熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
思わぬココナッツ割りショーをやることになって、色んな人から注目された。なんとか人混みから抜けられた私たちは次の場所へ向かう。
ケイト「ラクダバザールって広いね~」
トレイ「果物、花、日用品みたいに、売っているものごとに店同士が集まっているんだな」
監督生「しかもきちんと区画されていて、わかりやすいですね」
マレウス「この辺りはなにを売っている場所なんだ?」
ナジュマ「ここは、ナッツやドライフルーツを売ってるお店が集まっています。どちらも熱砂の国の定番おやつで、老若男女問わず人気があるんですよ」
ジャミル「…………」
あれ?さっきまで説明していたジャミル君が無言になってる。
代わりにナジュマが説明してくれたけど……なんで黙ってるのかしら?
ケイト「山盛りのナッツやドライフルーツが、量り売りされてるね~」
トレイ「ヒヨコ豆にピスタチオ、ひまわりの種か……。どれも栄養価が高く健康に良さそうだな。ナジュマちゃんのおすすめはどれかな?」
ナジュマ「私の大好物は、デーツです」
トレイ「ナツメヤシのことか」
ナジュマ「はい!ドライフルーツにして食べるのが定番ですよ。ジャムとかゼリーも売ってます。あとシロップとかにしてもおいしいの!」
そう言ってナジュマは、とある店のほうを指さす。
ナジュマ「あの店先にたくさん積まれている、黒っぽいドライフルーツが、デーツですよ」
監督生「やっぱり定番なだけあって、かなり目立つ」
ケイト「どれどれ……」
ジャミル「あの、ここは早く離れた方が……」
店主「よぉ、ジャミルじゃないか!随分、久しぶりだな!」
ジャミル「ぎくっ!!お、お久しぶりです……」
ジャミル君が先を急かした瞬間、この店の店主が声をかけてきた。
「ジャミル君、お知り合いの方?」
店主「今日は買い物か?また大暴れは勘弁してくれよ~?」
「「「「「大暴れ?」」」」」
ジャミル「う……、またその話を……。俺が子どもの頃の話じゃないですか……」
ケイト「ジャミルくん、一体なんの話?」
ジャミル「なんでもありません」
店主「それがよお~……」
ジャミル「あああ!やめてください!余計なことを言われるぐらいなら自分で説明します!」
店主の話を遮るように大声を上げたジャミル君は、観念したように口を開いた。
ジャミル「……、じ、実は……。昔、少しトラブルを起こしてしまいまして……」
ケイト「ジャミルくんが?ちょっと信じられないかも。いつも慎重なのに」
トレイ「あぁ。いったい、なにがあったんだ?」
ジャミル「……子どもの頃は、俺もデーツが大好きでした。ナジュマと一緒に、よくこの店でデーツを買っていたんです。しかしある時、受け取った商品に混ざっていたんです……む、虫がっ!!!!!!」
「「「「虫?」」」」
「あ」
みんなは首を傾げるけど、私はすぐに思い出す。
そうだった。ジャミル君、大の虫嫌いだった。
ジャミル「アイツは何食わぬ顔をして、さも『自分もデーツの仲間です』みたいな様子で、俺の手の中に……それで、あまりにびっくりしてつい魔法を使ってしまいました」
ケイト「どんな魔法?」
ジャミル「……火です」
店主「虫を退治するつもりで、うちの店のシェードを焼いちまったってわけさ」
監督生「乾燥地帯でなんて恐ろしいことを……」
乾燥地帯で火を扱うのはとても危険。そのことはあの事件でよく理解しているつもりだ。
ケイト「わあ……ジャミルくんって意外と過激」
ジャミル「と、当時はまだ小さくて!うまく魔法の制御ができなかったんです!」
店主「シェードは焦げたぐらいですんだけど……その後、ジャミルをなだめるのが大変だったよ。もう、べしょべしょに泣きながら暴れてなあ~!」
ケイト「へえ~?」
トレイ「ジャミルがねえ」
ジャミル「子どもの頃の話ですから!!」
マレウス「今も子どもだろう」
監督生「変に大人ぶらないでください17歳児」
ジャミル「ううう……もうやめてください!」
ナジュマ「おじさん!ジャミルのことは放っておいていいんで、デーツをください」
みんなにからかわれて、ジャミル先輩はその場でうずくまる。
そんな兄の様子をスルーしたナジュマは平然と注文した。
ナジュマ「はい、デーツのドライフルーツです。皆さん、どうぞ!」
「私の分はサラマンダーにあげるわね」
サラマンダー『いいの?』
「ええ。」
グリム「ムシャムシャ……。おー!甘くてウマいんだゾ!」
監督生「本当だ。素材の甘さを活かしてる」
トレイ「砂糖を一切使っていないのに、これほど甘味があるとは驚きだな。新作菓子に使ったら面白いものができそうだ。自然な甘さと食感が、良いアクセントになる」
グリム「お菓子作りをする時には、オレ様を呼べよ。味の評価をしてやるゾ!」
ケイト「グリちゃんは、ずっと食べていたいからって、美味しくてもダメ出しばっかしそうだね」
監督生「あり得る」
トレイ「それは困るな。グリムの評価は当てにしないことにするか」
ケイト「低カロリーっていうのもポイント高いよね。人気になりそう♪#罪悪感ゼロ #天然スイーツ #体に優しいごほうびタイム ってカンジ!」
マレウス「デーツのシロップというのも気になるな。氷菓にかけたら、さぞ美味いだろう。今度クローバーに作ってもらうのもいいかもしれない」
ジャミル「……」
デーツで盛り上がっている私たちの横で、ジャミル君は無言のまま。
しかもデーツを一口も食べていなかった。
ケイト「あれ、ジャミルくんは食べないの?このデーツに虫は付いてないのに」
ジャミル「あの一件以来、デーツを食べられなくなったんです。見るのも嗅ぐのもダメで……あの光景を思い出してしまう……」
トレイ「そ、そこまでなのか……」
「意外と傷が深かったようですね」
サラマンダー『なら、それちょうだい』
「あ、ちょっと勝手に肩の乗ったらダメでしょ。ごめんなさい、ジャミル君。」
ジャミル「かまいません。食べていいぞ」
サラマンダー『やった~』
ケイト「ラクダバザールって広いね~」
トレイ「果物、花、日用品みたいに、売っているものごとに店同士が集まっているんだな」
監督生「しかもきちんと区画されていて、わかりやすいですね」
マレウス「この辺りはなにを売っている場所なんだ?」
ナジュマ「ここは、ナッツやドライフルーツを売ってるお店が集まっています。どちらも熱砂の国の定番おやつで、老若男女問わず人気があるんですよ」
ジャミル「…………」
あれ?さっきまで説明していたジャミル君が無言になってる。
代わりにナジュマが説明してくれたけど……なんで黙ってるのかしら?
ケイト「山盛りのナッツやドライフルーツが、量り売りされてるね~」
トレイ「ヒヨコ豆にピスタチオ、ひまわりの種か……。どれも栄養価が高く健康に良さそうだな。ナジュマちゃんのおすすめはどれかな?」
ナジュマ「私の大好物は、デーツです」
トレイ「ナツメヤシのことか」
ナジュマ「はい!ドライフルーツにして食べるのが定番ですよ。ジャムとかゼリーも売ってます。あとシロップとかにしてもおいしいの!」
そう言ってナジュマは、とある店のほうを指さす。
ナジュマ「あの店先にたくさん積まれている、黒っぽいドライフルーツが、デーツですよ」
監督生「やっぱり定番なだけあって、かなり目立つ」
ケイト「どれどれ……」
ジャミル「あの、ここは早く離れた方が……」
店主「よぉ、ジャミルじゃないか!随分、久しぶりだな!」
ジャミル「ぎくっ!!お、お久しぶりです……」
ジャミル君が先を急かした瞬間、この店の店主が声をかけてきた。
「ジャミル君、お知り合いの方?」
店主「今日は買い物か?また大暴れは勘弁してくれよ~?」
「「「「「大暴れ?」」」」」
ジャミル「う……、またその話を……。俺が子どもの頃の話じゃないですか……」
ケイト「ジャミルくん、一体なんの話?」
ジャミル「なんでもありません」
店主「それがよお~……」
ジャミル「あああ!やめてください!余計なことを言われるぐらいなら自分で説明します!」
店主の話を遮るように大声を上げたジャミル君は、観念したように口を開いた。
ジャミル「……、じ、実は……。昔、少しトラブルを起こしてしまいまして……」
ケイト「ジャミルくんが?ちょっと信じられないかも。いつも慎重なのに」
トレイ「あぁ。いったい、なにがあったんだ?」
ジャミル「……子どもの頃は、俺もデーツが大好きでした。ナジュマと一緒に、よくこの店でデーツを買っていたんです。しかしある時、受け取った商品に混ざっていたんです……む、虫がっ!!!!!!」
「「「「虫?」」」」
「あ」
みんなは首を傾げるけど、私はすぐに思い出す。
そうだった。ジャミル君、大の虫嫌いだった。
ジャミル「アイツは何食わぬ顔をして、さも『自分もデーツの仲間です』みたいな様子で、俺の手の中に……それで、あまりにびっくりしてつい魔法を使ってしまいました」
ケイト「どんな魔法?」
ジャミル「……火です」
店主「虫を退治するつもりで、うちの店のシェードを焼いちまったってわけさ」
監督生「乾燥地帯でなんて恐ろしいことを……」
乾燥地帯で火を扱うのはとても危険。そのことはあの事件でよく理解しているつもりだ。
ケイト「わあ……ジャミルくんって意外と過激」
ジャミル「と、当時はまだ小さくて!うまく魔法の制御ができなかったんです!」
店主「シェードは焦げたぐらいですんだけど……その後、ジャミルをなだめるのが大変だったよ。もう、べしょべしょに泣きながら暴れてなあ~!」
ケイト「へえ~?」
トレイ「ジャミルがねえ」
ジャミル「子どもの頃の話ですから!!」
マレウス「今も子どもだろう」
監督生「変に大人ぶらないでください17歳児」
ジャミル「ううう……もうやめてください!」
ナジュマ「おじさん!ジャミルのことは放っておいていいんで、デーツをください」
みんなにからかわれて、ジャミル先輩はその場でうずくまる。
そんな兄の様子をスルーしたナジュマは平然と注文した。
ナジュマ「はい、デーツのドライフルーツです。皆さん、どうぞ!」
「私の分はサラマンダーにあげるわね」
サラマンダー『いいの?』
「ええ。」
グリム「ムシャムシャ……。おー!甘くてウマいんだゾ!」
監督生「本当だ。素材の甘さを活かしてる」
トレイ「砂糖を一切使っていないのに、これほど甘味があるとは驚きだな。新作菓子に使ったら面白いものができそうだ。自然な甘さと食感が、良いアクセントになる」
グリム「お菓子作りをする時には、オレ様を呼べよ。味の評価をしてやるゾ!」
ケイト「グリちゃんは、ずっと食べていたいからって、美味しくてもダメ出しばっかしそうだね」
監督生「あり得る」
トレイ「それは困るな。グリムの評価は当てにしないことにするか」
ケイト「低カロリーっていうのもポイント高いよね。人気になりそう♪#罪悪感ゼロ #天然スイーツ #体に優しいごほうびタイム ってカンジ!」
マレウス「デーツのシロップというのも気になるな。氷菓にかけたら、さぞ美味いだろう。今度クローバーに作ってもらうのもいいかもしれない」
ジャミル「……」
デーツで盛り上がっている私たちの横で、ジャミル君は無言のまま。
しかもデーツを一口も食べていなかった。
ケイト「あれ、ジャミルくんは食べないの?このデーツに虫は付いてないのに」
ジャミル「あの一件以来、デーツを食べられなくなったんです。見るのも嗅ぐのもダメで……あの光景を思い出してしまう……」
トレイ「そ、そこまでなのか……」
「意外と傷が深かったようですね」
サラマンダー『なら、それちょうだい』
「あ、ちょっと勝手に肩の乗ったらダメでしょ。ごめんなさい、ジャミル君。」
ジャミル「かまいません。食べていいぞ」
サラマンダー『やった~』