スケアリー・モンスターズ

ジェイド「それに、フロートがこれほど多くのゲストに喜ばれているのはケイトさんのアドバイスのおかげかと。僕たちだけでは、これほどに『映え』な装飾を施すことはできませんから」

ヴィル「そうね。アタシだけじゃ全員分の仮装を手配するのに手一杯で、フロートまでは完成させられなかった」

ケイト「『#NRCの底力 #やるときゃやるんです』ってカンジだね♪」

「他の運営委員の皆さんも、ゲストを喜ばせるため力を惜しまず、協力してくれたから実現したんだと思いますよ」

ヴィル「今年の運営委員がこのメンバーでよかったわ。……だって、アタシの引き立て役ぐらいにはなったもの。ロゼッタは別よ。」

ケイト「ヴィルくん、この空気でそう言う~!?」

監督生「感動が台無しですよ!!」

ジェイド「ふふふ。美しいヴィルさんの引き立て役になれたのなら光栄です」

「私は別?」

どうしてなのか考えようとした時…

「「「トリック・オア・トリート!」」」

フロートの外で皆がキャンディをばら撒いた。

エペル「Boo!お菓子の代わりに、いたずらしちゃおうかな?」

ジャック「がおー!まだまだお菓子はある。いっぱい楽しんでくれ」

「「「ハッピーハロウィーン!」」」

エペル君とジャック君のそばで、今度はアズール君とデュース君、そしてイデアさんが声を出す。

アズール「Boo!どうぞ、骨身に染みるほど楽しいハロウィーンを」

デュース「ハッピーハロウィーン!最後まで全力で楽しもうな!」

イデア「……ハッピーハロウィーン。みんな楽しそうでなによりっすわ」

「「ヒーッヒッヒッヒッヒ。ハッピーハロウィーン!」」

みんなが、ゴーストさんたちが、笑顔でハロウィーンを全力で楽しんでいる。

その光景は、きっと永遠に忘れられない思い出になるだろう。

「そろそろパレードも終わりね」

監督生「楽しい時間はあっという間ですね」

グリム「ん?このフロート……?みんなどこに向かってるんだゾ?」

フロートの進行方向にグリムが首を傾げると、ヴィルさんは笑顔で言った。

ヴィル「決まってるじゃない」

ケイト「ハロウィーンの最後に待ってるのは~?」

監督生「あっ!も、もしかして……」

ケイト「そうっ♪」

「「パーティーだ!!」」

そう言ってグリム君とゴーストさんは、はしゃいだ声を上げた。

パーティー会場はメインストリートで、すでに多くのゲストで賑わっている。

すると、ちょうどお義父様が登壇する。

学園長「えーえー。チェックワンツー、チェックワンツー……ごほん!賢者の島内外からお集りのゲストのみなさま、身の毛もよだつこの良き夜に……ナイトレイブンカレッジのハロウィーンパーティーにお越しいただき、誠にありがとうございます!
 今年のハロウィーン運営委員がパーティーの始まりの挨拶を行います。運営委員長。3年生ヴィル・シェーンハイトくん」

ヴィル「はい」

ヴィルさんが現れると、周囲から黄色い歓声が起こる。
だけど、さすがにここで写真を撮るマナー違反者はいなかった。

カリム「見ろよ、あのヴィルの誇らしいそうな顔!かっこいいぜ!」

アズール「ふふ。メイクにも一段と気合が入っていますね。さ、静かに。スピーチが始まりますよ」

アズール君の言う通り、ヴィルさんのスピーチが始まった。

ヴィル「ご来場のみなさま。こんばんは。ようこそ、ナイトレイヴンカレッジへ。ご存知の方も多いかと思いますが……我が校にとってハロウィーンは大切な行事です。今年も、例年に勝るとも劣らない素晴らしい7日間になったのではないでしょうか。
 どの寮も美しく、恐ろしく、楽しいハロウィーンをみなさまにお届けできたかと思います。……まあ、アタシが指揮するポムフィオーレが一番なのは言うまでもないけれど」

さらっとマウントとを取ったヴィルさんに、学生からのブーイングが起きる。

レオナ「どう考えたってサバナクローが一番だっただろうが」

セベク「運営委員長が寮の宣伝をするとは卑怯な!マレウス様率いるディアソムニアが一番だ!」

学園長「こらっ!生徒の皆さん静かに!!」

みんなが抗議していると、お義父様が叱りつける。

ヴィル「本日無事にハロウィーンを笑顔で迎えることができたのは……日頃より、ナイトレイブンカレッジを支えてくださるみなさんのおかげです。人間も、獣人も、人魚も、妖精も……ゴーストだって関係ない。今宵を思いっきり楽しみましょう」

平然とブーイングを無視したヴィルさんが、近くの席からグラスを手に取った。

ヴィル「お手元にグラスは行き渡っている?それじゃあ……素敵な夜を祝って!……ハッピーハロウィーン!」

「「「ハッピーハロウィーン!!」」」

合言葉と共にグラスを合わせる。

私もレオナさんと一緒に乾杯した。ちらっとユウたちの方を見ると、グリム君が目の前の料理に目を輝かせていた。
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