熱砂の策謀家
_________オンボロ寮 【ホリデー初日】
グリム「わー、見てみろ、監督正!ロゼッタ!雪が積もってるんだゾ!」
「本当ね。道理で冷えると思ったわ。」
監督生「凄い!」
ホリデーの初日目。お義父様に頼まれたので、大食堂へ向かう私達。
しかし、扉を開ければ一面、白の世界でビックリした。
「こんなに寒いと暖炉の様子が心配だわ。」
グリム「火の妖精って奴等も震えてるかもしんねぇな。薪を持って行ってやるか。ついでにキッチンになにか買い物がないか漁ってやるんだゾ!
らんららーん」
監督生「あんまり走ると滑るよ」
ユウがグリム君に注意するが既に遅し、ベターッと雪に埋もれた。
ユウがやれやれと言いながら雪の中の彼を救出する。
薪の場所は知っているので、そこで薪の束を何個か台車に乗せて、校舎内を通り、大食堂へ。
その間も響くのは台車の音と靴音のみ。こんなに静かだと…逆に不気味だ。
グリム「うぅ、寒いんだゾ~」
監督生「もうちょっとだよ」
「頑張りましょう」
私達は台車を押すスピードを上げた。
______________大食堂
大食堂へ着き、暖炉の前まで台車を押していく。
グリム「ヒェ~寒かった!肉球が氷みてぇに冷てぇんだゾ!」
「さあ、薪を入れましょう」
軍手をはめ、薪をまとめる紐を切り、1本ずつ暖炉の中へ。
すると、1本目の薪を置いた途端、その薪が急に燃え始めた。
メラメラ燃える炎から1人、火をまとった火の妖精が現れた。
服装や髪の毛も、全て炎で出来ているのだろう…メラメラと燃えている。
一瞬で温かくなり、暖炉の前に手を出す。
グリム「ほぁ……オマエたちが暖炉に住み着いている火の妖精か。側に寄ると毛皮の芯まであったまるんだゾ」
ジッと炎の妖精たちを見つめる。サラマンダーと似たような感じなのかしら?見たことないけど
う~ん、と考えていると、ふと足元に柔らかい感触が当たり、下を向く。
そこにはグリム君位の大きさをしたサンショウウオがいた。
抱っこ~という風に短い手をこちらに伸ばしている。
グリム「ふにゃ!?いつの間に…」
「…この子、サラマンダーなのかしら?よいしょ」
抱っこをすると、胸にすり寄ってきた…ほんのり温かい。
グリム「おぉ、こいつあったかいんだゾ」
サラマンダー『ボク、サラマンダー』
「ええ、よろしくね。」
自己紹介をしてくれたサラマンダーを撫でていると、暖炉にいた火の妖精の1人が私達の周りをグルリと回る。
すると、体がほんのりと温かくなった。
グリム「ほわぁ~風呂に入ったみたいにあったかいゾ!」
「ありがとう」
お礼を言うと、火の妖精は照れたように笑い、暖炉に戻って行った。
「あなたは帰らないの?」
サラマンダー『愛しい子とずっと一緒』
グリム「よし、オレ様の子分2号だ!」
監督生「1号になった覚えはないからね」
「ふふっ。仲がいいのね」
サラマンダーを腕の中に抱え、オンボロ寮へ戻ろうとした。
と、その時…鼻をくすぐるいい匂いが厨房の方から漂ってきた。
グリム君も気付いたようで、鼻を鳴らしている。
よく聞くと、包丁のリズムが聞こえてきた。誰もいないはずなのに…ゴーストさんが帰ってきたのかしら?
グリム「この包丁の音とこの匂い!スパイシーでいて食欲を刺激する異国の香りが漂ってきたんだゾ!キッチンの方からだ。行ってみようぜ、監督生!ロゼッタ!」
監督生「でも勝手に…。はい、聞いてくれないよね」
「追いかけましょうか」
監督生「そうですね」
_______________大食堂 厨房
グリム君と共に厨房を覗き込む。
監督生「人多っつ!」
グリム「ホリデー中なのになぁ?」
その中で、フードを被り、寮生たちに支持をする男の人に見覚えがあった。
ジャミル「野菜に火を通し終わったら解凍してあった肉を茹でてくれ。
油が温まったらナッツを入れるのを忘れるな」
スカラビア寮生「はい!」
スカラビア寮生「副寮長、スパイスの量なんですけれど、大さじ1杯でいいでしょうか?」
ジャミル「寮長の好みはもう少し辛めだな。あと小さじ1杯足してくれ」
あの子は…スカラビア寮の副寮長…ジャミル・バイパー君。
副寮長の彼がいるという事は、周りの生徒は全員スカラビアの人ね。
どうして帰省しなかったの?
グリム「にゃんだぁ?冬休みのはずなのに、生徒がいっぱいいるんだゾ」
監督生「副寮長さんと協同で料理って…ホリデー最中なのに、どうして……」
覗き込み過ぎて、腕に抱えていたサラマンダーがスルリと抜けてしまった。あ、と声を出し、慌てて抱える。
ジャミル「ん?君たちは……」
慌てて隠れようとしたが、既に遅かった。ジャミル君に見つかってしまったようだ。
グリム「み、見つかったんだゾ!」
「ご、ごめんなさい。邪魔をするつもりはなくて」
監督生「えっと、マジフト大会以来ですね」
ジャミル「あぁ、そうだな。マジフト大会前の怪我をしたとき、少し話をしたな。君たちは確か……ロゼッタとグリム、だったか?そして、寮母をしてくれてるエリーゼ」
グリム「物覚えがいいヤツなんだゾ!オマエの名前は、ええっと……」
ジャミル「ジャミルだ。“ジャミル・バイパー”。スカラビアの副寮長をしている。俺は昔から人の顔と名前を覚えるのは得意でね。それに、君らは入学以来とにかく目立つからなこの学園で、君らの名前を知らないヤツはいないんじゃないか?」
監督生「いやぁ、そんな事………………いいえ、ありますね」
グリム「えっ、そ、そうか? にゃっはっは!オレ様たちも名前が売れたもんなんだゾ!」
「グリム君。いい意味じゃないわよ。」
照れているグリム君に一応釘をさすが…聞いてないわね。
ジャミル「ところで……君たちは冬休みなのに何故学園に?」
グリム「オレ様たちには帰れる実家なんかねぇからな。それに学園長から暖炉の火の番という大役を任されているんだゾ。オレ様、真面目で有能だからな~!学園長に頼られるのも仕方ねぇことなんだゾ!」
監督生「真面目で有能かはともかく食料の確保の為…だけどね」
「私は、元々ここに残るつもりだったの。それで、ユウたちがお義父様に頼まれごとをされたから、一緒にやろうってなったの。」
ジャミル「へぇ……そうなのか。学園長にね……」
ジャミル君は何か考えこみ、何か小さく呟いた。
グリム「ん? なんか言ったか?」
ジャミル「あの学園長に認められるなんて君達は凄いな、と」
グリム「ニャハハ~それほどでもあるゾ!」
監督生「調子に乗らない」
ユウがウキウキとするグリム君に一応釘をさす。そういえば、結局彼らはここで何しているの?
「あ、だめよ!」
顔をグイッと出し、机に置かれた果物を食べようとするサラマンダーを慌てて止める。
グリム「わー、見てみろ、監督正!ロゼッタ!雪が積もってるんだゾ!」
「本当ね。道理で冷えると思ったわ。」
監督生「凄い!」
ホリデーの初日目。お義父様に頼まれたので、大食堂へ向かう私達。
しかし、扉を開ければ一面、白の世界でビックリした。
「こんなに寒いと暖炉の様子が心配だわ。」
グリム「火の妖精って奴等も震えてるかもしんねぇな。薪を持って行ってやるか。ついでにキッチンになにか買い物がないか漁ってやるんだゾ!
らんららーん」
監督生「あんまり走ると滑るよ」
ユウがグリム君に注意するが既に遅し、ベターッと雪に埋もれた。
ユウがやれやれと言いながら雪の中の彼を救出する。
薪の場所は知っているので、そこで薪の束を何個か台車に乗せて、校舎内を通り、大食堂へ。
その間も響くのは台車の音と靴音のみ。こんなに静かだと…逆に不気味だ。
グリム「うぅ、寒いんだゾ~」
監督生「もうちょっとだよ」
「頑張りましょう」
私達は台車を押すスピードを上げた。
______________大食堂
大食堂へ着き、暖炉の前まで台車を押していく。
グリム「ヒェ~寒かった!肉球が氷みてぇに冷てぇんだゾ!」
「さあ、薪を入れましょう」
軍手をはめ、薪をまとめる紐を切り、1本ずつ暖炉の中へ。
すると、1本目の薪を置いた途端、その薪が急に燃え始めた。
メラメラ燃える炎から1人、火をまとった火の妖精が現れた。
服装や髪の毛も、全て炎で出来ているのだろう…メラメラと燃えている。
一瞬で温かくなり、暖炉の前に手を出す。
グリム「ほぁ……オマエたちが暖炉に住み着いている火の妖精か。側に寄ると毛皮の芯まであったまるんだゾ」
ジッと炎の妖精たちを見つめる。サラマンダーと似たような感じなのかしら?見たことないけど
う~ん、と考えていると、ふと足元に柔らかい感触が当たり、下を向く。
そこにはグリム君位の大きさをしたサンショウウオがいた。
抱っこ~という風に短い手をこちらに伸ばしている。
グリム「ふにゃ!?いつの間に…」
「…この子、サラマンダーなのかしら?よいしょ」
抱っこをすると、胸にすり寄ってきた…ほんのり温かい。
グリム「おぉ、こいつあったかいんだゾ」
サラマンダー『ボク、サラマンダー』
「ええ、よろしくね。」
自己紹介をしてくれたサラマンダーを撫でていると、暖炉にいた火の妖精の1人が私達の周りをグルリと回る。
すると、体がほんのりと温かくなった。
グリム「ほわぁ~風呂に入ったみたいにあったかいゾ!」
「ありがとう」
お礼を言うと、火の妖精は照れたように笑い、暖炉に戻って行った。
「あなたは帰らないの?」
サラマンダー『愛しい子とずっと一緒』
グリム「よし、オレ様の子分2号だ!」
監督生「1号になった覚えはないからね」
「ふふっ。仲がいいのね」
サラマンダーを腕の中に抱え、オンボロ寮へ戻ろうとした。
と、その時…鼻をくすぐるいい匂いが厨房の方から漂ってきた。
グリム君も気付いたようで、鼻を鳴らしている。
よく聞くと、包丁のリズムが聞こえてきた。誰もいないはずなのに…ゴーストさんが帰ってきたのかしら?
グリム「この包丁の音とこの匂い!スパイシーでいて食欲を刺激する異国の香りが漂ってきたんだゾ!キッチンの方からだ。行ってみようぜ、監督生!ロゼッタ!」
監督生「でも勝手に…。はい、聞いてくれないよね」
「追いかけましょうか」
監督生「そうですね」
_______________大食堂 厨房
グリム君と共に厨房を覗き込む。
監督生「人多っつ!」
グリム「ホリデー中なのになぁ?」
その中で、フードを被り、寮生たちに支持をする男の人に見覚えがあった。
ジャミル「野菜に火を通し終わったら解凍してあった肉を茹でてくれ。
油が温まったらナッツを入れるのを忘れるな」
スカラビア寮生「はい!」
スカラビア寮生「副寮長、スパイスの量なんですけれど、大さじ1杯でいいでしょうか?」
ジャミル「寮長の好みはもう少し辛めだな。あと小さじ1杯足してくれ」
あの子は…スカラビア寮の副寮長…ジャミル・バイパー君。
副寮長の彼がいるという事は、周りの生徒は全員スカラビアの人ね。
どうして帰省しなかったの?
グリム「にゃんだぁ?冬休みのはずなのに、生徒がいっぱいいるんだゾ」
監督生「副寮長さんと協同で料理って…ホリデー最中なのに、どうして……」
覗き込み過ぎて、腕に抱えていたサラマンダーがスルリと抜けてしまった。あ、と声を出し、慌てて抱える。
ジャミル「ん?君たちは……」
慌てて隠れようとしたが、既に遅かった。ジャミル君に見つかってしまったようだ。
グリム「み、見つかったんだゾ!」
「ご、ごめんなさい。邪魔をするつもりはなくて」
監督生「えっと、マジフト大会以来ですね」
ジャミル「あぁ、そうだな。マジフト大会前の怪我をしたとき、少し話をしたな。君たちは確か……ロゼッタとグリム、だったか?そして、寮母をしてくれてるエリーゼ」
グリム「物覚えがいいヤツなんだゾ!オマエの名前は、ええっと……」
ジャミル「ジャミルだ。“ジャミル・バイパー”。スカラビアの副寮長をしている。俺は昔から人の顔と名前を覚えるのは得意でね。それに、君らは入学以来とにかく目立つからなこの学園で、君らの名前を知らないヤツはいないんじゃないか?」
監督生「いやぁ、そんな事………………いいえ、ありますね」
グリム「えっ、そ、そうか? にゃっはっは!オレ様たちも名前が売れたもんなんだゾ!」
「グリム君。いい意味じゃないわよ。」
照れているグリム君に一応釘をさすが…聞いてないわね。
ジャミル「ところで……君たちは冬休みなのに何故学園に?」
グリム「オレ様たちには帰れる実家なんかねぇからな。それに学園長から暖炉の火の番という大役を任されているんだゾ。オレ様、真面目で有能だからな~!学園長に頼られるのも仕方ねぇことなんだゾ!」
監督生「真面目で有能かはともかく食料の確保の為…だけどね」
「私は、元々ここに残るつもりだったの。それで、ユウたちがお義父様に頼まれごとをされたから、一緒にやろうってなったの。」
ジャミル「へぇ……そうなのか。学園長にね……」
ジャミル君は何か考えこみ、何か小さく呟いた。
グリム「ん? なんか言ったか?」
ジャミル「あの学園長に認められるなんて君達は凄いな、と」
グリム「ニャハハ~それほどでもあるゾ!」
監督生「調子に乗らない」
ユウがウキウキとするグリム君に一応釘をさす。そういえば、結局彼らはここで何しているの?
「あ、だめよ!」
顔をグイッと出し、机に置かれた果物を食べようとするサラマンダーを慌てて止める。