「え・・でも、エリーゼさん疲れてるんじゃ」
「大丈夫よ」
選手交代し、今度は私がスプーンで床を掘る。
グリム「やべっ!見張りが来た!寝てるフリするんだゾ!」
監督生「え、ちょっと…あ、この壺を置いて…よし」
隠蔽の工作をして、ベッドにもぐる。それと同時に見回りの生徒がのぞき込んできた。そのまま何事もなく去ってくれたので、ホッと息を吐く。そして、またグリム君とユウと交代制で穴掘りをしていく。穴を掘る、見張りをする、その交代を繰り返しているうちに…朝日が昇っていた。
グリム「朝までかかってやっとオレ様の両腕が通るくらいの穴が掘れたんだゾ」
「1日にしてはいいペースね」
眠気が襲ってきて、眉間を触る。流石に、徹夜だとキツイ…しかも昨日はかなり疲労していたし。もう6時…恐らく今日も行進がある…けど、20分だけでも寝たい。しかし、そんな祈りは届かず、鍵が開かれる音が聞こえた。
その音が聞こえた途端、グリム君からスプーンを奪い、ベッドの下に隠し、少し開いた穴の上に壺を乗せる。壺を乗せた…ほぼ同時に扉が開かれた。あ、危ない…一夜の苦労が水の泡となる所だった。
寮生「出ろ、お前たち!朝の特訓の時間だ。今日も東のオアシスまで行進する!」
監督生「・・はい」
グリム「うぅ、眠いんだゾ~」
徹夜だと知らない寮生達に引っ張られ、また噴水広場へ。カリム君の様子は…相変わらずの暴君のままだ。そして…相変わらず精霊たちは見えない。‥‥‥駄目だ、徹夜の頭だとネガティブな事しか考えられなくなっちゃう。私は首を振り、砂漠の大地を歩いた。
グリム「うぅ、寝不足の身体に暑さが辛いんだゾ~……」
「・・・そうね」
ジャミル「寝不足なのか?体調を崩さないように水分補給をしっかりな」
グリム「ジャミル~……わかった。気を付けるんだゾ…」
ジャミル「エリーゼ、君も顔色が悪いが…本当に大丈夫か?」
「…ええ、ちょっと夢見が悪くて…でも大丈夫よ」
そして、そのまま砂漠を進み…何分経っただろうか。昨日はオアシスまで体力は持った……けど、徹夜明けの体はまるでいう事を聞いてくれない。
寮生全体も動きが鈍い、カリム君も昨日より遅いと罵っている。気温が昨日より暑いのと、今までの疲労がたまっているからだ。
「……っ、はぁ‥‥‥はぁ」
私と同じ位ヘトヘトなグリム君とユウ。もう今にも倒れそうだ。汗をぬぐい、グリム君を抱えるが…何か重く感じる。…疲れがたまっている証拠だ。寝不足がここまで響くとは……朝から十分な栄養をとっていないせいでもあるだろう。
ふな″ぁ~と私の腕でくたびれるグリム君。ポンポンと背中を撫でて、重たい足を動かした。
ジャミル「エリーゼ、昨日よりキツそうだぞ。グリムを抱えて大丈夫か?」
「ちょっと‥‥でもグリム君の方が辛そうなので」