熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
ジャミル君に案内されたのは、ココナッツがたくさん入った箱を囲むように設置された屋台。
気前が良さそうな恰幅のいい店主に、ジャミル君は声をかける。
ジャミル「こんにちは。ココナッツジュースをもらえますか?」
店主「おー、ジャミルくん。久しぶりだね。花火大会の方は、上手くいきそうかい?」
ジャミル「ええ、まぁ」
店主「アジーム家がどんなすごい物を見せてくれるのか、期待しているよ!」
ジャミル「はい。伝えておきます」
行きつけということもあり、ジャミル君は店主と和気藹々と話していた。
店主「それで今日は何個欲しいんだい?いつもの50個?それとも多めの100個にする?」
「「「「……そんなに!?」」」」
ジャミル「いえ、今日は8個ください」
店主「カリム坊ちゃんの買い出しではないんだね。わかったよ、すぐに用意するから」
普通では聞かない個数に驚いていると、ジャミル君は平然と注文する。
店主が屋台の奥に引っ込んだ隙に、ケイトさんが詰め寄った。
ケイト「……ジャミルくん!いつもそんなに大量のココナッツジュースを買うの!?」
ジャミル「カリムの大好物ですからね。多い時は、トラックで運んでもらっています」
トレイ「好きだからといっても、限度があるだろう」
監督生「
監督生「よくお腹壊しませんね」
店主「はい。生ココナッツジュース、おまちどー!」
会話をしていると、屋台のテーブルにココナッツが丸ごと8つ置かれる。
マレウス「……ココナッツが丸ごと出てきたが、これのどこがジュースなんだ?」
ジャミル「上の部分がくり抜かれているんです。そこから中のココナッツの果汁を飲むんです」
ケイト「果実が器になっているって、面白いね♪」
ナジュマ「はい、ストローです。これで手に持って飲めますよ」
グリム「おー!くれくれ!」
ナジュマがストローを配り、それを受け取るとそのままココナッツジュースを飲む。
ケイト「へぇー、さっぱりした味で美味しいね。甘すぎないから、ごくごく飲めるよ」
トレイ「あぁ。カリムが何杯も飲みたくなるのもわかる。……100個は多すぎだが」
マレウス「リリアから、果実に直接ストローを指して飲むジュースの話を聞いたが、これのことだったのか。てっきりからかわれているものだとばかり」
「まぁ、実物見ないと信じられないですよね」
サラマンダー『ボクも飲む~』
「はい。どうぞ」
そう話しながらココナッツジュースを飲んでいると、ジャミル君も飲みながら言った。
ジャミル「それとココナッツは、果汁を飲むだけではなく、中の果肉を食べることが出来ますよ」
グリム「よし、丸ごと全部食べてやるゾ!」
「グリム君、ちょっと待っ――」
先の飲み終えたグリム君がココナッツにかじりつこうとして、慌てて制止するも一足遅く。
ココナッツに歯を入れた直後、ガツッ!と音が響いた。
グリム「かっ、硬過ぎる……歯が折れそうなんだゾ!」
ジャミル「そのままかじる奴がいるか!ナイフで割って、中の果肉を取り出すんだ。ココナッツの実はとても硬いんだ。道具を使わなければとても割ることなんてできない」
トレイ「それなら、お店でナイフを貸してもらうか」
監督生「これは包丁のほうがいいんじゃないですか?」
ココナッツの割り方について話していると、おもむろにマレウスさんが手を差し出す。
マレウス「……僕に渡してみろ、クローバー」
トレイ「ん?かまわないが……」
首を傾げながらマレウスさんにココナッツを渡すトレイさん。
マレウスさんはくり抜かれた部分に両手の親指を入れながら持つと、
マレウス「要はこれを割ればいいのだろう?」
バカァッ!!!と真っ二つに割った。素手で!!
マレウス「ほら」
トレイ「……あ、ありがとう」
ケイト「ココナッツの実を、卵みたいに真っ二つに割るなんて……さすがマレウスくん」
監督生「もはやなんでもありだ」
その光景を横目に見ていると、トレイさんはココナッツの果肉を食べる。
トレイ「これがココナッツの果肉か。ヨーグルトを固くしたような独特の食感だ。加工されたものをお菓子作りに使ったことはあったけど、生は初めて食べるよ」
ナジュマ「すごーい!私のも割ってください!」
ジャミル「こ、こら、ナジュマ!マレウス先輩をなんだと思っているんだ!」
マレウス「僕は別に構わないぞ」
グリム「マレウス!オレ様のも割ってくれ!!監督生も、頼んだ方がいいんだゾ!」
監督生「そうね……なら、私の分も頼むわね、ツノ太郎」
ケイト「じゃあ、オレのも~♪」
マレウス「ロゼッタはどうする?」
「私はもうお腹いっぱいですk『ボク食べたい!』えっ!…じゃあ、私の分もお願いします」
私を含めてみんながマレウスさんにココナッツを割るのを頼む。
本人は頼られて嬉しいのか、ココナッツを次々と割っていく。
しかも屋台の近くにいるせいで、パフォーマンスかと思ったのか、通りすがりの人たちがスマホを片手に動画を撮っていた。
トレイ「ロゼッタやケイトまで……」
ジャミル「マレウス先輩が、ココナッツを割る係になってしまうとは……」
トレイ「学園委戻って誰かに話しても、信じてもらえないだろうな」
トレイさんとジャミル君の会話は、マレウスさんがココナッツを割ると、屋台周辺から歓声が上がったせいで聞こえなかった。
気前が良さそうな恰幅のいい店主に、ジャミル君は声をかける。
ジャミル「こんにちは。ココナッツジュースをもらえますか?」
店主「おー、ジャミルくん。久しぶりだね。花火大会の方は、上手くいきそうかい?」
ジャミル「ええ、まぁ」
店主「アジーム家がどんなすごい物を見せてくれるのか、期待しているよ!」
ジャミル「はい。伝えておきます」
行きつけということもあり、ジャミル君は店主と和気藹々と話していた。
店主「それで今日は何個欲しいんだい?いつもの50個?それとも多めの100個にする?」
「「「「……そんなに!?」」」」
ジャミル「いえ、今日は8個ください」
店主「カリム坊ちゃんの買い出しではないんだね。わかったよ、すぐに用意するから」
普通では聞かない個数に驚いていると、ジャミル君は平然と注文する。
店主が屋台の奥に引っ込んだ隙に、ケイトさんが詰め寄った。
ケイト「……ジャミルくん!いつもそんなに大量のココナッツジュースを買うの!?」
ジャミル「カリムの大好物ですからね。多い時は、トラックで運んでもらっています」
トレイ「好きだからといっても、限度があるだろう」
監督生「
監督生「よくお腹壊しませんね」
店主「はい。生ココナッツジュース、おまちどー!」
会話をしていると、屋台のテーブルにココナッツが丸ごと8つ置かれる。
マレウス「……ココナッツが丸ごと出てきたが、これのどこがジュースなんだ?」
ジャミル「上の部分がくり抜かれているんです。そこから中のココナッツの果汁を飲むんです」
ケイト「果実が器になっているって、面白いね♪」
ナジュマ「はい、ストローです。これで手に持って飲めますよ」
グリム「おー!くれくれ!」
ナジュマがストローを配り、それを受け取るとそのままココナッツジュースを飲む。
ケイト「へぇー、さっぱりした味で美味しいね。甘すぎないから、ごくごく飲めるよ」
トレイ「あぁ。カリムが何杯も飲みたくなるのもわかる。……100個は多すぎだが」
マレウス「リリアから、果実に直接ストローを指して飲むジュースの話を聞いたが、これのことだったのか。てっきりからかわれているものだとばかり」
「まぁ、実物見ないと信じられないですよね」
サラマンダー『ボクも飲む~』
「はい。どうぞ」
そう話しながらココナッツジュースを飲んでいると、ジャミル君も飲みながら言った。
ジャミル「それとココナッツは、果汁を飲むだけではなく、中の果肉を食べることが出来ますよ」
グリム「よし、丸ごと全部食べてやるゾ!」
「グリム君、ちょっと待っ――」
先の飲み終えたグリム君がココナッツにかじりつこうとして、慌てて制止するも一足遅く。
ココナッツに歯を入れた直後、ガツッ!と音が響いた。
グリム「かっ、硬過ぎる……歯が折れそうなんだゾ!」
ジャミル「そのままかじる奴がいるか!ナイフで割って、中の果肉を取り出すんだ。ココナッツの実はとても硬いんだ。道具を使わなければとても割ることなんてできない」
トレイ「それなら、お店でナイフを貸してもらうか」
監督生「これは包丁のほうがいいんじゃないですか?」
ココナッツの割り方について話していると、おもむろにマレウスさんが手を差し出す。
マレウス「……僕に渡してみろ、クローバー」
トレイ「ん?かまわないが……」
首を傾げながらマレウスさんにココナッツを渡すトレイさん。
マレウスさんはくり抜かれた部分に両手の親指を入れながら持つと、
マレウス「要はこれを割ればいいのだろう?」
バカァッ!!!と真っ二つに割った。素手で!!
マレウス「ほら」
トレイ「……あ、ありがとう」
ケイト「ココナッツの実を、卵みたいに真っ二つに割るなんて……さすがマレウスくん」
監督生「もはやなんでもありだ」
その光景を横目に見ていると、トレイさんはココナッツの果肉を食べる。
トレイ「これがココナッツの果肉か。ヨーグルトを固くしたような独特の食感だ。加工されたものをお菓子作りに使ったことはあったけど、生は初めて食べるよ」
ナジュマ「すごーい!私のも割ってください!」
ジャミル「こ、こら、ナジュマ!マレウス先輩をなんだと思っているんだ!」
マレウス「僕は別に構わないぞ」
グリム「マレウス!オレ様のも割ってくれ!!監督生も、頼んだ方がいいんだゾ!」
監督生「そうね……なら、私の分も頼むわね、ツノ太郎」
ケイト「じゃあ、オレのも~♪」
マレウス「ロゼッタはどうする?」
「私はもうお腹いっぱいですk『ボク食べたい!』えっ!…じゃあ、私の分もお願いします」
私を含めてみんながマレウスさんにココナッツを割るのを頼む。
本人は頼られて嬉しいのか、ココナッツを次々と割っていく。
しかも屋台の近くにいるせいで、パフォーマンスかと思ったのか、通りすがりの人たちがスマホを片手に動画を撮っていた。
トレイ「ロゼッタやケイトまで……」
ジャミル「マレウス先輩が、ココナッツを割る係になってしまうとは……」
トレイ「学園委戻って誰かに話しても、信じてもらえないだろうな」
トレイさんとジャミル君の会話は、マレウスさんがココナッツを割ると、屋台周辺から歓声が上がったせいで聞こえなかった。