熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
ようやく2人が噴水から離れて一緒に遊歩道を歩いていると、ケイトさんはあるものを見つけた。
ケイト「……あ、公園の奥の芝生にラクダがいる!」
監督生「あ、本当だ。」
トレイ「驚いたな。象もキリンもいるじゃないか」
ジャミル「昔は、ラクダを移動手段として使っていました。酷暑でも長距離を歩き続けられますから。今では観光客を乗せての名所巡りがほとんどですね。象やキリンがいるのもそのためです」
ケイト「無料で入れる公園なのに、まるで動物園やテーマパークみたい。熱砂の国の公園って、他もみんなこんなカンジなの?」
ジャミル「いいえ、このアジーム公園が特別なだけで、他は普通ですよ」
「「「「……んっ?」」」」
トレイ「今、アジーム公園と言っていたが……」
ケイト「もしかして、ここって……?」
ジャミル「はい、この辺りは全部、アジーム家の私有地になります」
「「「「え――――っ!?」」」」
この公園とあの宮殿みたいな家を含めて私有地だって初めて聞いたら驚くでしょうね。私も似たようなものだけど
トレイ「つまり、この公園はカリムの家の持ち物ってことか!?」
ケイト「これがプライベートパーク……信じらんない広さ!」
トレイ「公園を歩けば、カリムの家に着くのも、当たり前だな……」
監督生「もうアジーム家の土地に入ってるんですからね……」
ケイト「っていうかもうここもほぼカリムくんの家じゃない?」
マレウス「随分と明るく開放的な庭だな」
”庭”の一言で片づけていいのかしら?
ジャミル「ここは、アジーム邸から近いので、休憩時間はよく来ましたよ」
ケイト「仕事の合間の息抜きだね。なにをしてたの?」
ジャミル「特に……木陰でぼんやりと休んでいました」
カリム「えー?よくダンスの練習をしていたじゃないか?」
監督生「あれ?さっきと言ってること違ってますね」
ジャミル「…………待て」
本人が言ったことと反対のことを言ったカリム君に首を傾げると、何故かジャミル君が低い声を出した。
ジャミル「ちょっとした空き時間に、ここで踊っていたりはしていたが……なぜそれを、カリムが知っている!?」
カリム「警備カメラに映っていたぜ?」
ジャミル「……あのカメラは、公園内を警備する担当者しか見られないはずだろう?」
カリム「ジャミルが休憩時間の時に、一緒に遊びたくなることもよくあってさ。そういう時は、まず最初に、この公園を探しに行ってたんだよ。
でもここは広いし、見つけるのが大変だろ?だから、管理人さんに聞きに行くんだ。そうすると、警備カメラを使って探してくれるんだ!すぐ見つけられたぜ!」
監督生「それ職権乱用!!」
ジャミル「……公私混同をするなっ!!」
カリム「ジャミルは音楽をイヤホンで聞きながら、1人で、ノリノリで踊ってただろ?それをモニターで見てると、オレも踊りたくなってくるんだよな~。だから、すぐジャミルの所に駆けつけて、一緒に踊ったりしてたんだ!」
ジャミル「道理ですぐに見つかるわけだ。まさか管理人とグルになっていたとは……」
ここでまさかの衝撃的な真実を知ったジャミル君。
ああ……フリーダムというのはいいところだけれど、カリム君はフリーダムすぎるわね。だから、あのホリデーで鬱憤などが爆発しちゃったんだわ。
トレイ「ジャミルは休憩時間も気が抜けないな……」
ケイト「従者ってなかなかハードだね~」
監督生「同情する……」
マレウス「警備体制はしっかりしているようだ。感心だな」
ケイト「マレウスくん……そこ、感心するところじゃないよ」
ケイトさんのツッコみに私も同意するように頷いた。
カリム「ここでは、小さなころから、たくさん遊んだよなー!思い返せば楽しい思い出ばっかりだ!」
ジャミル「俺には大変だった記憶しかないが……」
カリム「缶蹴りとか、日が暮れるまでやったよな。毎回オレの勝ちだったけどさ」
ジャミル「園内が広すぎて、飛んでいった缶を探すのに時間が掛かり、ヘトヘトだったからな」
そうなるでしょうね。私もやったことあるけど、疲れて途中で寝てしまったし・・・
ケイト「そんなの絶対、接待プレーでしょ~」
トレイ「なるほど……その可能性はあるかもな」
ケイト「苦労性だよね~」
トレイ「お前も人のことは言えないだろう」
ケイト「えー?なんのこと?」
ハーツラビュル組は身内話しているけれど、私はホリデーの時、夢で見たジャミル君の記憶を思い出した。
きっとジャミル君のご両親のせいよね……ただの子どもの遊びですら、勝ちを譲らないとダメとか、少しやりすぎじゃないかしら。
(家族仲、悪くなければいいんだけれど)
ジャミル「動物たちが散歩したがっていると言って、キリンや象をカリムが檻から出したこともあった」
カリム「あった、あった!初めてのことに、動物たちは大興奮していたっけ!みんな生き生きしてたよなあ」
ジャミル「街にまで動物が出たら、大パニックになるところだ!逃げた動物を檻に戻すのが、どれだけ大変だったが……使用人総出で動物たちを押さえこむことになって…」
「それは……大変だったわね」
ケイト「昔から苦労していたんだね、ジャミルくん」
トレイ「知らぬは本人ばかりとはよく言ったものだ」
マレウス「動物が逃げ出したくらいでパニックになるとは、街の方は警備体制が不安だな」
ケイト「マレウスくん……そこ、心配するところじゃないよ」
ふふっ。マレウスさんはさっきから警備体制が気になるみたい
グリム「でも今は檻なんてねーじゃねーか」
カリム「……それをきっかけに、動物たちの飼育環境が見直されて檻が取り払われたんだ」
監督生「あ、それが放し飼いの経緯ですか」
カリム「おう。今はみんなで楽しく過ごせてるんだ。よかったよなー!」
笑顔でのほほんと言ったカリム君に、ジャミル君はがっくりと肩を落とす。
……うん、わかるわ。相手が自分たちの苦労を知らないのって、結構クるものがあるわよね。
ケイト「ジャミルくん……お疲れ」
「無理のし過ぎで倒れないようにね……」
ジャミル「お気遣いありがとうございます。」
カリム「あ!楽しく散歩している間に、オレの家に着いたぞ!」
カリム君の一言で、私たちはようやく公園を出たことに気付いた。
そして、目的地であるアジーム邸が目の前に現れた。
ケイト「……あ、公園の奥の芝生にラクダがいる!」
監督生「あ、本当だ。」
トレイ「驚いたな。象もキリンもいるじゃないか」
ジャミル「昔は、ラクダを移動手段として使っていました。酷暑でも長距離を歩き続けられますから。今では観光客を乗せての名所巡りがほとんどですね。象やキリンがいるのもそのためです」
ケイト「無料で入れる公園なのに、まるで動物園やテーマパークみたい。熱砂の国の公園って、他もみんなこんなカンジなの?」
ジャミル「いいえ、このアジーム公園が特別なだけで、他は普通ですよ」
「「「「……んっ?」」」」
トレイ「今、アジーム公園と言っていたが……」
ケイト「もしかして、ここって……?」
ジャミル「はい、この辺りは全部、アジーム家の私有地になります」
「「「「え――――っ!?」」」」
この公園とあの宮殿みたいな家を含めて私有地だって初めて聞いたら驚くでしょうね。私も似たようなものだけど
トレイ「つまり、この公園はカリムの家の持ち物ってことか!?」
ケイト「これがプライベートパーク……信じらんない広さ!」
トレイ「公園を歩けば、カリムの家に着くのも、当たり前だな……」
監督生「もうアジーム家の土地に入ってるんですからね……」
ケイト「っていうかもうここもほぼカリムくんの家じゃない?」
マレウス「随分と明るく開放的な庭だな」
”庭”の一言で片づけていいのかしら?
ジャミル「ここは、アジーム邸から近いので、休憩時間はよく来ましたよ」
ケイト「仕事の合間の息抜きだね。なにをしてたの?」
ジャミル「特に……木陰でぼんやりと休んでいました」
カリム「えー?よくダンスの練習をしていたじゃないか?」
監督生「あれ?さっきと言ってること違ってますね」
ジャミル「…………待て」
本人が言ったことと反対のことを言ったカリム君に首を傾げると、何故かジャミル君が低い声を出した。
ジャミル「ちょっとした空き時間に、ここで踊っていたりはしていたが……なぜそれを、カリムが知っている!?」
カリム「警備カメラに映っていたぜ?」
ジャミル「……あのカメラは、公園内を警備する担当者しか見られないはずだろう?」
カリム「ジャミルが休憩時間の時に、一緒に遊びたくなることもよくあってさ。そういう時は、まず最初に、この公園を探しに行ってたんだよ。
でもここは広いし、見つけるのが大変だろ?だから、管理人さんに聞きに行くんだ。そうすると、警備カメラを使って探してくれるんだ!すぐ見つけられたぜ!」
監督生「それ職権乱用!!」
ジャミル「……公私混同をするなっ!!」
カリム「ジャミルは音楽をイヤホンで聞きながら、1人で、ノリノリで踊ってただろ?それをモニターで見てると、オレも踊りたくなってくるんだよな~。だから、すぐジャミルの所に駆けつけて、一緒に踊ったりしてたんだ!」
ジャミル「道理ですぐに見つかるわけだ。まさか管理人とグルになっていたとは……」
ここでまさかの衝撃的な真実を知ったジャミル君。
ああ……フリーダムというのはいいところだけれど、カリム君はフリーダムすぎるわね。だから、あのホリデーで鬱憤などが爆発しちゃったんだわ。
トレイ「ジャミルは休憩時間も気が抜けないな……」
ケイト「従者ってなかなかハードだね~」
監督生「同情する……」
マレウス「警備体制はしっかりしているようだ。感心だな」
ケイト「マレウスくん……そこ、感心するところじゃないよ」
ケイトさんのツッコみに私も同意するように頷いた。
カリム「ここでは、小さなころから、たくさん遊んだよなー!思い返せば楽しい思い出ばっかりだ!」
ジャミル「俺には大変だった記憶しかないが……」
カリム「缶蹴りとか、日が暮れるまでやったよな。毎回オレの勝ちだったけどさ」
ジャミル「園内が広すぎて、飛んでいった缶を探すのに時間が掛かり、ヘトヘトだったからな」
そうなるでしょうね。私もやったことあるけど、疲れて途中で寝てしまったし・・・
ケイト「そんなの絶対、接待プレーでしょ~」
トレイ「なるほど……その可能性はあるかもな」
ケイト「苦労性だよね~」
トレイ「お前も人のことは言えないだろう」
ケイト「えー?なんのこと?」
ハーツラビュル組は身内話しているけれど、私はホリデーの時、夢で見たジャミル君の記憶を思い出した。
きっとジャミル君のご両親のせいよね……ただの子どもの遊びですら、勝ちを譲らないとダメとか、少しやりすぎじゃないかしら。
(家族仲、悪くなければいいんだけれど)
ジャミル「動物たちが散歩したがっていると言って、キリンや象をカリムが檻から出したこともあった」
カリム「あった、あった!初めてのことに、動物たちは大興奮していたっけ!みんな生き生きしてたよなあ」
ジャミル「街にまで動物が出たら、大パニックになるところだ!逃げた動物を檻に戻すのが、どれだけ大変だったが……使用人総出で動物たちを押さえこむことになって…」
「それは……大変だったわね」
ケイト「昔から苦労していたんだね、ジャミルくん」
トレイ「知らぬは本人ばかりとはよく言ったものだ」
マレウス「動物が逃げ出したくらいでパニックになるとは、街の方は警備体制が不安だな」
ケイト「マレウスくん……そこ、心配するところじゃないよ」
ふふっ。マレウスさんはさっきから警備体制が気になるみたい
グリム「でも今は檻なんてねーじゃねーか」
カリム「……それをきっかけに、動物たちの飼育環境が見直されて檻が取り払われたんだ」
監督生「あ、それが放し飼いの経緯ですか」
カリム「おう。今はみんなで楽しく過ごせてるんだ。よかったよなー!」
笑顔でのほほんと言ったカリム君に、ジャミル君はがっくりと肩を落とす。
……うん、わかるわ。相手が自分たちの苦労を知らないのって、結構クるものがあるわよね。
ケイト「ジャミルくん……お疲れ」
「無理のし過ぎで倒れないようにね……」
ジャミル「お気遣いありがとうございます。」
カリム「あ!楽しく散歩している間に、オレの家に着いたぞ!」
カリム君の一言で、私たちはようやく公園を出たことに気付いた。
そして、目的地であるアジーム邸が目の前に現れた。