熱砂の策謀家
スカラビアの人から、うわっ!?と声を出されたので、会釈して謝った。
ジャミル「それは…サラマンダー?」
「え、ええ。暖炉に火をいれたときに、懐かれちゃって」
ジャミル「…そういえば、精霊に好かれやすい体質だって言ってたな」
スカラビア寮生「お話し中すみません、副寮長。野菜の下準備が終わったのですが……」
ジャミル「ああ、今行く」
話の途中に、スカラビア寮生がジャミル君に話しかけに来た。
て、此処にいたらいつサラマンダーがつまみ食いするか分からないわね。
監督生「帰ろう、グリム。邪魔しちゃだめだよ」
グリム「え~」
サラマンダ『やだ』
同じように「嫌だ~」という顔を浮かべる1人と1匹に溜息を吐く。
さては、サラマンダーも食いしん坊なのね。
グリム「このスープ、美味そうだけど嗅いだことない匂いがするんだゾ」
「あ、こら!つまみ食い駄目!」
サラマンダーを片手で抱え、もう片方の手でグリム君のリボンをつまむ。
やだ、やだ~と暴れる2匹。
ジャミル「まぁ、気にするな。それは熱砂の国の伝統的な家庭料理で………ああ、そうだ。ここで出会ったのもなにかの縁。良ければ君達も食べていかないか?」
「え!?…い、いや、でも…」
グリム「にゃにっ! いいのか!?」
サラマンダー『食べた~い』
ジャミル「ああ、もちろん。料理の完成まであと少しだ。君たちも手伝ってくれ。それに、揚げ饅頭の作り方も知りたかったんだろう?」
「…それはそうだけど…邪魔じゃない?」
ジャミル「構わない。それにこの間、グリムも言っていたじゃないか。
君の料理は絶品だと。ぜひ、手伝って貰いたい」
「……そういう事なら、お手伝いするわ」
私はサラマンダーを近くの椅子に座らせる。
絶対に動かないように、あとつまみ食いは絶対に駄目と言いつける。
どちらか破ったら食べさせてあげないと言ったら、シュンとしつつ大人しく丸くなった。
…何となく罪悪感を感じたので、頭を撫でて、ジャミル君やグリム君の所へ戻る。
「サラマンダーのことお願いね。ユウ」
監督生「わかりました」
グリム「この調味料、メチャクチャいい匂いがするんだゾ~」
ジャミル「熱砂の国のスパイスさ。何種類かブレンドすることで独特の風味が出るんだ」
監督生「へぇ、何種類も混ぜ合わせているんですね」
ジャミル「あぁ、後でどの種類か教えてやる。まずは手順通りにやってみてくれ」
グリム「よっしゃー、任せろ!」
ジャミル「それじゃあ完成までよろしく頼むよ」
余り手際がいいとは言えないグリム君だが、ジャミル君の言う通り、
鍋を搔き回し。スパイスをチマチマ入れて行く。私はジャミル君の隣で野菜を切ったり、焼いたりする。
グリム「この茶色のパウダー、もう鍋に入れていいか?」
ジャミル「まだだ。ガラムマサラは火を止める直前に入れないと香りが飛んでしまう」
グリム「オマエ、スパイスのこと詳しいんだゾ」
ジャミル「日頃から料理をしてるからな、詳しくて当然だよ。さあ、完成までもう一息だ。引き続き調理を進めよう」
ジャミル君の声に、おーっとやる気を出し、鍋をかき混ぜるグリム君。
その後、調理が終了していき、厨房内にスパイスのいい匂いが巡回する。
グリム「よっしゃー!完成なんだゾー!ん~、スパイスの深みのある香り。ヨダレが出ちまう」
「‥本当ね。いい匂い」
ジャミル「どれ…うん。いい仕上がりだ。君たちが調理を手伝ってくれたおかげだな。ありがとう。寮で食べるから、君たちも一緒に来てくれ」
グリム「にゃっはー!行く行く!腹減ったから早く食べたいんだゾ~」
ジャミル「お前たち、料理を寮へ!」
ジャミル君に言われた寮生たちは出来上がった料理に分厚い布を被せ、運び出す。
グリム「ところでオマエらこそ、なんで冬休み中なのに学園に残っているんだゾ?」
ジャミル「……それは……」
グリム君の発言にジャミル君も寮生たちも黙り込む。
ジャミル「それについては、話すと少し長くなる」
「気になるわ。話してちょうだい」
スカラビア寮生「スカラビアは全員、寮長の命令で……」
スカラビア寮生「帰りたくても帰れないというか……」
ジャミル「シッ。やめないかお前たち。もとはといえば俺たちの責任だろう」
ジャミル君は気を利かしてくれたのか、寮生たちを静かにさせる。そして何事もなかったようにこちらに笑みを向ける。
ジャミル「さ、料理が冷めてしまう。早くスカラビアへ向かおう。スカラビアはいつでも夏のように暖かい。ちょっとした南国気分が味わえると思うぞ」
グリム「やっほー!そんなの楽園なんだゾ!監督生、ロゼッタ、早く行こう!」
本当にスカラビアに行ってもいいのかしら?寮生たちの態度を見たら、行って良いのか分からない。
ジャミル「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう」
「いきなり行っちゃ失礼じゃ…」
カリム君が非道な態度をとるとは思わないけれど……。一応立場的に寮長だからなぁ、と悩んでいると、何時の間にかジャミル君が目の前にいた。
驚いて身を引こうとしたが、その前に手を取られ、彼の黒い眼と目が合う。
ジャミル「__来てくれるな?」
ジャミル君の目を見て、そう言われた時・・何故か意識がボンヤリした。
「もちろん」
ジャミル「……君を招待出来てとても嬉しいよ___エリーゼ。さあ、行こう。スカラビアへ」
監督生「エリーゼさん?」
「え・・?」
グリム「おい、監督生!ロゼッタ!早く行くんだゾ~!」
「ええ」
今、勝手に口が動いた気が……気のせい?
「サラマンダーおいで」
椅子に丸まっていたサラマンダーを呼ぶ。さっきまで行きたい、食べたいとはしゃいでいたのに、今は静かにしている。
…いや、何か威嚇している?
私が手を差し出すと、渋々という感じで腕の中へ。
心なしか、ジャミル君の方を睨んでいる気がする。
「…どうしたの?」
サラマンダー『・・・」
フンとジャミル君の顔を見て、すぐソッポ向く。あれ?一瞬で嫌われた?
さっきまで興味津々だったのに……まぁあったのは、ジャミル君の作る料理だけど。
ジャミル「……………」
ジャミル「それは…サラマンダー?」
「え、ええ。暖炉に火をいれたときに、懐かれちゃって」
ジャミル「…そういえば、精霊に好かれやすい体質だって言ってたな」
スカラビア寮生「お話し中すみません、副寮長。野菜の下準備が終わったのですが……」
ジャミル「ああ、今行く」
話の途中に、スカラビア寮生がジャミル君に話しかけに来た。
て、此処にいたらいつサラマンダーがつまみ食いするか分からないわね。
監督生「帰ろう、グリム。邪魔しちゃだめだよ」
グリム「え~」
サラマンダ『やだ』
同じように「嫌だ~」という顔を浮かべる1人と1匹に溜息を吐く。
さては、サラマンダーも食いしん坊なのね。
グリム「このスープ、美味そうだけど嗅いだことない匂いがするんだゾ」
「あ、こら!つまみ食い駄目!」
サラマンダーを片手で抱え、もう片方の手でグリム君のリボンをつまむ。
やだ、やだ~と暴れる2匹。
ジャミル「まぁ、気にするな。それは熱砂の国の伝統的な家庭料理で………ああ、そうだ。ここで出会ったのもなにかの縁。良ければ君達も食べていかないか?」
「え!?…い、いや、でも…」
グリム「にゃにっ! いいのか!?」
サラマンダー『食べた~い』
ジャミル「ああ、もちろん。料理の完成まであと少しだ。君たちも手伝ってくれ。それに、揚げ饅頭の作り方も知りたかったんだろう?」
「…それはそうだけど…邪魔じゃない?」
ジャミル「構わない。それにこの間、グリムも言っていたじゃないか。
君の料理は絶品だと。ぜひ、手伝って貰いたい」
「……そういう事なら、お手伝いするわ」
私はサラマンダーを近くの椅子に座らせる。
絶対に動かないように、あとつまみ食いは絶対に駄目と言いつける。
どちらか破ったら食べさせてあげないと言ったら、シュンとしつつ大人しく丸くなった。
…何となく罪悪感を感じたので、頭を撫でて、ジャミル君やグリム君の所へ戻る。
「サラマンダーのことお願いね。ユウ」
監督生「わかりました」
グリム「この調味料、メチャクチャいい匂いがするんだゾ~」
ジャミル「熱砂の国のスパイスさ。何種類かブレンドすることで独特の風味が出るんだ」
監督生「へぇ、何種類も混ぜ合わせているんですね」
ジャミル「あぁ、後でどの種類か教えてやる。まずは手順通りにやってみてくれ」
グリム「よっしゃー、任せろ!」
ジャミル「それじゃあ完成までよろしく頼むよ」
余り手際がいいとは言えないグリム君だが、ジャミル君の言う通り、
鍋を搔き回し。スパイスをチマチマ入れて行く。私はジャミル君の隣で野菜を切ったり、焼いたりする。
グリム「この茶色のパウダー、もう鍋に入れていいか?」
ジャミル「まだだ。ガラムマサラは火を止める直前に入れないと香りが飛んでしまう」
グリム「オマエ、スパイスのこと詳しいんだゾ」
ジャミル「日頃から料理をしてるからな、詳しくて当然だよ。さあ、完成までもう一息だ。引き続き調理を進めよう」
ジャミル君の声に、おーっとやる気を出し、鍋をかき混ぜるグリム君。
その後、調理が終了していき、厨房内にスパイスのいい匂いが巡回する。
グリム「よっしゃー!完成なんだゾー!ん~、スパイスの深みのある香り。ヨダレが出ちまう」
「‥本当ね。いい匂い」
ジャミル「どれ…うん。いい仕上がりだ。君たちが調理を手伝ってくれたおかげだな。ありがとう。寮で食べるから、君たちも一緒に来てくれ」
グリム「にゃっはー!行く行く!腹減ったから早く食べたいんだゾ~」
ジャミル「お前たち、料理を寮へ!」
ジャミル君に言われた寮生たちは出来上がった料理に分厚い布を被せ、運び出す。
グリム「ところでオマエらこそ、なんで冬休み中なのに学園に残っているんだゾ?」
ジャミル「……それは……」
グリム君の発言にジャミル君も寮生たちも黙り込む。
ジャミル「それについては、話すと少し長くなる」
「気になるわ。話してちょうだい」
スカラビア寮生「スカラビアは全員、寮長の命令で……」
スカラビア寮生「帰りたくても帰れないというか……」
ジャミル「シッ。やめないかお前たち。もとはといえば俺たちの責任だろう」
ジャミル君は気を利かしてくれたのか、寮生たちを静かにさせる。そして何事もなかったようにこちらに笑みを向ける。
ジャミル「さ、料理が冷めてしまう。早くスカラビアへ向かおう。スカラビアはいつでも夏のように暖かい。ちょっとした南国気分が味わえると思うぞ」
グリム「やっほー!そんなの楽園なんだゾ!監督生、ロゼッタ、早く行こう!」
本当にスカラビアに行ってもいいのかしら?寮生たちの態度を見たら、行って良いのか分からない。
ジャミル「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう」
「いきなり行っちゃ失礼じゃ…」
カリム君が非道な態度をとるとは思わないけれど……。一応立場的に寮長だからなぁ、と悩んでいると、何時の間にかジャミル君が目の前にいた。
驚いて身を引こうとしたが、その前に手を取られ、彼の黒い眼と目が合う。
ジャミル「__来てくれるな?」
ジャミル君の目を見て、そう言われた時・・何故か意識がボンヤリした。
「もちろん」
ジャミル「……君を招待出来てとても嬉しいよ___エリーゼ。さあ、行こう。スカラビアへ」
監督生「エリーゼさん?」
「え・・?」
グリム「おい、監督生!ロゼッタ!早く行くんだゾ~!」
「ええ」
今、勝手に口が動いた気が……気のせい?
「サラマンダーおいで」
椅子に丸まっていたサラマンダーを呼ぶ。さっきまで行きたい、食べたいとはしゃいでいたのに、今は静かにしている。
…いや、何か威嚇している?
私が手を差し出すと、渋々という感じで腕の中へ。
心なしか、ジャミル君の方を睨んでいる気がする。
「…どうしたの?」
サラマンダー『・・・」
フンとジャミル君の顔を見て、すぐソッポ向く。あれ?一瞬で嫌われた?
さっきまで興味津々だったのに……まぁあったのは、ジャミル君の作る料理だけど。
ジャミル「……………」