スケアリー・モンスターズ

リドルたちが立ち去った後、入れ替わるように他の2年生たちが現れる。

アズール「ラギーさんのあの食べっぷり……見てるだけで胸焼けしそうです」

ジェイド「胸焼け?アズールも本気を出せば彼に引けを取らないのでは?」

アズール「余計なことは言わなくていい」

意味深に言うジェイドの言葉に、アズールは睥睨する。

ジャミル「食べないわりには、あちこち見て回っていたよな。また悪巧みか?」

アズール「おや、心外ですね。ただのケータリング事業の調査ですよ」

ジャミル「ハロウィーンにまでご苦労なことだ」

ハロウィーンでも相変わらずすぎるアズールに、ジャミルは感心を通り越して呆れた。

アズール「人のことは言えないでしょう。せっかくのハロウィーンです。ジャミルさんもカリムさんの護衛などせずパーティーを楽しんでは?」

カリム「そうそう!ジャミル、向こうにカレーがあったぜ!お前の好物だろ?食べてこいよ!」

ジャミル「はあ……。カリムがこんなに無防備じゃ、気が休まる暇もない」

能天気なカリムを見てため息を吐くジャミル。
すると、横からジェイドが言った。

ジェイド「ご心配はいりません。どの料理も麓の街の一流シェフに依頼した逸品揃い。食堂のシェフゴーストのお墨付きです」

ジャミル「今は安全の話をしていて味の話はしていないんだが……」

ジェイド「ふふ。存じていますとも。気苦労が絶えませんね」

明らかに分かっていて言ったジェイドにジド目で見ていると、のほほんとした口調をしたカリムが言った。

カリム「今日は見たことない料理がいっぱいあってテンション上がるよな~。大皿料理だから、なにも気にせずみんなと一緒に腹一杯飯が食える。楽しいぜ!」

「おお、お前さんたち。ハロウィーンを楽しんでいるかい?」

カリムがそう言った時、ちょうどオンボロ寮のゴーストたちが現れた。

カリム「おう!どの料理もうまいよ。お前らも……って、ゴーストは飯は食えないのか?」

「残念だけど、さすがにご飯は食べられないねぇ~」

ジェイド「ハロウィーンの主役であるゴーストさんを差し置いてなんて、なんだか心苦しいです」

「ヒッヒッヒ。気にしなくていいのさぁ」

「お前さんたちやゲストの楽しそうな姿で俺たちはもうお腹いっぱい!」

「こんなに賑やかで楽しいハロウィーンパーティーは初めてじゃ!」


そう言うゴーストたちを見て、ジェイドたちは小さく笑う。

ジェイド「昔からナイトレイヴンカレッジにいるというゴーストさんがそうおっしゃるのなら……今年のハロウィーンは、本当に特別なものになったんですね」

カリム「オレたち運営委員も、頑張ったかいがあるよな」

「本当に、なにもかもみんなのおかげだよ。ありがとう!」

嬉しそうにするジェイドたちに、ゴーストたちはお礼を言った。
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