熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
マレウス「次期国王である僕は、茨の谷を出ることがほとんど無い。もっと見聞を広めたいと思っていたが……国にいると、元老院の連中がいろいろとうるさいからな。それでリリアが、この旅に誘ってくれたんだ。学園に通っている今くらい、気ままに旅を楽しんでもいいだろう……と言っていた」
ケイト「リリアちゃん、優しいね♪」
「そうですね」
カリム「あれ?でも、リリアがいないぞ?」
マレウス「あぁ。今朝になって急な腹痛に襲われて、体調を崩してしまったんだ。だから、参加するのは僕1人だ」
「「「「え――――――っ!!!???」」」」
これは予想外だわ。リリアさんが体調不良だなんて。
マレウス「リリア曰く、昨日食べたものの『あたりが悪かった』らしい。床に伏したリリアに『いい機会じゃ。お前だけでも楽しんでくれ……』と言われてな」
監督生「なんか……すっごく思い浮かぶ、その光景」
マレウス「連れの者なしでの旅行をするのは初めてだが、リリアのためにも、今回は存分に熱砂の国を堪能しよう」
ジャミル「護衛無しの旅行は初めて……!?」
あ、まずい。ジャミル君が胃痛を堪えるような顔をしてる。
カリム「なるほど……そんな事情があったのか。リリアが来られないのはすごく残念だけど……アイツの分まで、最高の経験をさせてやるぜ、マレウス!熱砂の国を、たっぷり堪能してくれ!」
ジャミル「ちょっと待て―――!!!!」
監督生「うるさっ!」
突然大声を出したジャミル君。その声量はセベク君並だった。こんな大声を出せたのね、ジャミル君って。
ジャミル「カリム……マレウス先輩は茨の谷の王族なんだぞ」
カリム「ん?だから、なんなんだ?」
ジャミル「なんなんだって……。お目付役のリリア先輩がいない中、もしもマレウス先輩の身になにかあったらどうする!外交問題に発展するかもしれない!俺たちの手に負えないぞ!」
「大丈夫だと思うけど」
ジャミル「ロゼッタ様、どういうことですか!?」
「逆に考えてみて。未来の妖精王に危害を加えられる人いるかしら?」
私の一言に、全員が「あっ」と声を漏らした。
相手はマレウスさん、魔法士の中ではかなり強い。そんな彼が、外交問題に発展するほどの事件に遭う可能性はあるのか?
答えは、否だ。
それ以前にそうなる前にマレウスさんが簡単に窮地を脱するだろう。
監督生「そんなに目くじら立てなくても、ツノ太郎はそこまで弱くないですよ。むしろ強すぎです」
マレウス「ロゼッタと人の子の言う通りだ。お前程に心配されるほど、僕はやわではない」
ジャミル「そ、それはそうかもしれませんが……」
マレウス「どうした、バイパー。その表情……もしや僕が来ては迷惑だったか?」
あ、マレウスさんの顔が不機嫌になってきてる。彼、表情がわかりやすい時とわからない時があるけど、今はわかりやすい。
ジャミル「いえ!いえいえまさか!マレウス先輩にわざわざお越しいただいて、迷惑だなんてそんな……」
マレウス「誘われたと思ったが……手違いだったか?僕は勝手に押しかけたということだろうか」
ジャミル「そ、そういうわけでは……!」
カリム「なあ、遠くで雷の音が聞こえないか」
ケイト「オレも聞こえるよう~……さっきまで晴れてたのに」
グリム「ツノ太郎の顔がどんどん怖くなってくんだゾ……!」
「外が夜みたいに真っ暗になってる」
窓の外を見るとさっきまでの青空はなくなり、真っ黒な雲が覆いかぶさっている。雲からは緑の雷が見えるし、ゴロゴロと鳴っている。
学園長「ドラコニアくんから聞いたのですが、3時間前からここに立って、待っていたようですよ」
監督生「3時間前!?」
ケイト「うわっ!マレウスくん、めっちゃ楽しみにしてんじゃん!」
ケイト「リリアちゃん、優しいね♪」
「そうですね」
カリム「あれ?でも、リリアがいないぞ?」
マレウス「あぁ。今朝になって急な腹痛に襲われて、体調を崩してしまったんだ。だから、参加するのは僕1人だ」
「「「「え――――――っ!!!???」」」」
これは予想外だわ。リリアさんが体調不良だなんて。
マレウス「リリア曰く、昨日食べたものの『あたりが悪かった』らしい。床に伏したリリアに『いい機会じゃ。お前だけでも楽しんでくれ……』と言われてな」
監督生「なんか……すっごく思い浮かぶ、その光景」
マレウス「連れの者なしでの旅行をするのは初めてだが、リリアのためにも、今回は存分に熱砂の国を堪能しよう」
ジャミル「護衛無しの旅行は初めて……!?」
あ、まずい。ジャミル君が胃痛を堪えるような顔をしてる。
カリム「なるほど……そんな事情があったのか。リリアが来られないのはすごく残念だけど……アイツの分まで、最高の経験をさせてやるぜ、マレウス!熱砂の国を、たっぷり堪能してくれ!」
ジャミル「ちょっと待て―――!!!!」
監督生「うるさっ!」
突然大声を出したジャミル君。その声量はセベク君並だった。こんな大声を出せたのね、ジャミル君って。
ジャミル「カリム……マレウス先輩は茨の谷の王族なんだぞ」
カリム「ん?だから、なんなんだ?」
ジャミル「なんなんだって……。お目付役のリリア先輩がいない中、もしもマレウス先輩の身になにかあったらどうする!外交問題に発展するかもしれない!俺たちの手に負えないぞ!」
「大丈夫だと思うけど」
ジャミル「ロゼッタ様、どういうことですか!?」
「逆に考えてみて。未来の妖精王に危害を加えられる人いるかしら?」
私の一言に、全員が「あっ」と声を漏らした。
相手はマレウスさん、魔法士の中ではかなり強い。そんな彼が、外交問題に発展するほどの事件に遭う可能性はあるのか?
答えは、否だ。
それ以前にそうなる前にマレウスさんが簡単に窮地を脱するだろう。
監督生「そんなに目くじら立てなくても、ツノ太郎はそこまで弱くないですよ。むしろ強すぎです」
マレウス「ロゼッタと人の子の言う通りだ。お前程に心配されるほど、僕はやわではない」
ジャミル「そ、それはそうかもしれませんが……」
マレウス「どうした、バイパー。その表情……もしや僕が来ては迷惑だったか?」
あ、マレウスさんの顔が不機嫌になってきてる。彼、表情がわかりやすい時とわからない時があるけど、今はわかりやすい。
ジャミル「いえ!いえいえまさか!マレウス先輩にわざわざお越しいただいて、迷惑だなんてそんな……」
マレウス「誘われたと思ったが……手違いだったか?僕は勝手に押しかけたということだろうか」
ジャミル「そ、そういうわけでは……!」
カリム「なあ、遠くで雷の音が聞こえないか」
ケイト「オレも聞こえるよう~……さっきまで晴れてたのに」
グリム「ツノ太郎の顔がどんどん怖くなってくんだゾ……!」
「外が夜みたいに真っ暗になってる」
窓の外を見るとさっきまでの青空はなくなり、真っ黒な雲が覆いかぶさっている。雲からは緑の雷が見えるし、ゴロゴロと鳴っている。
学園長「ドラコニアくんから聞いたのですが、3時間前からここに立って、待っていたようですよ」
監督生「3時間前!?」
ケイト「うわっ!マレウスくん、めっちゃ楽しみにしてんじゃん!」