熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
カリム「えー!?オレも行きたいー!」
ジャミル「ダメだ。みんなの案内は俺に任せて、お前は役目を果たしてこい」
鋭い眼差しでカリム君を見つめるジャミル君。
その目を見て、さすがのカリム君も折れたみたい。
カリム「ちぇーっ。じゃぁ、終わったらすぐに合流するよ!みんな!また後でな!」
「ええ。待っているから、気を付けて」
私の返事に、カリム君は嬉しそうに笑うとそのままアジーム邸の中へ入っていった。
ジャミル「それでは『絹の街』を案内します。皆さん、なにか要望はありますか?」
トレイ「俺は、ここにしかない伝統料理に興味がある。特にデザートは、レシピを覚えて自分で作ってみたいから、できるだけ多く食べたいな」
グリム「オレ様もウマいもの、いっぱい食べたい!屋台料理を全部食べてやるんだゾ!」
マレウス「僕は、この国の文化や風土を感じられるようなものを見てみたい。漠然としているかもしれないが……熱砂の国に来たと感じられるものを見て、リリアに報告したいと思っている」
ケイト「んー……オレも、熱砂の国にしかない珍しいものが見たいかな。映える建物とか、特産品とか♪」
監督生「私は……みんなと一緒のものを見て、感じられるような観光がしたいです。それと、学園にいるみんなのお土産を選べるような場所にも行きたいですね」
各々が行きたい場所、やりたいこと、見たいものを言う。
さすがに一気に言い過ぎじゃないかしら……と思ったが、ジャミル君はいつもの涼しい顔で目的地を言った。
ジャミル「それなら……まずは、『ラクダバザール』へ行きましょう」
グリム「よーし!ウマイものを食べに、出発なんだゾ!」
グリム君の号令に合わせ、私たちは『絹の街』の観光へ行くのだった。
ジャミル君に案内されていると、途中で階段状に石が積まれた場所を見つける。
色鮮やかな天幕がかけられており、石の上には瀟洒なランプが置かれていた。
マレウス「開けた場所に出てきたな。ここはなんだ?」
ジャミル「『ヤーサミーナ河 花火大会』のメイン会場です。『ラクダバザール』はこの先ですが、せっかくなので中の様子も見ていきますか?」
ジャミル君の提案に乗り、会場へ向かう。
まだ明るいのに人が大勢おり、あちこちで場所取りをしていた。
ケイト「まだ日が高いのに、結構人で賑わってるね」
ジャミル「熱砂の国を代表する、お祭りですからね。『ヤーサミーナ河 花火大会』は、とある伝承から生まれたお祭りだと言われています」
監督生
監督生「伝承ですか?」
「民のことを思う美しい姫と、貧しくも心優しい青年……。身分の差を超えて、2人は永遠の絆で結ばれたの。その愛を祝福するために、ランプの魔人が夜空に無数の光の輪を打ち上げたといわれているのよ。その幻想的な光景は、見る者の心に深く残り、延々と語り継がれてきた・・・」
ジャミル「やがて、姫と青年が結ばれたことを、熱砂の国の人々は花火で盛大に祝福するようになりました。そして今日のように熱砂の国の伝統行事となったのです」
ケイト「素敵な伝承だね~」
ジャミル「それと、みなさんの衣装に、白い花が付いていますね。それは、ジャスミンという名の花です。伝承では青年が姫君に贈った花とされていて、この花火大会のシンボルとなっています」
トレイ「だから、祭り用の衣装に、装飾されてるのか。造花ではなく生花だから、瑞々しいな。それに、良い香りがする」
監督生「はい、この香りは好きだなあ・・・・あれ?いつもロゼッタさんから香ってくる匂いに似てる」
「ふふっ。私はジャスミンの香りがする香水をつけてるの。落ち着く匂いだから」
サラマンダー『いい匂い…ボク好き』
「「!?」」
「あら?どうしたの?」
サラマンダー『ボクも一緒がいい」
「ジャミル君‥大丈夫かしら、サラマンダーを連れて行っても」
ジャミル「一般人には見えないでしょうから、大丈夫だと思います。」
「ありがとう。」
サラマンダー『いい人』
ジャミル「わっ!?」
私の中でサラマンダーはほかの精霊よりも幼い印象がある。今も興奮してジャミル君の近くが火車状態だ。
「サラマンダー、元に戻して」
サラマンダー『はあ~い。ごめんね』
ケイト「それにしても、花火大会といい、ジャスミンの花といい、熱砂の国の人たちってなんだかロマンチックだよね」
ジャミル「そうですね……この国では、様々な伝統や風習が大切にされています。例えば、『ヤーサミーナ河 花火大会』を彩る最後の花火の打ち上げは……代々、優れた職人にしか許されない栄誉ある仕事なんだとか」
ケイト「わあ~ますますロマンがある~!すっごく素敵だなぁ」
ジャミル「ですが……熱砂の国の真の魅力は常に最新をいく技術力にあると俺は思っています」
伝統を大切にしているこの国で、一番の魅力が技術力
なんだか矛盾しているように聞こえたらしく、みんな、こてんと首を傾げていた。
ケイト「どういうこと?」
「この国で最も尊ばれているグレート・セブンの1人、『砂漠の魔術師』は……非情に聡明な人で、当時の技術をはるかに超えた機械をいくつも作り出したと言われているんです。中には、人工的に雷を起こす装置もあったとらしいです。
『砂漠の魔術師』を尊敬する魔法士や技術者を中心に……熱砂の国では積極的に最先端技術の研究や運用がなされてきました。それが熱砂の国の人々の生活をどんどん豊かにしていったのだと思います」
トレイ「確かに、熱砂の国に来てからは驚かされることばかりだ。伝統と革新と共に歩んだ、熱砂の国の豊かさか……この賑やかな花火大会はその象徴ともいえるかもしれないな」
監督生「そう考えると、熱砂の国の人にとっては大切な花火大会なんですね」
ジャミル「この花火大会は毎年、アジーム家のような名家・富豪の寄付によって、成り立ってるんだ。おかげで、観光客相手のビジネスも盛況。街のみんなも、打ち上げ花火を楽しみにしている…。名家の金で街が活気付き、庶民の懐も潤うというわけさ。痛快な話だ」
「あなたはいい話を台無しにする天才か!!」
ジャミル君のせいで今までの話が台無しになり、それに盛大に怒鳴った監督生見て、みんなはただ苦笑を浮かべるのだった。
ジャミル「ダメだ。みんなの案内は俺に任せて、お前は役目を果たしてこい」
鋭い眼差しでカリム君を見つめるジャミル君。
その目を見て、さすがのカリム君も折れたみたい。
カリム「ちぇーっ。じゃぁ、終わったらすぐに合流するよ!みんな!また後でな!」
「ええ。待っているから、気を付けて」
私の返事に、カリム君は嬉しそうに笑うとそのままアジーム邸の中へ入っていった。
ジャミル「それでは『絹の街』を案内します。皆さん、なにか要望はありますか?」
トレイ「俺は、ここにしかない伝統料理に興味がある。特にデザートは、レシピを覚えて自分で作ってみたいから、できるだけ多く食べたいな」
グリム「オレ様もウマいもの、いっぱい食べたい!屋台料理を全部食べてやるんだゾ!」
マレウス「僕は、この国の文化や風土を感じられるようなものを見てみたい。漠然としているかもしれないが……熱砂の国に来たと感じられるものを見て、リリアに報告したいと思っている」
ケイト「んー……オレも、熱砂の国にしかない珍しいものが見たいかな。映える建物とか、特産品とか♪」
監督生「私は……みんなと一緒のものを見て、感じられるような観光がしたいです。それと、学園にいるみんなのお土産を選べるような場所にも行きたいですね」
各々が行きたい場所、やりたいこと、見たいものを言う。
さすがに一気に言い過ぎじゃないかしら……と思ったが、ジャミル君はいつもの涼しい顔で目的地を言った。
ジャミル「それなら……まずは、『ラクダバザール』へ行きましょう」
グリム「よーし!ウマイものを食べに、出発なんだゾ!」
グリム君の号令に合わせ、私たちは『絹の街』の観光へ行くのだった。
ジャミル君に案内されていると、途中で階段状に石が積まれた場所を見つける。
色鮮やかな天幕がかけられており、石の上には瀟洒なランプが置かれていた。
マレウス「開けた場所に出てきたな。ここはなんだ?」
ジャミル「『ヤーサミーナ河 花火大会』のメイン会場です。『ラクダバザール』はこの先ですが、せっかくなので中の様子も見ていきますか?」
ジャミル君の提案に乗り、会場へ向かう。
まだ明るいのに人が大勢おり、あちこちで場所取りをしていた。
ケイト「まだ日が高いのに、結構人で賑わってるね」
ジャミル「熱砂の国を代表する、お祭りですからね。『ヤーサミーナ河 花火大会』は、とある伝承から生まれたお祭りだと言われています」
監督生
監督生「伝承ですか?」
「民のことを思う美しい姫と、貧しくも心優しい青年……。身分の差を超えて、2人は永遠の絆で結ばれたの。その愛を祝福するために、ランプの魔人が夜空に無数の光の輪を打ち上げたといわれているのよ。その幻想的な光景は、見る者の心に深く残り、延々と語り継がれてきた・・・」
ジャミル「やがて、姫と青年が結ばれたことを、熱砂の国の人々は花火で盛大に祝福するようになりました。そして今日のように熱砂の国の伝統行事となったのです」
ケイト「素敵な伝承だね~」
ジャミル「それと、みなさんの衣装に、白い花が付いていますね。それは、ジャスミンという名の花です。伝承では青年が姫君に贈った花とされていて、この花火大会のシンボルとなっています」
トレイ「だから、祭り用の衣装に、装飾されてるのか。造花ではなく生花だから、瑞々しいな。それに、良い香りがする」
監督生「はい、この香りは好きだなあ・・・・あれ?いつもロゼッタさんから香ってくる匂いに似てる」
「ふふっ。私はジャスミンの香りがする香水をつけてるの。落ち着く匂いだから」
サラマンダー『いい匂い…ボク好き』
「「!?」」
「あら?どうしたの?」
サラマンダー『ボクも一緒がいい」
「ジャミル君‥大丈夫かしら、サラマンダーを連れて行っても」
ジャミル「一般人には見えないでしょうから、大丈夫だと思います。」
「ありがとう。」
サラマンダー『いい人』
ジャミル「わっ!?」
私の中でサラマンダーはほかの精霊よりも幼い印象がある。今も興奮してジャミル君の近くが火車状態だ。
「サラマンダー、元に戻して」
サラマンダー『はあ~い。ごめんね』
ケイト「それにしても、花火大会といい、ジャスミンの花といい、熱砂の国の人たちってなんだかロマンチックだよね」
ジャミル「そうですね……この国では、様々な伝統や風習が大切にされています。例えば、『ヤーサミーナ河 花火大会』を彩る最後の花火の打ち上げは……代々、優れた職人にしか許されない栄誉ある仕事なんだとか」
ケイト「わあ~ますますロマンがある~!すっごく素敵だなぁ」
ジャミル「ですが……熱砂の国の真の魅力は常に最新をいく技術力にあると俺は思っています」
伝統を大切にしているこの国で、一番の魅力が技術力
なんだか矛盾しているように聞こえたらしく、みんな、こてんと首を傾げていた。
ケイト「どういうこと?」
「この国で最も尊ばれているグレート・セブンの1人、『砂漠の魔術師』は……非情に聡明な人で、当時の技術をはるかに超えた機械をいくつも作り出したと言われているんです。中には、人工的に雷を起こす装置もあったとらしいです。
『砂漠の魔術師』を尊敬する魔法士や技術者を中心に……熱砂の国では積極的に最先端技術の研究や運用がなされてきました。それが熱砂の国の人々の生活をどんどん豊かにしていったのだと思います」
トレイ「確かに、熱砂の国に来てからは驚かされることばかりだ。伝統と革新と共に歩んだ、熱砂の国の豊かさか……この賑やかな花火大会はその象徴ともいえるかもしれないな」
監督生「そう考えると、熱砂の国の人にとっては大切な花火大会なんですね」
ジャミル「この花火大会は毎年、アジーム家のような名家・富豪の寄付によって、成り立ってるんだ。おかげで、観光客相手のビジネスも盛況。街のみんなも、打ち上げ花火を楽しみにしている…。名家の金で街が活気付き、庶民の懐も潤うというわけさ。痛快な話だ」
「あなたはいい話を台無しにする天才か!!」
ジャミル君のせいで今までの話が台無しになり、それに盛大に怒鳴った監督生見て、みんなはただ苦笑を浮かべるのだった。