熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
人数を確認するためにトレイさんが数え始めた時だ。
「もぐもぐもぐ……。うん、まーまーイケるじゃん。今度から私も、このトッピングにしよーっと」
知らない女の子が、シャーワルマーをもぐもぐ食べていた。
「「「「………………」」」」
「………………誰?」
グリム「し、知らねーヤツが食ってるんだゾ!?コイツが犯人だ!」
グリム君がそう叫ぶも、女の子は呑気にシャーワルマーを食べきる。
見た目は現代の若者風だけど、腰にピーコックグリーンの腰布を巻いていて、二種類のバンダナを合わせてカチューシャにした頭にはジャスミンの花を挿している。
明らかに地元の人だけど……なんでかしら。
この子の見た目、とても既視感がある。
トレイ「キミ、どこから来たの?1人なのかな。勝手に他人のものを食べたらだめじゃないか」
「ふふふ。『他人のもの』が駄目なら、私は問題ないかも?」
「え?」
ケイト「あれっ。ジャミルくん、どうしたの。魚みたいに口をパクパクさせちゃって」
隣で口をはくはくとさせているジャミル君。
彼の視線は、女の子に向けられていた。
ジャミル「ナ、ナ……ナジュマ!?」
「「「「………………?」」」」
「………あ」
ナジュマ「おかえり、ジャミル!」
4人が首を傾げる横で、私は既視感の正体に気付いて声を漏らす。
女の子――ナジュマちゃんは、ジャミル君に笑顔を向けた。
ケイト「……えーと、ジャミルくん。こちらの女の子とお知り合いみたいだけど、どこのどちらさま?」
ナジュマ「初めまして、みなさん。私、ナジュマ・バイパーっていいます」
ケイト「バイパー?」
トレイ「まさか……」
ナジュマ「全然似てないと思うんですけど、一応コレの妹です」
「「「「ええ――――――っ!!??」」」」
「やっぱり」
本人は似てないというけど、顔のパーツをいじったらかなり似ている。
ジャミル「兄に向かって、コレとはなんだ!いや……それより、どうしてお前がここに?」
ナジュマ「私だって、来たくて来たわけじゃないわよ」
ケイト「うわ!その目付き、ジャミルくんにそっくり!あはは、同じ顔が2つ並んでる。カワイイ~!」
トレイ「あぁ。確かに、きょうだいだな……」
「遺伝子レベルで似てるから、疑う余地はないですね」
私たちがそう言っていると、バイパー兄妹は話を続ける。
ナジュマ「父さんから、伝言を頼まれたの。結構探したんだからね。花火大会で、みんなが据わる招待席の場所が、変更になったんだって。私がメールしておくから平気だよって、父さんに何度も言ったんだけどさあ……」
ジャミル「あぁ。携帯に届いていたから、もう読んだよ。返信だってしただろ」
ナジュマ「なのに結局、『本当に大丈夫か?』『やっぱり直接言わなきゃ心配だ!』って言って聞かないの。仕方ないから、渋々探しに来たってわけ」
ジャミル「……父さんは、あまりパソコンとかスマホに詳しくないからな」
ナジュマ「優しい妹がわざわざ来てやったのに!感謝しても、バチは当たらないと思うけど?」
ジャミル「そうだったのか……それは悪かったな。以上。よし。終わり。用は済んだな?それじゃあさっさと家に戻れ。俺は今、忙しいんだ」
追い払うように帰らせようとするジャミル君。
だけど、ここの方々がそう簡単に問屋を卸さなかった。
ケイト「あ!そうだ。ナジュマちゃんもオレたちと一緒に観光しない?」
ジャミル「ええっ!!!???」
ケイト「ジャミルくん、オレたちのアテンドで家に帰るのが遅くなっちゃうだろうし……ここでオレたちの買い物に付き合いながら、お兄ちゃんと積もる話でもしていけば?」
トレイ「そうだな。ジャミルに会うのも、久しぶりだろう」
ジャミル「だ、駄目です!!!」
ナジュマ「私はOKですよ。なんか、楽しそうだし」
ジャミル君が即拒否するが、ナジュマさんは即了解。
妹の返答を聞いて、ジャミル君は眦を上げながら言った。
ジャミル「俺は、お前にかまっている余裕なんてない!」
ナジュマ「は?ジャミルにかまってもらいたいなんて一言も言ってないんですけど」
ジャミル「とにかく駄目だ!」
ナジュマ「ひどーい!せっかく伝言を届けに来たのに!私、ここに来たせいで、友だちとお祭りで遊ぶ約束が、パァになっちゃったんだけど!
はぁー、まだお昼なのに、夜の花火大会まで、1人寂しくぶらぶらしなくちゃいけないのかー。あーあ!つまんないなー!年に1度のお祭りなのにー!」
ジャミル「うっ!ぐぬぬぬぬ……」
ナジュマちゃんの言葉に、ジャミル君はやや押される。
まぁ、伝言のせいで彼女の予定を潰したのだから、兄としては強く言えなくなるのは当然ね。
「もぐもぐもぐ……。うん、まーまーイケるじゃん。今度から私も、このトッピングにしよーっと」
知らない女の子が、シャーワルマーをもぐもぐ食べていた。
「「「「………………」」」」
「………………誰?」
グリム「し、知らねーヤツが食ってるんだゾ!?コイツが犯人だ!」
グリム君がそう叫ぶも、女の子は呑気にシャーワルマーを食べきる。
見た目は現代の若者風だけど、腰にピーコックグリーンの腰布を巻いていて、二種類のバンダナを合わせてカチューシャにした頭にはジャスミンの花を挿している。
明らかに地元の人だけど……なんでかしら。
この子の見た目、とても既視感がある。
トレイ「キミ、どこから来たの?1人なのかな。勝手に他人のものを食べたらだめじゃないか」
「ふふふ。『他人のもの』が駄目なら、私は問題ないかも?」
「え?」
ケイト「あれっ。ジャミルくん、どうしたの。魚みたいに口をパクパクさせちゃって」
隣で口をはくはくとさせているジャミル君。
彼の視線は、女の子に向けられていた。
ジャミル「ナ、ナ……ナジュマ!?」
「「「「………………?」」」」
「………あ」
ナジュマ「おかえり、ジャミル!」
4人が首を傾げる横で、私は既視感の正体に気付いて声を漏らす。
女の子――ナジュマちゃんは、ジャミル君に笑顔を向けた。
ケイト「……えーと、ジャミルくん。こちらの女の子とお知り合いみたいだけど、どこのどちらさま?」
ナジュマ「初めまして、みなさん。私、ナジュマ・バイパーっていいます」
ケイト「バイパー?」
トレイ「まさか……」
ナジュマ「全然似てないと思うんですけど、一応コレの妹です」
「「「「ええ――――――っ!!??」」」」
「やっぱり」
本人は似てないというけど、顔のパーツをいじったらかなり似ている。
ジャミル「兄に向かって、コレとはなんだ!いや……それより、どうしてお前がここに?」
ナジュマ「私だって、来たくて来たわけじゃないわよ」
ケイト「うわ!その目付き、ジャミルくんにそっくり!あはは、同じ顔が2つ並んでる。カワイイ~!」
トレイ「あぁ。確かに、きょうだいだな……」
「遺伝子レベルで似てるから、疑う余地はないですね」
私たちがそう言っていると、バイパー兄妹は話を続ける。
ナジュマ「父さんから、伝言を頼まれたの。結構探したんだからね。花火大会で、みんなが据わる招待席の場所が、変更になったんだって。私がメールしておくから平気だよって、父さんに何度も言ったんだけどさあ……」
ジャミル「あぁ。携帯に届いていたから、もう読んだよ。返信だってしただろ」
ナジュマ「なのに結局、『本当に大丈夫か?』『やっぱり直接言わなきゃ心配だ!』って言って聞かないの。仕方ないから、渋々探しに来たってわけ」
ジャミル「……父さんは、あまりパソコンとかスマホに詳しくないからな」
ナジュマ「優しい妹がわざわざ来てやったのに!感謝しても、バチは当たらないと思うけど?」
ジャミル「そうだったのか……それは悪かったな。以上。よし。終わり。用は済んだな?それじゃあさっさと家に戻れ。俺は今、忙しいんだ」
追い払うように帰らせようとするジャミル君。
だけど、ここの方々がそう簡単に問屋を卸さなかった。
ケイト「あ!そうだ。ナジュマちゃんもオレたちと一緒に観光しない?」
ジャミル「ええっ!!!???」
ケイト「ジャミルくん、オレたちのアテンドで家に帰るのが遅くなっちゃうだろうし……ここでオレたちの買い物に付き合いながら、お兄ちゃんと積もる話でもしていけば?」
トレイ「そうだな。ジャミルに会うのも、久しぶりだろう」
ジャミル「だ、駄目です!!!」
ナジュマ「私はOKですよ。なんか、楽しそうだし」
ジャミル君が即拒否するが、ナジュマさんは即了解。
妹の返答を聞いて、ジャミル君は眦を上げながら言った。
ジャミル「俺は、お前にかまっている余裕なんてない!」
ナジュマ「は?ジャミルにかまってもらいたいなんて一言も言ってないんですけど」
ジャミル「とにかく駄目だ!」
ナジュマ「ひどーい!せっかく伝言を届けに来たのに!私、ここに来たせいで、友だちとお祭りで遊ぶ約束が、パァになっちゃったんだけど!
はぁー、まだお昼なのに、夜の花火大会まで、1人寂しくぶらぶらしなくちゃいけないのかー。あーあ!つまんないなー!年に1度のお祭りなのにー!」
ジャミル「うっ!ぐぬぬぬぬ……」
ナジュマちゃんの言葉に、ジャミル君はやや押される。
まぁ、伝言のせいで彼女の予定を潰したのだから、兄としては強く言えなくなるのは当然ね。