熱砂の国のアリア―ブ・ナーリヤ

「カリム君と、ジャミル君が聞いたらきっと喜ぶわね。」

闇の鏡の使用許可が下りたことをカリム君とジャミル君に伝えて欲しいとお義父様に頼まれた。ユウとグリム君と一緒に行ってほしいということだったので、3人でスカラビア寮に行った。

(あの2人の故郷って熱砂の国よね……私の故郷でもある所)

カリム君の部屋の方へ向かうと、ちょうど目的の2人がいた。

監督生「すみません、ちょっといいですか?」

カリム「よぉ、ロゼッタに監督生にグリム!どうしたんだ?」

「お義父様から頼まれて、闇の鏡の使用許可が下りたこと伝えに来たのよ。」

カリム「そうか、ありがとな!これで遠くまで一瞬で移動できるぜ」

グリム「オマエら、どっか行くのか?そういえば、デカい荷物を持ってるな?」

「『アリアーブ・ナーリヤ』」

グリム「それ、なんなんだゾ?ウマい料理の名前か?」

監督生「そんなわけないでしょ」

なんでもかんでも料理に直結するグリム君に私は苦笑してしまった。

ジャミル「アリアーブ・ナーリヤは熱砂の国の古い言葉で『花火』という意味だ。今は『ヤーサミーナ河 花火大会』が有名だな。」

グリム「やーさみーな……聞いたことないんだゾ?」

監督生「というかこの世界、花火大会あるんですか!?」

カリム「マジかよ!?メチャメチャ有名な花火大会だぜ!?」

監督生「先輩、私、異世界人ですよ」

カリム「あ、そっか」

ユウが片言に話すと、カリム君は思い出したように言った。ユウのいた世界にも花火大会があるのね。

ユウ「それで、その花火大会ってそんなにすごいんですか?」

カリム「ああ。国内外から、観光客がたくさん来るんだ!バザールとか屋台じゃ、綺麗な土産物や、すげーカラフルな果物とか売っててさー!
 メインイベントは、祭りの最後に打ち上げられる、花火!これがとにかくすごいんだぜ!街中が熱気と活気に溢れるオレの大好きな祭りなんだ!」

グリム「おおーっ!めちゃくちゃ楽しそうなんだゾ!」

ジャミル「一部の有力者が、その利権を使い、金稼ぎをする一面もあるがな……」

監督生「ジャミル先輩、そういう裏事情いらないです」

「小声で言ってるつもりかもしれないけど、結構聞こえてたわよ。ジャミル君。」

ジャミル「失礼しました」

カリム「そうだ!監督生も一緒に来ないか?」

監督生「えっ?」

突然のカリム君のお誘いに、ユウは目を丸くした。
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