熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
ジャミル「はい。かつては熱砂の国にとって、水は大変貴重な資源でした。そんな中で、農作物を育てるために与えられる水はごくわずか……。何年経っても農作物は収穫できず、誰もが不可能だと諦めたそうです。
しかし俺たちの先祖は、絶対にできると信じて開拓を進め、土壌の改良を行っていきました。そんな苦労が身を結び、ついに絹の街で農作物が収穫できるようになったのです」
現代ならともかく、昔なら不可能だと決めつけて諦める人はいる。
だけど、諦めなかったからこそ、今の活気があるのだ。
マレウス「熱砂の国の民の、努力が実ったのだな」
ジャミル「それらが出回ると、普通の物より濃厚な味と、みずみずしい食感で、人気を博していきました。今では絹の街で育った特別な栽培の農作物は、世界中の一流料理人たちに重宝されています」
トレイ「そんな高級品を、庶民価格で買えるなんて、ありがたいな」
ジャミル「地元民の特権っていうやつですね」
ケイト「なにこれ!?星の形してる果物なんて、見たことがないよ!忘れずに、撮影しなくっちゃ♪」
トレイ「スターフルーツだな。その形を活かして、サラダに入れて食べたりする」
ケイト「トレイくん、詳しいね~」
監督生「あ、トロピカルフルーツもある。砂漠だと絶対あるイメージが強いですよね」
「他にもドラゴンフルーツなどの熱帯地特有の果物が、熱砂の国では人気なんです」
マレウス「ドラゴンフルーツ……だと?どれだ?」
あ、マレウスさんがドラゴンフルーツに興味持った。
きょろきょろと探すマレウスさんのために、トレイさんは屋台に並んでいるドラゴンフルーツを指さした。
トレイ「このピンク色のとげとげした果物だよ。さっぱりした味で、栄養価が高いんだ」
マレウス「……」
お目当てのものを見つけるも、マレウスさんはどこか釈然としない顔をして黙り込む。
トレイ「ん?どうしたんだ?」
マレウス「……想像と違うな」
「どんな想像をしていたんですか?」
マレウス「ドラゴンの名を冠しているなら、高温の炎でも吹き出すのかと思った」
トレイ「そんな果物があったら一大事だよ……」
監督生「というかそれ、ミミックと変わらないよ」
たまに思うけど、マレウスさんって意外とユニークな発想するわよね……。
マレウス「もしや、ドラゴンの炎の形状に似ているから名付けられたのか?」
「いいえ。この外皮の形が、龍の鱗を連想させるかららしいですよ」
マレウス「……ドラコンと龍は、違う生き物のはずだ。ロゼッタは知っているだろう。」
トレイ「それは……俺は詳しくはないからわからないが……」
監督生「はいはい、拗ねた顔しないの」
そして、この変にこだわりがあるところも。
ナジュマ「蜂蜜をかけて食べるとおいしいんですよ。おじさん、これください!」
「まいどあり!」
ナジュマは屋台でドラゴンフルーツを買うと、店主からナイフを借りてカットする。そして、同じく借りた蜂蜜をドラゴンフルーツの上にかけた。
ナジュマ「カットしたドラゴンフルーツに、蜂蜜をかけて……はい、どうぞ!」
マレウス「どれどれ……」
ナジュマに勧められるまま、私たちはドラゴンフルーツを食べる。
すると、さっきまで拗ねていたマレウスさんの表情が柔らかくなる。
グリム「うん、ウマいんだゾ!」
ケイト「さっぱりしているし、酸味が、いいアクセントになってるね~♪」
監督生「それに、蜂蜜の甘さが優しくて、いくらでも食べられそう」
「ドラゴンフルーツを食べたことはあったけど、こんな食べ方もあったなんて」
マレウス「なるほど。これなら、ドラゴンの名を冠しても許す」
監督「なんで上から目線で言うの……」
トレイ「……まぁ、気に入ったのならなによりだよ」
サラマンダー『これも美味しそう』
「食べる?」
サラマンダー『うん!モグモグ・・・美味し~』
ナジュマ「何ですか?この子?」
「この子はサラマンダー。火の精霊なの。」
ナジュマ「精霊!?」
ジャミル「ロゼッタ様は精霊の加護をお受けになられた方だ。」
ナジュマ「へえ~そうなんだ。」
ドラゴンフルーツを食べ終えた私たちは、次のグルメを求めてラクダバザールを歩く。
トレイ「他になにかオスメメはないか、ジャミル?」
ジャミル「でしたら、絹の街のブランドフルーツ、シルキーメロンはいかがでしょう?絹のような舌ざわりと上品な甘さが特徴で、他国にはなかなか出回らない逸品です。それに……みなさんに、最適な食べ物ではないでしょうか」
監督生「最適?」
グリム「どういうことだ?」
ユウとグリム君が首を傾げると、ジャミル君は説明する。
ジャミル「花火大会の伝承に出てきた、心優しい青年のことは覚えているか?貧しい彼が、友人とメロンを分け合って食べた……という言い伝えがある」
グリム「オイ。なんで貧乏なのにメロンなんて食えるんだ。果物なんて贅沢品なんだゾ!オレ様だって毎日食いたいぐらいなのに」
ジャミル「さぁ?伝承だから、詳しくはわからない。深く考えるな」
「こういう話は調べる過程で多少脚色したりするものだから」
グリム「ふーん」
ジャミル君と私の言葉に、グリム君は生返事だけどとりあえず納得したらしい。
ジャミル「やがて、このメロンを分け合って食べると、友情や愛情が末永く続くと言われるようになり……。いつしか、この祭りに欠かせない縁起物になったってわけさ」
グリム「なるほどなー。ん?でも、どうしてオレ様たちに最適なんだ?」
ジャミル「みんなが団体行動をスムーズにとってくれるようになれば、俺の手間が減るからだ。とくにグリム」
監督生「そこは全力で同意する」
運河の時みたいなハプニングが起きて欲しくないしね。
ケイト「美味しくて話題性抜群のエピソードまであるなんて、バズり確定♪絶対食べたいよ!」
トレイ「あぁ。ここでしか食べられないなら、見過ごすわけにはいかないな」
グリム「オレ様も!思いっきりかぶりつきたい!」
やはり地域限定ということもあり、みんな乗り気みたいね。
ジャミル「この先に、祭りの日にだけ露店を出すフルーツ店があります。そこのシルキーメロンがおすすめです。その店は半分に切ったメロンの上に、自家製のメロンアイスを載せていて……」
マレウス「アイスか。それはいい。僕も頼むことにしよう」
ジャミル「氷菓好きのマレウス先輩なら、興味を持たれるかと思いました。監督生はどうする?」
監督生「そうですね……そこまでオススメするなら、食べてみたいです」
ジャミル「わかった。味は俺が保証するよ」
ナジュマ「ロゼッタさんはどうするの?」
「私もいただこうかしら。サラマンダーも食べたそうにしているしね。」
しかし俺たちの先祖は、絶対にできると信じて開拓を進め、土壌の改良を行っていきました。そんな苦労が身を結び、ついに絹の街で農作物が収穫できるようになったのです」
現代ならともかく、昔なら不可能だと決めつけて諦める人はいる。
だけど、諦めなかったからこそ、今の活気があるのだ。
マレウス「熱砂の国の民の、努力が実ったのだな」
ジャミル「それらが出回ると、普通の物より濃厚な味と、みずみずしい食感で、人気を博していきました。今では絹の街で育った特別な栽培の農作物は、世界中の一流料理人たちに重宝されています」
トレイ「そんな高級品を、庶民価格で買えるなんて、ありがたいな」
ジャミル「地元民の特権っていうやつですね」
ケイト「なにこれ!?星の形してる果物なんて、見たことがないよ!忘れずに、撮影しなくっちゃ♪」
トレイ「スターフルーツだな。その形を活かして、サラダに入れて食べたりする」
ケイト「トレイくん、詳しいね~」
監督生「あ、トロピカルフルーツもある。砂漠だと絶対あるイメージが強いですよね」
「他にもドラゴンフルーツなどの熱帯地特有の果物が、熱砂の国では人気なんです」
マレウス「ドラゴンフルーツ……だと?どれだ?」
あ、マレウスさんがドラゴンフルーツに興味持った。
きょろきょろと探すマレウスさんのために、トレイさんは屋台に並んでいるドラゴンフルーツを指さした。
トレイ「このピンク色のとげとげした果物だよ。さっぱりした味で、栄養価が高いんだ」
マレウス「……」
お目当てのものを見つけるも、マレウスさんはどこか釈然としない顔をして黙り込む。
トレイ「ん?どうしたんだ?」
マレウス「……想像と違うな」
「どんな想像をしていたんですか?」
マレウス「ドラゴンの名を冠しているなら、高温の炎でも吹き出すのかと思った」
トレイ「そんな果物があったら一大事だよ……」
監督生「というかそれ、ミミックと変わらないよ」
たまに思うけど、マレウスさんって意外とユニークな発想するわよね……。
マレウス「もしや、ドラゴンの炎の形状に似ているから名付けられたのか?」
「いいえ。この外皮の形が、龍の鱗を連想させるかららしいですよ」
マレウス「……ドラコンと龍は、違う生き物のはずだ。ロゼッタは知っているだろう。」
トレイ「それは……俺は詳しくはないからわからないが……」
監督生「はいはい、拗ねた顔しないの」
そして、この変にこだわりがあるところも。
ナジュマ「蜂蜜をかけて食べるとおいしいんですよ。おじさん、これください!」
「まいどあり!」
ナジュマは屋台でドラゴンフルーツを買うと、店主からナイフを借りてカットする。そして、同じく借りた蜂蜜をドラゴンフルーツの上にかけた。
ナジュマ「カットしたドラゴンフルーツに、蜂蜜をかけて……はい、どうぞ!」
マレウス「どれどれ……」
ナジュマに勧められるまま、私たちはドラゴンフルーツを食べる。
すると、さっきまで拗ねていたマレウスさんの表情が柔らかくなる。
グリム「うん、ウマいんだゾ!」
ケイト「さっぱりしているし、酸味が、いいアクセントになってるね~♪」
監督生「それに、蜂蜜の甘さが優しくて、いくらでも食べられそう」
「ドラゴンフルーツを食べたことはあったけど、こんな食べ方もあったなんて」
マレウス「なるほど。これなら、ドラゴンの名を冠しても許す」
監督「なんで上から目線で言うの……」
トレイ「……まぁ、気に入ったのならなによりだよ」
サラマンダー『これも美味しそう』
「食べる?」
サラマンダー『うん!モグモグ・・・美味し~』
ナジュマ「何ですか?この子?」
「この子はサラマンダー。火の精霊なの。」
ナジュマ「精霊!?」
ジャミル「ロゼッタ様は精霊の加護をお受けになられた方だ。」
ナジュマ「へえ~そうなんだ。」
ドラゴンフルーツを食べ終えた私たちは、次のグルメを求めてラクダバザールを歩く。
トレイ「他になにかオスメメはないか、ジャミル?」
ジャミル「でしたら、絹の街のブランドフルーツ、シルキーメロンはいかがでしょう?絹のような舌ざわりと上品な甘さが特徴で、他国にはなかなか出回らない逸品です。それに……みなさんに、最適な食べ物ではないでしょうか」
監督生「最適?」
グリム「どういうことだ?」
ユウとグリム君が首を傾げると、ジャミル君は説明する。
ジャミル「花火大会の伝承に出てきた、心優しい青年のことは覚えているか?貧しい彼が、友人とメロンを分け合って食べた……という言い伝えがある」
グリム「オイ。なんで貧乏なのにメロンなんて食えるんだ。果物なんて贅沢品なんだゾ!オレ様だって毎日食いたいぐらいなのに」
ジャミル「さぁ?伝承だから、詳しくはわからない。深く考えるな」
「こういう話は調べる過程で多少脚色したりするものだから」
グリム「ふーん」
ジャミル君と私の言葉に、グリム君は生返事だけどとりあえず納得したらしい。
ジャミル「やがて、このメロンを分け合って食べると、友情や愛情が末永く続くと言われるようになり……。いつしか、この祭りに欠かせない縁起物になったってわけさ」
グリム「なるほどなー。ん?でも、どうしてオレ様たちに最適なんだ?」
ジャミル「みんなが団体行動をスムーズにとってくれるようになれば、俺の手間が減るからだ。とくにグリム」
監督生「そこは全力で同意する」
運河の時みたいなハプニングが起きて欲しくないしね。
ケイト「美味しくて話題性抜群のエピソードまであるなんて、バズり確定♪絶対食べたいよ!」
トレイ「あぁ。ここでしか食べられないなら、見過ごすわけにはいかないな」
グリム「オレ様も!思いっきりかぶりつきたい!」
やはり地域限定ということもあり、みんな乗り気みたいね。
ジャミル「この先に、祭りの日にだけ露店を出すフルーツ店があります。そこのシルキーメロンがおすすめです。その店は半分に切ったメロンの上に、自家製のメロンアイスを載せていて……」
マレウス「アイスか。それはいい。僕も頼むことにしよう」
ジャミル「氷菓好きのマレウス先輩なら、興味を持たれるかと思いました。監督生はどうする?」
監督生「そうですね……そこまでオススメするなら、食べてみたいです」
ジャミル「わかった。味は俺が保証するよ」
ナジュマ「ロゼッタさんはどうするの?」
「私もいただこうかしら。サラマンダーも食べたそうにしているしね。」