スケアリー・モンスターズ

学園長「みなさん、ハッピーハロウィーン!」

「「「ハッピーハロウィーン!」」」

講堂に集まった運営委員たちは、クロウリーの言葉を返す。
一同は以前の疲労感が消え、とても清々しい表情をしてた。

学園長「初めに…ロゼッタ。」

「はい。なんでしょう?お義父様」

学園長「体調は良くなったようですね。良かった‥‥」

「寝ていたらよくなりました。ご心配おかけしました。私の体調がよくなったことを伝えるために委員会の皆さんを呼んだのではないでしょう?お義父様。」

学園長「そうですね。本題に入りましょう。本日はハロウィーンウィーク最終日……すなわちハロウィーン当日。私は昨日皆さんに『ハロウィーンパーティーの開催は朝の状況を見て判断する』と言いました。」

「ええ」

学園長「実は……私、昨日の時点で今年のパーティー開催はほとんど諦めていたんです。なにせパーティーどころか、ハロウィーン当日というだけでもマジカメモンスターの殺到は必至……そうなればきっと学園は未曽有の大惨事になる!今日はイベントの早期中止も視野に入れていました。」

クロウリーの考えは教師としてならば当然で、普段色々と言われているが彼なりに学園と生徒の身を案じていたのだと伝わってくる。

学園長「ですが……今朝の様子を見ましたか!?マジカメモンスターがすっかりいなくなっている!こんな都合のいい状況、魔法を使ってもなし得ない!一体なにがあったんでしょう!?」

ジェイド「僕たちもとても驚いているところです」

ケイト「ほんとだよね~。なにがあったんだろ?」

ジェイドとケイトが平然と嘘をつくと、トレインは疑念に満ちた目を向けた。

トレイン「……。お前たち、本当になにも知らないんだな?」

エペル「もっ、もちろん知らない……かな?」

デュース「僕昨日はずっとハロウィーンの練習……あっ、いえ、対応をしてたので!よくわかんねぇっす!そうだよな、ジャック!」

ジャック「おう!!そのお通りだぜ先生!」

「「「へへへ……」」」

誤魔化すように笑う1年生たちに、トレインは静かに腕を組む。

「ふふっ・・・生徒たちはマジカメモンスターがいなくなった理由を、知らないようですよ?トレイン先生」

トレイン「どうもあやしいことこの上ないが……。マジカメモンスターたちがいなくなったのは事実。中止にする理由もない」

「ということは……」

学園長「はい!本日のハロウィーンパーティー……開催決定です!……なにせ私、とっても優しいので」

「「「やった~~~~~~!!!!」」」

クロウリーの決定を聞いて、運営委員たちは諸手を上げて大喜び。

クルーウェル「ふん、仔犬どもが駆け回って大喜びか……」

それを見ていたクルーウェルがパチン!と鞭を鳴らす。

クルーウェル「ビークワイエット!はしゃいでいる場合じゃないぞ」

「そう!パーティーの実施が決まったからにはゆっくりしていられないだろう?」

「今年のお客さんは例年の何倍もいる。いつも以上に準備することもたっくさんさ!賢者の島の人たちもとっても楽しみにしているよ。いいハロウィーンにしないとね」

「というわけでみなさん。スタンプラリーを最後までつつがなくとり行いつつ……手分けして、準備に取り掛かってください!」

「「「はい!!」」」

教師たちの指示に従い、スタンプラリー会場に向かう運営委員たち。
その直前でデュースがケイトとロゼッタに声をかけた、

デュース「ダイヤモンド先輩!ロゼッタさん!あの、僕は今からスタンプラリーの係なんですけど……オンボロ寮の監督生とグリムにパーティー開催を教えてやってもらえませんか」

ケイト「もちろんオッケー!ゴーストちゃんたちはドキドキしてるだろうし2人には迷惑かけちゃったからね。ちょっと話したいこともあるし……ヴィルくんとジェイドくんも一緒に、今すぐ行ってくるよ。ロゼッタちゃんもいいよね?」

「ええ。あの子たちにも、熱が下がったことを伝えないと」

デュース「ありがとうございます。きっとあいつらも大喜びすると思います!」

お礼を言って走り去るデュースを見送りながら、ケイトはロゼッタとヴィルとジェイドと一緒にオンボロ寮に向かうのだった。
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