熱砂の策謀家
そのあと私たちはラギー君を見送った。ラギー君が去った闇の鏡を見ていると、腕にフワリと何かが巻きついた。
ん?と思いそちらを向くと、長い尻尾が…。
この尻尾を持つ人は…。
レオナ「フン。ガキを何人も集めて炊き出しなんて考えただけでゾッとするぜ。1人いるだけで煩くてかなわねえってのに」
「顎を置かないで下さい…」
腕に尻尾を巻きつき、私の頭に顎を乗せるレオナさん。
ジャック「あれ、レオナ先輩ご実家には戻られないんですか?」
レオナ「だったら良かったんだがな。帰らないと後からゴチャゴチャうるせぇから、帰る……面倒臭ぇ……おい、エリーゼ」
「お断りします」
レオナ「まだ何も言ってねぇ」
「“お前も来い”というつもりでしょうが、やる事があるので、レオナさんの実家というか、王宮に行くのは…えっと、手ぶらですか?」
レオナ「あ?財布とスマホがありゃいいだろ。私服は実家に置きっぱなしだし」
グリム「コイツはコイツで極端なんだゾ」
監督生「宿題は?」
レオナ「んなの決まってんだろ?寮だ」
エース「宿題すら持って帰らない開き直りっぷり……」
レオナ「宿題なんか休みが明けてからやりゃぁいいんだよ。ホリデーは休むのが仕事だろ?」
何言ってんだ、お前等?という顔をされながら言われても…。
休み明けのトレイン先生とクルーウェル先生が怖い…。
そんなことを思っていると、クシャクシャと頭を撫でられる。
レオナ「じゃあな、エリーゼ。草食動物のおまけ共」
エース「おまけ言うな!!」
「よいホリデーを」
エース君が言い返す中、私は手を振り、挨拶を返した。レオナさんは背を向けたまま片手を振り、闇の鏡へ入って行った。
ジャック「真面目にやりゃなんでもやれる実力がありながら、なんでやりゃねぇんだあの人は……」
監督生「レオナ先輩だから…」
ジャック「俺はキッチリ終わらせてくるぜ。お前らもサボんじゃねぇぞ。エリーゼさん、また来年」
エース「出た、真面目クン。はいはい、また来年なー」
監督生「また来年。ハッピーホリデー」
「怪我とか病気しないようにね。ハッピーホリデー」
レオナさんに続いて鏡の中へ入って行ったジャック君に手を振った。
デュース「キングスカラー先輩……あそこまでくると逆に感心するものがあるな」
監督生「感心しちゃ駄目だと思うけど…」
すると、コツコツとこちらに近付いてくる足音が背後から聞こえ、
振り返ると、トレイさんとケイトさんがいた。
ケイト「こらこら、1年生たち~。ああいう悪い先輩は見習っちゃダメだからね」
トレイ「宿題未提出なんて、ウチの寮ならリドルに首をはねられるぞ」
エース「トレイ先輩、ケイト先輩」
ケイト「はぁ。オレも実家に帰るのちょっと憂鬱~」
「憂鬱?どうしてですか?」
ケイト「嫌というか~オレ、姉ちゃん2人いるんだけどさ、絶対2人とも帰ってきてるもん。ホリデー関係なくこき使われるよ。オレ、トレイくんちにホームステイに行きたいなー」
トレイ「構わないが、うちに来てもこき使うぞ。冬はケーキ屋が一番忙しい時期だからな」
ケイト「あ、そっか。トレイくんちってケーキ屋さんだっけ」
監督生「どのみち、逃げ場ないですね」
トホホという顔を浮かべるケイトさん。
あれ?リドル君がいないと思ったら奥の方から浮かない顔を浮かべ、トコトコと歩いてくる赤髪が・・・。リドル君だった。
トレイさん達と一緒にいない何て珍しい…けど、何か元気がない。
デュース「あ、ローズハート寮長!道を塞いですんません!」
リドル「…………ん?ああ、お前達か。まだ長話をするつもりなら、壁際によけるのだね」
リドル君の登場に背筋を立てるデュース君。普段のリドル君はもう少し、長々と説教をするが…今回はただの注意で終わる。
グリム「あれ?なんかアイツ、元気がねぇんだゾ」
エース「あー、そっか。寮長は実家でエグめの教育ママが待ち構えてるんだっけ。一時帰宅が憂鬱にもなるか」
オーバーブロットの原因の1つとなった…リドル君とお母さんの問題。
あの事件から初めて、家へ帰省するから…気が重いのだろう。
同郷であるトレイさんも心配そうにリドル君を見つめる。
トレイ「……リドル。俺はお前の家に立ち入り禁止だからケーキを届けたりはしてやれないけど……。いつでも店に遊びに来いよ。チェーニャも遊びに来るだろうし」
リドル「そう、だね。ボクもお母様と少し……話をしてみようと思う。
……聞いてもらえるかはわからないけど……」
トレイ「……そうか。頑張れ」
とんっとリドル君の肩に手を置くトレイさん。それでもなお、浮かない顔を浮かべるリドル君。
私はリドル君の前に立ち、リドル君の手をそっと握った
リドル「なっ!?」
監督生「(レオナさんが知ったら、嫉妬で怒り狂いそう)」
「向き合えるわよ、リドル君なら…。ちゃんとあなたの気持ちを伝えて、ゆっくりでもいいですから打ち解けあえばいいの。打ち解け合えたら、トレイさんのイチゴタルトを一緒に食べに行けば良いのよ。もしくは、リドル君が作ってあげるか」
リドル「……ありがとう、エリーゼ」
「ふふっ。オイスターソースいれちゃ駄目よ」
リドル「いれないよ!」
リドル君たちも、鏡の間を通っていき、鏡の間には、私・ユウ・グリム君が残ったのだった。
ん?と思いそちらを向くと、長い尻尾が…。
この尻尾を持つ人は…。
レオナ「フン。ガキを何人も集めて炊き出しなんて考えただけでゾッとするぜ。1人いるだけで煩くてかなわねえってのに」
「顎を置かないで下さい…」
腕に尻尾を巻きつき、私の頭に顎を乗せるレオナさん。
ジャック「あれ、レオナ先輩ご実家には戻られないんですか?」
レオナ「だったら良かったんだがな。帰らないと後からゴチャゴチャうるせぇから、帰る……面倒臭ぇ……おい、エリーゼ」
「お断りします」
レオナ「まだ何も言ってねぇ」
「“お前も来い”というつもりでしょうが、やる事があるので、レオナさんの実家というか、王宮に行くのは…えっと、手ぶらですか?」
レオナ「あ?財布とスマホがありゃいいだろ。私服は実家に置きっぱなしだし」
グリム「コイツはコイツで極端なんだゾ」
監督生「宿題は?」
レオナ「んなの決まってんだろ?寮だ」
エース「宿題すら持って帰らない開き直りっぷり……」
レオナ「宿題なんか休みが明けてからやりゃぁいいんだよ。ホリデーは休むのが仕事だろ?」
何言ってんだ、お前等?という顔をされながら言われても…。
休み明けのトレイン先生とクルーウェル先生が怖い…。
そんなことを思っていると、クシャクシャと頭を撫でられる。
レオナ「じゃあな、エリーゼ。草食動物のおまけ共」
エース「おまけ言うな!!」
「よいホリデーを」
エース君が言い返す中、私は手を振り、挨拶を返した。レオナさんは背を向けたまま片手を振り、闇の鏡へ入って行った。
ジャック「真面目にやりゃなんでもやれる実力がありながら、なんでやりゃねぇんだあの人は……」
監督生「レオナ先輩だから…」
ジャック「俺はキッチリ終わらせてくるぜ。お前らもサボんじゃねぇぞ。エリーゼさん、また来年」
エース「出た、真面目クン。はいはい、また来年なー」
監督生「また来年。ハッピーホリデー」
「怪我とか病気しないようにね。ハッピーホリデー」
レオナさんに続いて鏡の中へ入って行ったジャック君に手を振った。
デュース「キングスカラー先輩……あそこまでくると逆に感心するものがあるな」
監督生「感心しちゃ駄目だと思うけど…」
すると、コツコツとこちらに近付いてくる足音が背後から聞こえ、
振り返ると、トレイさんとケイトさんがいた。
ケイト「こらこら、1年生たち~。ああいう悪い先輩は見習っちゃダメだからね」
トレイ「宿題未提出なんて、ウチの寮ならリドルに首をはねられるぞ」
エース「トレイ先輩、ケイト先輩」
ケイト「はぁ。オレも実家に帰るのちょっと憂鬱~」
「憂鬱?どうしてですか?」
ケイト「嫌というか~オレ、姉ちゃん2人いるんだけどさ、絶対2人とも帰ってきてるもん。ホリデー関係なくこき使われるよ。オレ、トレイくんちにホームステイに行きたいなー」
トレイ「構わないが、うちに来てもこき使うぞ。冬はケーキ屋が一番忙しい時期だからな」
ケイト「あ、そっか。トレイくんちってケーキ屋さんだっけ」
監督生「どのみち、逃げ場ないですね」
トホホという顔を浮かべるケイトさん。
あれ?リドル君がいないと思ったら奥の方から浮かない顔を浮かべ、トコトコと歩いてくる赤髪が・・・。リドル君だった。
トレイさん達と一緒にいない何て珍しい…けど、何か元気がない。
デュース「あ、ローズハート寮長!道を塞いですんません!」
リドル「…………ん?ああ、お前達か。まだ長話をするつもりなら、壁際によけるのだね」
リドル君の登場に背筋を立てるデュース君。普段のリドル君はもう少し、長々と説教をするが…今回はただの注意で終わる。
グリム「あれ?なんかアイツ、元気がねぇんだゾ」
エース「あー、そっか。寮長は実家でエグめの教育ママが待ち構えてるんだっけ。一時帰宅が憂鬱にもなるか」
オーバーブロットの原因の1つとなった…リドル君とお母さんの問題。
あの事件から初めて、家へ帰省するから…気が重いのだろう。
同郷であるトレイさんも心配そうにリドル君を見つめる。
トレイ「……リドル。俺はお前の家に立ち入り禁止だからケーキを届けたりはしてやれないけど……。いつでも店に遊びに来いよ。チェーニャも遊びに来るだろうし」
リドル「そう、だね。ボクもお母様と少し……話をしてみようと思う。
……聞いてもらえるかはわからないけど……」
トレイ「……そうか。頑張れ」
とんっとリドル君の肩に手を置くトレイさん。それでもなお、浮かない顔を浮かべるリドル君。
私はリドル君の前に立ち、リドル君の手をそっと握った
リドル「なっ!?」
監督生「(レオナさんが知ったら、嫉妬で怒り狂いそう)」
「向き合えるわよ、リドル君なら…。ちゃんとあなたの気持ちを伝えて、ゆっくりでもいいですから打ち解けあえばいいの。打ち解け合えたら、トレイさんのイチゴタルトを一緒に食べに行けば良いのよ。もしくは、リドル君が作ってあげるか」
リドル「……ありがとう、エリーゼ」
「ふふっ。オイスターソースいれちゃ駄目よ」
リドル「いれないよ!」
リドル君たちも、鏡の間を通っていき、鏡の間には、私・ユウ・グリム君が残ったのだった。