熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ
ユウSIDE
突然のカリム先輩のお誘い。
目を丸くする私たちに、カリム先輩は話を続ける。
カリム「異世界から来た監督生に『ヤーサミーナ河 花火大会』を見せてやりたい。それに、熱砂の国の素晴らしさも教えてあげたいしな」
「カリム先輩……」
グリム「ふんな゛~~っ!オレ様も行きたいんだゾ!ウマイ食いもんがたくさんあるんだろ!?」
カリム「あぁ!おいしいもんばっかりだ!歓迎するぜ、グリム!」
ジャミル「ちょっと待て!勝手に話を進めるな!急にそんなことを決めていいと思っているのか?」
とんとん拍子で進むお誘い。しかし、そこでジャミル先輩が制止に入った。
カリム「堅いこと言うなって。観覧席だって、なんとかなるんじゃないか?」
ジャミル「確かに席ぐらいは主催者特権で、確保をできるかもしれないが……そういう問題じゃないだろ!?」
グリム「主催者?どういう意味なんだゾ」
ロゼッタ「この祭りは、熱砂の国の名家が持ち回りで、主催を担当することになっていて、今回は、アジーム家が主催をする年なの。花火大会を取り仕切るのは、ミスの許されない大仕事だけど、同時にとても名誉なことなのよ。」
カリム「オレ、お客さんたちに、挨拶して回れって言われてるんだよ」
ジャミル「俺も、カリムの付き添いで一緒に帰郷するというわけだ」
「なるほど、そういうことでしたか。ということは、ロゼッタさんも行くんですか?」
ロゼッタ「ええ、もちろん。久しぶりに見るから楽しみだわ」
主催者ということは、カリム先輩とジャミル先輩は現地では忙しくなる可能性がある。
そんなところに私たちは観光だなんて……やっぱり迷惑かな?
ジャミル「……というわけで、監督生やグリムの面倒を見ている暇はない。2人とも、悪いがあきらめてくれ」
「まあ、そういう事情があるなら辞退したいんですが……」
グリム「ふな―――っ!行きたい!行きたい!!行きたい!!!」
「グリムをどうにかしない限り、多分一生無理かと」
激しく駄々をこねるグリムに、ジャミル先輩は悔しそうに顔をしかめた。
カリム「頼むよ、ジャミル!熱砂の国の素晴らしさを知ってもらいたい!」
グリム「頼むんだゾ、ジャミル~。連れて行ってくれなきゃ、オマエらが留守の間にスカラビア寮を荒らしまくってやるからな。それに、(名前)はこれが初めての旅行になるかもしれないんだゾ!」
ジャミル「え?初めてなのか?」
「……ええ、まあ。ホリデーはバカ学園長がバカンスに連れて行ってもらってくれなかったし、誰かさんのせいで合宿に強制参加させられたから」
チラッと主犯を見ると、苦虫を噛み潰したよう顔をしたが無視しながら話を続ける。
ロゼッタ「私の招待客として、ユウとグリム君を連れていくっていうのもありかもしれないわね。」
ジャミル「ロゼッタ様の手を煩わせるわけにはいきません。……仕方ない。わかった」
グリム「やった――!!」
「ありがとうございます、ジャミル先輩」
ジャミル「別に。ただ、これ以上グリムを説得するのは無理だとわかった上での判断だ」
フンッと鼻を鳴らしたジャミル先輩に、私は苦笑していると、カリム先輩はさらにとんでもないことを言い始めた。
カリム「そうだ!他の友だちも連れていこうぜ!大勢でワイワイ楽しんだ方が、盛り上がるし!」
「え゛」
ジャミル「待て待て!招待席には限りがある。無理に決まっているだろう!」
カリム「そうか?でも招待席に、まだ余裕があった気がするんだよなー。いくつだっけ、ジャミル?」
ジャミル「ぐっ……。……たしか、余っているのは6席だったはずだ」
さすがカリム先輩、ジャミル先輩ならわかっていると理解している。
ジャミル先輩も主人の命令には逆らえないから、彼の質問に素直に答えた。
グリム「だったら、オレ様と子分は行っていいよな!?」
カリム「もちろんだ!それに……あと4人、連れていけるってことだよな。よし、軽音部のケイトとリリアに声を掛けてみようっと!」
ジャミル「はあ。予想外の客が4人も増えるなんて……」
カリム「ジャミルは、誰か連れていかないのか?」
ジャミル「俺はいい。招待しても、とても面倒をみてやれない」
カリム「ふーん」
どうやらジャミル先輩は、連れていく人がこれ以上増えるのは絶対お断りみたいだ。
カリム「じゃあ、ケイトとリリアに、一緒に行きたい人を1人ずつ誘ってもらおう!」
ジャミル「なんだって!?」
「あー、そうきましたか」
ロゼッタ「あらあら。」
確かに、残った招待席数を考えるとそれでぴったりになる。
でも、それはさすがにジャミル先輩も予想外みたいだ。
カリム「よーし!急いでケイトとリリアの所に行ってくる!お前たちも来いよ、監督生、グリム!」
「あ、ちょ、カリム先輩!?」
ジャミル「ま、待て、カリム!」
ジャミル先輩の制止を聞かないまま、カリム先輩は私の手を取って廊下を走る。
その背後でジャミル先輩が頭を抱えていたことに気付いたのは、私とロゼッタさんだった。
突然のカリム先輩のお誘い。
目を丸くする私たちに、カリム先輩は話を続ける。
カリム「異世界から来た監督生に『ヤーサミーナ河 花火大会』を見せてやりたい。それに、熱砂の国の素晴らしさも教えてあげたいしな」
「カリム先輩……」
グリム「ふんな゛~~っ!オレ様も行きたいんだゾ!ウマイ食いもんがたくさんあるんだろ!?」
カリム「あぁ!おいしいもんばっかりだ!歓迎するぜ、グリム!」
ジャミル「ちょっと待て!勝手に話を進めるな!急にそんなことを決めていいと思っているのか?」
とんとん拍子で進むお誘い。しかし、そこでジャミル先輩が制止に入った。
カリム「堅いこと言うなって。観覧席だって、なんとかなるんじゃないか?」
ジャミル「確かに席ぐらいは主催者特権で、確保をできるかもしれないが……そういう問題じゃないだろ!?」
グリム「主催者?どういう意味なんだゾ」
ロゼッタ「この祭りは、熱砂の国の名家が持ち回りで、主催を担当することになっていて、今回は、アジーム家が主催をする年なの。花火大会を取り仕切るのは、ミスの許されない大仕事だけど、同時にとても名誉なことなのよ。」
カリム「オレ、お客さんたちに、挨拶して回れって言われてるんだよ」
ジャミル「俺も、カリムの付き添いで一緒に帰郷するというわけだ」
「なるほど、そういうことでしたか。ということは、ロゼッタさんも行くんですか?」
ロゼッタ「ええ、もちろん。久しぶりに見るから楽しみだわ」
主催者ということは、カリム先輩とジャミル先輩は現地では忙しくなる可能性がある。
そんなところに私たちは観光だなんて……やっぱり迷惑かな?
ジャミル「……というわけで、監督生やグリムの面倒を見ている暇はない。2人とも、悪いがあきらめてくれ」
「まあ、そういう事情があるなら辞退したいんですが……」
グリム「ふな―――っ!行きたい!行きたい!!行きたい!!!」
「グリムをどうにかしない限り、多分一生無理かと」
激しく駄々をこねるグリムに、ジャミル先輩は悔しそうに顔をしかめた。
カリム「頼むよ、ジャミル!熱砂の国の素晴らしさを知ってもらいたい!」
グリム「頼むんだゾ、ジャミル~。連れて行ってくれなきゃ、オマエらが留守の間にスカラビア寮を荒らしまくってやるからな。それに、(名前)はこれが初めての旅行になるかもしれないんだゾ!」
ジャミル「え?初めてなのか?」
「……ええ、まあ。ホリデーはバカ学園長がバカンスに連れて行ってもらってくれなかったし、誰かさんのせいで合宿に強制参加させられたから」
チラッと主犯を見ると、苦虫を噛み潰したよう顔をしたが無視しながら話を続ける。
ロゼッタ「私の招待客として、ユウとグリム君を連れていくっていうのもありかもしれないわね。」
ジャミル「ロゼッタ様の手を煩わせるわけにはいきません。……仕方ない。わかった」
グリム「やった――!!」
「ありがとうございます、ジャミル先輩」
ジャミル「別に。ただ、これ以上グリムを説得するのは無理だとわかった上での判断だ」
フンッと鼻を鳴らしたジャミル先輩に、私は苦笑していると、カリム先輩はさらにとんでもないことを言い始めた。
カリム「そうだ!他の友だちも連れていこうぜ!大勢でワイワイ楽しんだ方が、盛り上がるし!」
「え゛」
ジャミル「待て待て!招待席には限りがある。無理に決まっているだろう!」
カリム「そうか?でも招待席に、まだ余裕があった気がするんだよなー。いくつだっけ、ジャミル?」
ジャミル「ぐっ……。……たしか、余っているのは6席だったはずだ」
さすがカリム先輩、ジャミル先輩ならわかっていると理解している。
ジャミル先輩も主人の命令には逆らえないから、彼の質問に素直に答えた。
グリム「だったら、オレ様と子分は行っていいよな!?」
カリム「もちろんだ!それに……あと4人、連れていけるってことだよな。よし、軽音部のケイトとリリアに声を掛けてみようっと!」
ジャミル「はあ。予想外の客が4人も増えるなんて……」
カリム「ジャミルは、誰か連れていかないのか?」
ジャミル「俺はいい。招待しても、とても面倒をみてやれない」
カリム「ふーん」
どうやらジャミル先輩は、連れていく人がこれ以上増えるのは絶対お断りみたいだ。
カリム「じゃあ、ケイトとリリアに、一緒に行きたい人を1人ずつ誘ってもらおう!」
ジャミル「なんだって!?」
「あー、そうきましたか」
ロゼッタ「あらあら。」
確かに、残った招待席数を考えるとそれでぴったりになる。
でも、それはさすがにジャミル先輩も予想外みたいだ。
カリム「よーし!急いでケイトとリリアの所に行ってくる!お前たちも来いよ、監督生、グリム!」
「あ、ちょ、カリム先輩!?」
ジャミル「ま、待て、カリム!」
ジャミル先輩の制止を聞かないまま、カリム先輩は私の手を取って廊下を走る。
その背後でジャミル先輩が頭を抱えていたことに気付いたのは、私とロゼッタさんだった。