王子様と秘密のお嬢様 番外編

レオナ「ロゼッタ、俺が悪かった。だから・・・」

レオナがなぜ反省しているのかというと、今から数時間前に遡る。

~数時間前~

レオナは、非常に苛立っていた。錬金術の授業でパートナーの人が失敗し、怒られ、ルークハントに昼寝の邪魔をされ、などイライラが募ることがたくさんあったのだ。

一方、ロゼッタは朝から体調が悪かった。体調が悪いことをひた隠し、生活していたが、限界が近かった。

そんな二人が、レオナの自室で言い合いをしてしまった。

レオナ「ガルル・・・俺に近寄るんじゃねぇ!!出ていけ!!」

「・・失礼します」

レオナの部屋を後にし、ロゼッタは廊下をふらふらと歩いていた。そこに、やってきたのは・・・

カリム「あそこにいるのってロゼッタだよな?おーい!!」

ジャミル「(ふらついているような…)危ない!!」

カリム「ロゼッタ!?」

ジャミルがそう叫んだ瞬間のことだった。ロゼッタは我慢の限界が来たのか倒れた。ジャミルが抱えたので、倒れこむことはなかった。

カリム「大丈夫か!?」

ジャミル「熱が高すぎる・・」

ロゼッタはジャミルの手により保健室に運ばれた。ロゼッタは熱にうなされながらも、ごめんなさいとずっと繰り返していた。

レオナ自身、ロゼッタが倒れたと聞いたのは、あんなこと言って悪かったと反省しているときだった。

ラギー「レオナさん!!」

レオナ「うるせぇな、ラギー。何か用かよ」

ラギー「ロゼッタちゃんが倒れて、保健室に運ばれたっス!!」

レオナ「!?」

レオナはそれを聞いた途端、すぐさま部屋を飛び出した。保健室についた途端勢いよく扉を開ける。

レオナ「ロゼッタ!!」

カリム「お、レオナ」

ジャミル「邪魔になるから、俺たちは帰るぞ」

カリム「わかった。またな、レオナ。ロゼッタがよくなったら教えてくれ。」

カリムとジャミルが出ていった後、入れ替わるように学園長が入ってきた。

学園長「ああ、来ていたんですね。キングスカラー君。あなたにお話ししたいことがあります。立ち話もなんですから、座ってください。」

レオナ「…」

学園長「ホワイトタイガーの獣人族が生まれる確率は格段に低いことは知っていますか?」

レオナ「ああ」

学園長「ロゼッタは大変稀な存在なんです。何せ、ホワイトタイガーの獣人族から生まれた子ですから。ホワイトタイガーの獣人族同氏の子供は、免疫力が非常に低く、10にも満たないうちに亡くなるケースがほとんどです。ロゼッタがここまで生きてこられたのは、精霊の加護のおかげといってもいいでしょう。今回、ロゼッタが倒れたのは、免疫力が下がっていたからです。」

レオナ「…」

学園長「熱があるって気づかなかったでしょう?・・・ロゼッタは隠すのがうまいんですよ。来たばかりのころは困ったものでした。さて、私は用事があるので失礼します。ロゼッタのことよろしく頼みますよ。」

こうして学園長は出てゆき、部屋にはロゼッタとレオナだけになった。

レオナ「(どうして気づけなかった?俺は・・ロゼッタを守るって決めたのに)」

レオナが後悔をしていたときロゼッタがこう言った。

ロゼッタ「ごめんな‥さ・・い」

目をつぶっているが、苦しそうに”ごめんなさい”と繰り返している

レオナ「謝んな‥怒ってねえよ。」

レオナは悔しくて唇を噛んだ。

数時間後

ロゼッタ「ん・・・」

レオナ「起きたか」

ロゼッタは起き上がろうとしたが、レオナはそれを制した。

レオナ「悪かった。体調悪いって気づけなくて・・・」

レオナの耳は垂れ下がり、尻尾も下がった状態だ。それを見たロゼッタは

ロゼッタ「怒ってません。謝らないで。仲直りしましょう。」

レオナの手を握り、熱で真っ赤になった顔で笑いながら言った。

レオナ「・・・辛い時は我慢すんな。俺に遠慮するんじゃねぇ」

ロゼッタ「わかりました。今から甘えてもいいですか?」

レオナの頭を撫でる手が心地よく、彼の手にすり寄るロゼッタ。

レオナ「いいぜ。好きなだけ甘えろ。」

レオナはそういうと、ロゼッタが寝ているベッドに横になった。その後、ロゼッタを抱きしめる

レオナ「まだ、熱が高ぇな。寝てろ」

ロゼッタ「レオナさんがあったかくて、よく眠れそうです」

ぴったりとレオナにくっついて背中に手を回して抱きしめ返すと、安心感からか睡魔が襲ってくる

レオナ「chu  おやすみ MY lady」

翌日すっかり元気になったロゼッタ。熱で倒れたあの日から、数週間はレオナがロゼッタにくっつきて過ごすことが多かったそうだ。
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