熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
グリム「ふな~~~ッ!まだ切ってないのに甘い匂いがしてめちゃくちゃ美味そうなんだゾ!」
「おっと、猫ちゃんもパイナップルを食べるのかい?じゃあ6等分にして串に刺して……っと。これで良し。さあ、角の兄ちゃんも眼鏡の兄ちゃんも美人な嬢ちゃん達もみんなで仲良く食ってくれ!」
笑顔を浮かべながら店主は私たちにパイナップル串を渡してくれた。
トレイ「これは……このまま串刺しの果実にかぶりつけばいいのか?」
グリム「はぐはぐっ!くぅ~~、甘くて瑞々しくて最高に美味いんだゾ!」
監督生「うん、すごくジューシー。あまり酸っぱくないから食べやすいし」
ジャミル「当たり前だ。果物の目利きに関してはおやっさんの右に出る者はいないからな」
「がっはっは!調子のいいこった。祭りを楽しんでいけよ、坊主ども!」
美味しいパイナップルを堪能し、店主に手を振りながら去る。
そのまましばらく歩いていると、マレウスさんがある店の前で足を止めた。
マレウス「ここは……食器店か。バイパー、僕はこの店を見てくる」
ジャミル「わかりました。外のベンチで待っていますから、用事が済んだらお声がけください」
マレウス「ああ、わかった」
そう言ってマレウスさんが食器店に入っていく。
どうやらここで別行動らしい。
グリム「うーん、食器は食えないからな。オレ様たちはあっちの焼き菓子屋を見てくるんだゾ!」
ジャミル「監督生、グリムをしっかり見張っててくれよ」
監督生「わかりました。」
「2人だけじゃ心配だから私もついていくわね」
ジャミル「わかりました。よろしくお願いします」
そうして私はユウとグリム君と一緒に焼き菓子屋に向かう。
グリム「ふなぁ~~、美味そうな菓子ばっかりなんだゾ!」
「本当ね。私はまだ個人用のお土産買ってないから、グリム君が好きなのを選んでちょうだい」
グリム「えっ、いいのか!?」
「もちろん。後で分けっこしましょう」
グリム「わかったんだゾ!」
監督生「いいんですか?」
「ええ。ユウも気に入ったのあるなら買ってあげる」
監督生「わたしはいいです。」
そんな会話をしながら店に入ろうとした時…
「ちょいと。ちょいとそこのお嬢さん2人と猫ちゃん」
「はい?」
監督生「何ですか?」
グリム「ふな?」
声をかけられ振り返ると、そこにいたのは露天商の男性。
彼は笑顔を浮かべ、古びたランプを見せながら言った。
「どうだい?ぜひともこの魔法ランプを買ってみないかい?」
「魔法のランプ……?」
監督生「本当に?」
グリム「おお、すごいランプなんだゾ!」
明らかに胡散臭い商人に疑念の目を私とユウは向けるが、グリム君はすっかり信じている。
マレウス「そんなところでどうした?」
「あ、マレウスさん」
ちょうど食器店から出たマレウスさんが合流した直後、ジャミル君とトレイさんもやってきた。
ジャミル「マレウス先輩、こちらにいらっしゃったんですね」
マレウス「バイパーにクローバーも来たか。なにやらグリムが面白い物を見つけてな」
トレイ「面白い物?」
増えた客人を見てほくそ笑んだ商人は、流暢な口調で口上を言った。
「サラーム、サラームお客様。本日の目玉商品は、古の時代より伝わる魔法のランプ。持ち主のどんな願いも3つ叶えてくれる、霊験あらたかな品物です」
マレウス「……というわけだ。店主の売り文句が本当なら、滅多にない掘り出し物だが……」
グリム「このランプがあれば大魔法士になって、毎日腹いっぱい美味いモンを食べて、それから……とにかく、めちゃくちゃハッピーになれること間違いなしなんだゾ!!!」
監督生「グリムらしい我欲な願いばかりだね……」
「ああ、お客様お目が高い!高尚な願いのすべて、このランプが必ずや叶えてくれるでしょう」
え?グリム君の願いが高尚な願い?
ますます怪しい
「聞けば海を渡った先の遠い島から『絹の街』にお越しくださったとか!」本当は10万マドルは下らない逸品ですが……今回は特別に5万マドルでお譲りいたしましょう」
監督生「まさかの半額!?」
「それでも学生が手を出せる値段じゃないぞ」
グリム「オイ子分!さっさとこのランプを買うんだぞ!」
「嫌。こんな胡散臭い代物に、そんな大金出せるわけないでしょ。」
ジャミル「監督生の言う通りだ。仮にそれが本物の“願いの叶う魔法のランプ”だとしたら、伝説級の代物だ。そんな金額で売りに出す訳がない」
買わせる気満々のグリム君にユウが反論すると、ジャミル君もその意見に同意した。
グリム「う~~ん。でも、このランプかなり古そうだゾ」
「それくらい、ちょっとした細工すればできるわよ、グリム君。」
ジャミル「ああ。これはエイジング加工……年季が入って見えるようにレプリカのランプに手を加えているだけだ。観光客に安物を高く売りつけるための常套手段だよ」
「祭りの相乗効果もあって、完全に浮かれた観光客がこういう詐欺に引っかかりやすいの。まったく……随分と悪知恵の働く商人がいたものね。」
ジャミル君と私の言葉に、さすがに商人もカチンと来たらしい。
「おっと、猫ちゃんもパイナップルを食べるのかい?じゃあ6等分にして串に刺して……っと。これで良し。さあ、角の兄ちゃんも眼鏡の兄ちゃんも美人な嬢ちゃん達もみんなで仲良く食ってくれ!」
笑顔を浮かべながら店主は私たちにパイナップル串を渡してくれた。
トレイ「これは……このまま串刺しの果実にかぶりつけばいいのか?」
グリム「はぐはぐっ!くぅ~~、甘くて瑞々しくて最高に美味いんだゾ!」
監督生「うん、すごくジューシー。あまり酸っぱくないから食べやすいし」
ジャミル「当たり前だ。果物の目利きに関してはおやっさんの右に出る者はいないからな」
「がっはっは!調子のいいこった。祭りを楽しんでいけよ、坊主ども!」
美味しいパイナップルを堪能し、店主に手を振りながら去る。
そのまましばらく歩いていると、マレウスさんがある店の前で足を止めた。
マレウス「ここは……食器店か。バイパー、僕はこの店を見てくる」
ジャミル「わかりました。外のベンチで待っていますから、用事が済んだらお声がけください」
マレウス「ああ、わかった」
そう言ってマレウスさんが食器店に入っていく。
どうやらここで別行動らしい。
グリム「うーん、食器は食えないからな。オレ様たちはあっちの焼き菓子屋を見てくるんだゾ!」
ジャミル「監督生、グリムをしっかり見張っててくれよ」
監督生「わかりました。」
「2人だけじゃ心配だから私もついていくわね」
ジャミル「わかりました。よろしくお願いします」
そうして私はユウとグリム君と一緒に焼き菓子屋に向かう。
グリム「ふなぁ~~、美味そうな菓子ばっかりなんだゾ!」
「本当ね。私はまだ個人用のお土産買ってないから、グリム君が好きなのを選んでちょうだい」
グリム「えっ、いいのか!?」
「もちろん。後で分けっこしましょう」
グリム「わかったんだゾ!」
監督生「いいんですか?」
「ええ。ユウも気に入ったのあるなら買ってあげる」
監督生「わたしはいいです。」
そんな会話をしながら店に入ろうとした時…
「ちょいと。ちょいとそこのお嬢さん2人と猫ちゃん」
「はい?」
監督生「何ですか?」
グリム「ふな?」
声をかけられ振り返ると、そこにいたのは露天商の男性。
彼は笑顔を浮かべ、古びたランプを見せながら言った。
「どうだい?ぜひともこの魔法ランプを買ってみないかい?」
「魔法のランプ……?」
監督生「本当に?」
グリム「おお、すごいランプなんだゾ!」
明らかに胡散臭い商人に疑念の目を私とユウは向けるが、グリム君はすっかり信じている。
マレウス「そんなところでどうした?」
「あ、マレウスさん」
ちょうど食器店から出たマレウスさんが合流した直後、ジャミル君とトレイさんもやってきた。
ジャミル「マレウス先輩、こちらにいらっしゃったんですね」
マレウス「バイパーにクローバーも来たか。なにやらグリムが面白い物を見つけてな」
トレイ「面白い物?」
増えた客人を見てほくそ笑んだ商人は、流暢な口調で口上を言った。
「サラーム、サラームお客様。本日の目玉商品は、古の時代より伝わる魔法のランプ。持ち主のどんな願いも3つ叶えてくれる、霊験あらたかな品物です」
マレウス「……というわけだ。店主の売り文句が本当なら、滅多にない掘り出し物だが……」
グリム「このランプがあれば大魔法士になって、毎日腹いっぱい美味いモンを食べて、それから……とにかく、めちゃくちゃハッピーになれること間違いなしなんだゾ!!!」
監督生「グリムらしい我欲な願いばかりだね……」
「ああ、お客様お目が高い!高尚な願いのすべて、このランプが必ずや叶えてくれるでしょう」
え?グリム君の願いが高尚な願い?
ますます怪しい
「聞けば海を渡った先の遠い島から『絹の街』にお越しくださったとか!」本当は10万マドルは下らない逸品ですが……今回は特別に5万マドルでお譲りいたしましょう」
監督生「まさかの半額!?」
「それでも学生が手を出せる値段じゃないぞ」
グリム「オイ子分!さっさとこのランプを買うんだぞ!」
「嫌。こんな胡散臭い代物に、そんな大金出せるわけないでしょ。」
ジャミル「監督生の言う通りだ。仮にそれが本物の“願いの叶う魔法のランプ”だとしたら、伝説級の代物だ。そんな金額で売りに出す訳がない」
買わせる気満々のグリム君にユウが反論すると、ジャミル君もその意見に同意した。
グリム「う~~ん。でも、このランプかなり古そうだゾ」
「それくらい、ちょっとした細工すればできるわよ、グリム君。」
ジャミル「ああ。これはエイジング加工……年季が入って見えるようにレプリカのランプに手を加えているだけだ。観光客に安物を高く売りつけるための常套手段だよ」
「祭りの相乗効果もあって、完全に浮かれた観光客がこういう詐欺に引っかかりやすいの。まったく……随分と悪知恵の働く商人がいたものね。」
ジャミル君と私の言葉に、さすがに商人もカチンと来たらしい。