熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
ロゼッタたちが着替えている間、グリムは車の中でカリムが用意したお菓子を頬張っていた。
グリム「もぐもぐ……。このチュロスみてーな揚げドーナッツ、冷たくてウマい!」
カリム「オレも大好きなんだ。シロップがかかってて甘くておいしいよな」
グリム「濃いアイスティーに、ピッタリなんだゾ。もぐもぐ……」
カリム「街にはまだまだ、ウマい料理がたくさんあるんだ。いっぱい食べていってくれよな」
グリム「おう!食べることならオレ様に任せるんだゾ!」
すっかり熱砂の国のグルメに夢中になるグリム。
今もお菓子をむしゃむしゃと食べる彼をカリムがにこにこ見ていると、家のほうから見覚えのある面々が現れる。
トレイ「待たせたな、カリム。着替え終わったよ」
現れたのは、カリムとジャミルが用意した伝統衣装を身に包むトレイ。
彼の髪より明るい緑の襟に合わせの青が見事に調和している。
トレイ「こんな豪華な衣装を用意してくれたとはな。驚いた」
カリム「おー!よく似合ってるな、トレイ!」
次に現れたのはケイト。
合わせは赤、腰布はオレンジと活発な彼によく似合う。
ケイト「着るだけで気分上がっちゃう、素敵な衣装だね~♪メチャクチャ映えるから、何度も自撮りしちゃった!」
3人目はマレウス。
合わせも腰布も紫を基調としており、ミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
マレウス「他国の伝統衣装を着ることができるとは……貴重な体験だ。心躍るな」
ケイト「みんな同じ柄なのに、色が違うと随分と印象が変わるよね。個性が出て面白いなあ。それに……マレウスくんが黒以外の服を着てるって、なんか新鮮♪」
マレウス「どこかおかしいか?」
ケイト「んーん、すっごく似合ってるよ。イメージにはなかったけど、鮮やかな色もバシッと着こなせちゃうなんてさすが!」
マレウス「ふふ。世辞だとしても悪い気はしない。ダイヤモンドも、華やかな色がよく似合っている。明るくてまるで火花のようだ。目を引く」
ケイト「ええー…マレウスくん真顔でそんなこと言っちゃう?そこまで褒められると、さすがに照れちゃうかも。でもかなり嬉しい。ありがと♪……あ。そこでちょっと恥ずかしそうにしてるトレイくんも、もちろん格好いいよ☆」
トレイ「ははは……ありがとう」
各々が伝統衣装を着て褒め合い、喜ぶとこを見てカリムは嬉しそうに笑う。
カリム「みんなに喜んでもらえたみたいで、嬉しいぜ」
ジャミル「俺も伝統衣装を着るのは久しぶりだ」
そう言って出てきたのは、ジャミル。
他の3人とは違い、花火を刺繍された黒に近い紺色と深紅を基調とした衣装を着ていた。
ジャミル「国に帰ってきた……っていう気分になるな」
「「「お~!」」」
他より豪華な装いをしたジャミルを見て、3人は感嘆の息を漏らす。
トレイ「やっぱりジャミルが一番似合ってるな」
マレウス「見違えたぞ、バイパー」
ケイト「しかもジャミルくんの服、一際豪華じゃん!いいね~上がる♪」
ジャミル「そ、そんなに見られると居心地が……。俺のことはいいですから!監督生とロゼッタ様が着替え終わるのを待ちましょう。」
3人の視線を向けられ居心地悪くなり、ジャミルが逸らすように言った。
マレウス「そういえば、監督生とロゼッタは大人数の女性に連れていかれてたな」
ケイト「ロゼッタちゃんは美人さんだし、監督生ちゃんも結構美人さんだもんね~。綺麗したくなる気持ちわかっちゃうな」
ナイトレイブンカレッジ唯一の女子生徒であると同時に、この世界でも上位に食い込むほどの美少女である監督生。
ヴィルがくれたスキンケア用品は使っているが、元々身寄りも家も金もない。
おしゃれより生活に金を使うため、最低限の身支度しかしない。
そのせいか、この家に入った直後に女性の使用人たちによって連れていかれたのだ。
ロゼッタは言わずもがな、すれ違う人がうっとりしてしまうほどの美人だ。
だが、いままでおしゃれに親しんだことはあまりなかった。環境のせいもあったのだろう…
ヴィルからファッション講座を受けるなど、最近はおしゃれをしているようだが…
カリム「いーなー。オレもみんなと一緒がよかった」
ジャミル「お前にはこれから、花火大会の関係者へ挨拶回りをするという大役があるからな。名門・ナイトレイブンカレッジの、栄誉ある寮長に選ばれたんだ。お披露目のために寮服を着てくるよう、旦那様に言われているんだろう?」
カリム「そーだけどさー」
そんな会話をしていると、ちょうど最後の待ち人が現れた。
「「着替え終わりました」」
重い扉を開けて出てきたロゼッタと監督生に、男子組が目を見開いて息を呑んだ。
監督生の服は、ピーコックグリーンを基調としたカフタンに、トレイと同じ金糸の刺繍が施されている。
歩きやすいようにカフタンの下には脚衣、頭には円筒形の帽子と金刺繍されたピーコックグリーンのベール。
帽子のそばには星と三日月の髪飾りだけでなく、白い花も挿してある。
髪は香油を念入りに馴染ませ、丁寧に櫛で梳かされている。
化粧もエキゾチックにしており、監督生は本当に自分なのかと疑うほどだった。
トレイ「これは……」
ケイト「うわぁ、これはちょっと予想外かも……」
マレウス「女というのは、着飾るとここまで変わるのか」
カリム「監督生も、似合ってる!いい感じだぜ!」
グリム「オレ様の子分なら格好いいのはトーゼンだな。ま、合格をやるんだゾ」
監督生「……ありがとう」
監督生はみなからの視線に恥ずかしそうに笑った。
グリム「ロゼッタはどこなんだゾ?」
監督生「ロゼッタさんならもうすぐ…」
「お待たせしました」
ロゼッタの衣装は、ジャミルと同じような色合いのカフタンだ。
監督生と同じで、カフタンの下には脚衣を着ている。監督生と違う点は、髪の毛を深紅の布でまとめているところだった。獣人族は帽子を好まないからだ。深紅の布には白い花が刺繍されていた。
化粧もいつもとは違う雰囲気で、思わず全員が見とれてしまった
「「はっ!!!」」
ジャミル「とてもよくお似合いです、ロゼッタ様」
ケイト「綺麗すぎて見とれちゃった~♪」
監督生「この前の宴の時とはまた雰囲気が違って素敵です!」
ロゼッタ「ありがとうございます。カリム君、ジャミル君、衣装を用意してくれてありがとう。」
カリム「おう!ジャミルにロゼッタにも衣裳を用意するって言ったら張り切ってたぜ!」
ジャミル「なっつ!!」
ロゼッタ「本当なの、ジャミル君?」
ジャミル「え、ええ。楽しんでもらいたかったので」
ロゼッタ「ありがとう」
グリム「もぐもぐ……。このチュロスみてーな揚げドーナッツ、冷たくてウマい!」
カリム「オレも大好きなんだ。シロップがかかってて甘くておいしいよな」
グリム「濃いアイスティーに、ピッタリなんだゾ。もぐもぐ……」
カリム「街にはまだまだ、ウマい料理がたくさんあるんだ。いっぱい食べていってくれよな」
グリム「おう!食べることならオレ様に任せるんだゾ!」
すっかり熱砂の国のグルメに夢中になるグリム。
今もお菓子をむしゃむしゃと食べる彼をカリムがにこにこ見ていると、家のほうから見覚えのある面々が現れる。
トレイ「待たせたな、カリム。着替え終わったよ」
現れたのは、カリムとジャミルが用意した伝統衣装を身に包むトレイ。
彼の髪より明るい緑の襟に合わせの青が見事に調和している。
トレイ「こんな豪華な衣装を用意してくれたとはな。驚いた」
カリム「おー!よく似合ってるな、トレイ!」
次に現れたのはケイト。
合わせは赤、腰布はオレンジと活発な彼によく似合う。
ケイト「着るだけで気分上がっちゃう、素敵な衣装だね~♪メチャクチャ映えるから、何度も自撮りしちゃった!」
3人目はマレウス。
合わせも腰布も紫を基調としており、ミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
マレウス「他国の伝統衣装を着ることができるとは……貴重な体験だ。心躍るな」
ケイト「みんな同じ柄なのに、色が違うと随分と印象が変わるよね。個性が出て面白いなあ。それに……マレウスくんが黒以外の服を着てるって、なんか新鮮♪」
マレウス「どこかおかしいか?」
ケイト「んーん、すっごく似合ってるよ。イメージにはなかったけど、鮮やかな色もバシッと着こなせちゃうなんてさすが!」
マレウス「ふふ。世辞だとしても悪い気はしない。ダイヤモンドも、華やかな色がよく似合っている。明るくてまるで火花のようだ。目を引く」
ケイト「ええー…マレウスくん真顔でそんなこと言っちゃう?そこまで褒められると、さすがに照れちゃうかも。でもかなり嬉しい。ありがと♪……あ。そこでちょっと恥ずかしそうにしてるトレイくんも、もちろん格好いいよ☆」
トレイ「ははは……ありがとう」
各々が伝統衣装を着て褒め合い、喜ぶとこを見てカリムは嬉しそうに笑う。
カリム「みんなに喜んでもらえたみたいで、嬉しいぜ」
ジャミル「俺も伝統衣装を着るのは久しぶりだ」
そう言って出てきたのは、ジャミル。
他の3人とは違い、花火を刺繍された黒に近い紺色と深紅を基調とした衣装を着ていた。
ジャミル「国に帰ってきた……っていう気分になるな」
「「「お~!」」」
他より豪華な装いをしたジャミルを見て、3人は感嘆の息を漏らす。
トレイ「やっぱりジャミルが一番似合ってるな」
マレウス「見違えたぞ、バイパー」
ケイト「しかもジャミルくんの服、一際豪華じゃん!いいね~上がる♪」
ジャミル「そ、そんなに見られると居心地が……。俺のことはいいですから!監督生とロゼッタ様が着替え終わるのを待ちましょう。」
3人の視線を向けられ居心地悪くなり、ジャミルが逸らすように言った。
マレウス「そういえば、監督生とロゼッタは大人数の女性に連れていかれてたな」
ケイト「ロゼッタちゃんは美人さんだし、監督生ちゃんも結構美人さんだもんね~。綺麗したくなる気持ちわかっちゃうな」
ナイトレイブンカレッジ唯一の女子生徒であると同時に、この世界でも上位に食い込むほどの美少女である監督生。
ヴィルがくれたスキンケア用品は使っているが、元々身寄りも家も金もない。
おしゃれより生活に金を使うため、最低限の身支度しかしない。
そのせいか、この家に入った直後に女性の使用人たちによって連れていかれたのだ。
ロゼッタは言わずもがな、すれ違う人がうっとりしてしまうほどの美人だ。
だが、いままでおしゃれに親しんだことはあまりなかった。環境のせいもあったのだろう…
ヴィルからファッション講座を受けるなど、最近はおしゃれをしているようだが…
カリム「いーなー。オレもみんなと一緒がよかった」
ジャミル「お前にはこれから、花火大会の関係者へ挨拶回りをするという大役があるからな。名門・ナイトレイブンカレッジの、栄誉ある寮長に選ばれたんだ。お披露目のために寮服を着てくるよう、旦那様に言われているんだろう?」
カリム「そーだけどさー」
そんな会話をしていると、ちょうど最後の待ち人が現れた。
「「着替え終わりました」」
重い扉を開けて出てきたロゼッタと監督生に、男子組が目を見開いて息を呑んだ。
監督生の服は、ピーコックグリーンを基調としたカフタンに、トレイと同じ金糸の刺繍が施されている。
歩きやすいようにカフタンの下には脚衣、頭には円筒形の帽子と金刺繍されたピーコックグリーンのベール。
帽子のそばには星と三日月の髪飾りだけでなく、白い花も挿してある。
髪は香油を念入りに馴染ませ、丁寧に櫛で梳かされている。
化粧もエキゾチックにしており、監督生は本当に自分なのかと疑うほどだった。
トレイ「これは……」
ケイト「うわぁ、これはちょっと予想外かも……」
マレウス「女というのは、着飾るとここまで変わるのか」
カリム「監督生も、似合ってる!いい感じだぜ!」
グリム「オレ様の子分なら格好いいのはトーゼンだな。ま、合格をやるんだゾ」
監督生「……ありがとう」
監督生はみなからの視線に恥ずかしそうに笑った。
グリム「ロゼッタはどこなんだゾ?」
監督生「ロゼッタさんならもうすぐ…」
「お待たせしました」
ロゼッタの衣装は、ジャミルと同じような色合いのカフタンだ。
監督生と同じで、カフタンの下には脚衣を着ている。監督生と違う点は、髪の毛を深紅の布でまとめているところだった。獣人族は帽子を好まないからだ。深紅の布には白い花が刺繍されていた。
化粧もいつもとは違う雰囲気で、思わず全員が見とれてしまった
「「はっ!!!」」
ジャミル「とてもよくお似合いです、ロゼッタ様」
ケイト「綺麗すぎて見とれちゃった~♪」
監督生「この前の宴の時とはまた雰囲気が違って素敵です!」
ロゼッタ「ありがとうございます。カリム君、ジャミル君、衣装を用意してくれてありがとう。」
カリム「おう!ジャミルにロゼッタにも衣裳を用意するって言ったら張り切ってたぜ!」
ジャミル「なっつ!!」
ロゼッタ「本当なの、ジャミル君?」
ジャミル「え、ええ。楽しんでもらいたかったので」
ロゼッタ「ありがとう」