王子様と秘密のお嬢様 番外編
ナイトレイブンカレッジの冬の寒さは厳しい。
クロウリーが用意したロゼッタ専用の建物の庭(ロゼッタとレオナが両思いになってからは、サバナクロー寮にいたので使っていなかったが、この日は、休日だったため、部屋を使って2人で寝ていた)にも、この日は雪が積もっていた。
その建物から、朝食を作るため、キッチンに移動したロゼッタ。
ロゼッタはずり落ちそうなブランケットを肩にかけなおしながら、掌にはあーッと息を吹きかけた。
体温を込めた吐息に、かじかんだ指先が少しだけ温まったが、凍える寒さにあっという間に熱を奪われてしまった。
今日の朝ご飯は何を作ろうか。冷蔵庫の中身を見ながら考えるロゼッタ。
”牛乳の賞味期限が近かったはず。寒いし、クラムチャウダーでも作ろうかしら。”
冷蔵庫をいったん閉めたロゼッタは、手際よくクラムチャウダーを作り始めた。
煮詰まってきたクラムチャウダーの味見をしようとした時、背中に軽い衝撃とともに重みがのしかかってきた。長い腕がおなかに回ってきて、寒そうにぎゅっと締め付ける腕に、ロゼッタはそっと手を重ねた。そしてお互いに頬を摺り寄せる。
「おはようございます、レオナさん。朝ごはん食べますか?」
レオナ「ん」
起きたばかりでまだ眠いのだろう。彼は小さく返事をして、甘える猫のようにぐりぐりッと方に額を押し付けてくる。ふわふわと首をかすめるレオナの紙に、くすぐったくなったロゼッタは思わず身をよじった。
「何か食べたいものはありますか?」
レオナ「…肉」
「わかりました」
そういえば冷蔵庫の中にベーコンがあった。ベーコンエッグにしよう。
後ろに引っ付いたままのレオナを引きずりながら、冷蔵庫から卵とベーコンを取り出したロゼッタは、開いていたコンロにフライパンを乗せて火をつけた。
「寒いでしょう?暖炉の前で待ってますか?」
お腹に回っている手を優しくなでると、顔を上げたレオナと目があった。寝ぼけ眼なレオナは半分しか目が開いていない。加えて、出窓から差し込む朝日に眩しそうに眼を瞬かせている。
そのあどけない表情にロゼッタは思わずほおが緩んだ。いつもは切れ長の鋭い眼光は目じりが落ちて緩い子を描いていて、翡翠色の瞳は日の光を受けて柔らかく光っている。
大きな口を開けて欠伸をしたレオナから綺麗に並んだ犬歯がちらりと見えた。愛おしいと思いながら、ロゼッタは、それをまじまじと見つめていた。
レオナ「いい。・・見てる」
「そうですか」
多少動きづらいが、背中から伝わるぬくもりが心地よかったロゼッタはそのままにしておくことにした。
フライパンに油を薄く引いてベーコンを入れる。パチッと油のはじける音がして、軽く焼けたらひっくり返して上から卵を落とした。
「紅茶と珈琲、どちらにしますか?」
レオナ「お前が飲むのと一緒がいい」
「じゃあ、紅茶にしますね。蜂蜜は入れますか?」
レオナ「ん」
先日、ユウからもらったアールグレーティーの感を戸棚から取り出して、ポットに茶葉を入れる。
そういえば味見をするのを忘れていた。それに気づいたロゼッタは、小皿に一口だけよそって、念入りに熱を冷ました。それを肩口にもたれかかっているレオナに差し出す。
「味見お願いします」
お腹に回した腕を片方だけ解いて、冷ましたクラムチャウダーに慎重に口をつけるレオナをじっと見つめるロゼッタ。
「味薄くないですか?」
レオナ「ちょうどいい。うまい」
渡された小皿を流しにおくと、またぎゅうっとお腹に腕が回ってきた。先ほど味見したクラムチャウダーを大きめのカップに阻止で、焼けたベーコンエッグをお皿に盛る。
ちぎったレタスとくし切りにしたトマトも同じ皿に盛りつけ市、焼けたトーストの上に乗せた。
レオナ「・・・・野菜、いらねえ」
「好き嫌いしたらだめですよ」
不満そうなレオナの腕をあやすようにポンポンとたたくロゼッタ。
そうこうしているうちに紅茶が出来上がったので、ポットとティーカップ、蜂蜜をトレーに乗せていると、お腹に回っていた腕がするりと離れた。
レオナは器用にポットの乗ったトレーと、ベーコンエッグととトーストの乗ったお皿を片手にそれぞれ持って、レオナの自室に持っていく。ロゼッタはクラムチャウダーとスプーン、フォークをもってその背中を追いかけた。他にもバターやジャムなどをテーブルに並べた。
アールグレイティーをカップに注いで、向かい合った椅子に腰かけて手を合わせる。
「「いただきます」」
ロゼッタは、クラムチャウダーを口にして、その温かさにほっと息をつくと共に、レオナの愛らしさを改めて実感していた。
クロウリーが用意したロゼッタ専用の建物の庭(ロゼッタとレオナが両思いになってからは、サバナクロー寮にいたので使っていなかったが、この日は、休日だったため、部屋を使って2人で寝ていた)にも、この日は雪が積もっていた。
その建物から、朝食を作るため、キッチンに移動したロゼッタ。
ロゼッタはずり落ちそうなブランケットを肩にかけなおしながら、掌にはあーッと息を吹きかけた。
体温を込めた吐息に、かじかんだ指先が少しだけ温まったが、凍える寒さにあっという間に熱を奪われてしまった。
今日の朝ご飯は何を作ろうか。冷蔵庫の中身を見ながら考えるロゼッタ。
”牛乳の賞味期限が近かったはず。寒いし、クラムチャウダーでも作ろうかしら。”
冷蔵庫をいったん閉めたロゼッタは、手際よくクラムチャウダーを作り始めた。
煮詰まってきたクラムチャウダーの味見をしようとした時、背中に軽い衝撃とともに重みがのしかかってきた。長い腕がおなかに回ってきて、寒そうにぎゅっと締め付ける腕に、ロゼッタはそっと手を重ねた。そしてお互いに頬を摺り寄せる。
「おはようございます、レオナさん。朝ごはん食べますか?」
レオナ「ん」
起きたばかりでまだ眠いのだろう。彼は小さく返事をして、甘える猫のようにぐりぐりッと方に額を押し付けてくる。ふわふわと首をかすめるレオナの紙に、くすぐったくなったロゼッタは思わず身をよじった。
「何か食べたいものはありますか?」
レオナ「…肉」
「わかりました」
そういえば冷蔵庫の中にベーコンがあった。ベーコンエッグにしよう。
後ろに引っ付いたままのレオナを引きずりながら、冷蔵庫から卵とベーコンを取り出したロゼッタは、開いていたコンロにフライパンを乗せて火をつけた。
「寒いでしょう?暖炉の前で待ってますか?」
お腹に回っている手を優しくなでると、顔を上げたレオナと目があった。寝ぼけ眼なレオナは半分しか目が開いていない。加えて、出窓から差し込む朝日に眩しそうに眼を瞬かせている。
そのあどけない表情にロゼッタは思わずほおが緩んだ。いつもは切れ長の鋭い眼光は目じりが落ちて緩い子を描いていて、翡翠色の瞳は日の光を受けて柔らかく光っている。
大きな口を開けて欠伸をしたレオナから綺麗に並んだ犬歯がちらりと見えた。愛おしいと思いながら、ロゼッタは、それをまじまじと見つめていた。
レオナ「いい。・・見てる」
「そうですか」
多少動きづらいが、背中から伝わるぬくもりが心地よかったロゼッタはそのままにしておくことにした。
フライパンに油を薄く引いてベーコンを入れる。パチッと油のはじける音がして、軽く焼けたらひっくり返して上から卵を落とした。
「紅茶と珈琲、どちらにしますか?」
レオナ「お前が飲むのと一緒がいい」
「じゃあ、紅茶にしますね。蜂蜜は入れますか?」
レオナ「ん」
先日、ユウからもらったアールグレーティーの感を戸棚から取り出して、ポットに茶葉を入れる。
そういえば味見をするのを忘れていた。それに気づいたロゼッタは、小皿に一口だけよそって、念入りに熱を冷ました。それを肩口にもたれかかっているレオナに差し出す。
「味見お願いします」
お腹に回した腕を片方だけ解いて、冷ましたクラムチャウダーに慎重に口をつけるレオナをじっと見つめるロゼッタ。
「味薄くないですか?」
レオナ「ちょうどいい。うまい」
渡された小皿を流しにおくと、またぎゅうっとお腹に腕が回ってきた。先ほど味見したクラムチャウダーを大きめのカップに阻止で、焼けたベーコンエッグをお皿に盛る。
ちぎったレタスとくし切りにしたトマトも同じ皿に盛りつけ市、焼けたトーストの上に乗せた。
レオナ「・・・・野菜、いらねえ」
「好き嫌いしたらだめですよ」
不満そうなレオナの腕をあやすようにポンポンとたたくロゼッタ。
そうこうしているうちに紅茶が出来上がったので、ポットとティーカップ、蜂蜜をトレーに乗せていると、お腹に回っていた腕がするりと離れた。
レオナは器用にポットの乗ったトレーと、ベーコンエッグととトーストの乗ったお皿を片手にそれぞれ持って、レオナの自室に持っていく。ロゼッタはクラムチャウダーとスプーン、フォークをもってその背中を追いかけた。他にもバターやジャムなどをテーブルに並べた。
アールグレイティーをカップに注いで、向かい合った椅子に腰かけて手を合わせる。
「「いただきます」」
ロゼッタは、クラムチャウダーを口にして、その温かさにほっと息をつくと共に、レオナの愛らしさを改めて実感していた。