スケアリー・モンスターズ

『ハロウィーンウィーク』7日目。
クロウリーは他の教師たちを連れて、学園内にあるスタンプラリー会場を見て回っていた。
しかし、彼らは信じられない光景を目にする。

「こ、これは……!?」

驚くクロウリーたちの目の先にいたのは、マジカメモンスターに対応する姿ではなく、純粋にゲストと楽しむ生徒たちの姿だった。

「お兄ちゃん!もう一回やって~!」

「うむ。よいぞ。目をつぶっておれ……ほいっ」

子どもが目を瞑って開いた瞬間、リリアは逆さまになっていた。

「がおー!わしは怖~い龍じゃ!お主らのような童など頭からぺろりじゃぞ!どうじゃ、怖かろう?」

「面白いけど、ぜんぜん怖くなーい!」

「そーかそーか!ではもっとハイレベルなやつを……」

「親父殿!!」

「リリア様の本気は、子どもには刺激が強すぎますので……!」

「そうかの?」

リリアのおどかしを知っているシルバーとセベクが止めに入る。
彼の意識を逸らすように、セベクは子どもに話しかけた。

「小さな人間たち!十分にハロウィーンを楽しめているな?」

「うん、とっても楽しい!」

「こんなに面白いハロウィーン初めて!」

「くふふ。そうか……ならばわしも嬉しいぞ!ハッピーハロウィーン!がおー!」

子どもたちと一緒に楽しむリリア。
そこからさほど離れていない場所で、マレウスがゲストと話していた。

「……僕と写真を撮りたい?」

「はい!とても素敵な仮装なのでぜひ1枚記念にお願いします!」

「これはこれは……この僕と写真を撮りたがる命知らずな人間がいるとは」

「え?」

「龍の懐に自ら飛び込むとは面白い……吐き出す炎で丸焦げにされても構わないというのなら、今一歩踏み出すがいい!」

「ひ、ひい……!」

マレウスのあまりの迫力に及び腰になるゲスト。
しかし本人は不思議そうに小首を傾げた。

「……なぜ固まる?今のは笑うところだ。リリアや寮の者たちと相談した通り、龍の真似をしたんだが……まだ迫力が足りなかったか?」

「えっ。じょ、冗談!?びっくりしたあ……本当に丸焦げにされるのかと思った!」

「まさか。僕がそのように不躾な男に見えるのか?礼儀正しい人間には雷を落としたりしないさ。さあ、共に写真を撮ろう」

「はい!ありがとうございます!」

「ハッピーハロウィーン」

マレウスが方向性の違うジョークを交えつつ、ゲストと一緒に写真を撮る。
そしてオンボロ寮の庭でゴーストたちがゲストに呼びかけていた。

「はーい!写真を撮るならこっちだよぉ~」

「1列に並んでおくれぇ」

「ゴーストと一緒に写真が撮れるなんて!」

「自分の番になるのが楽しみだね!どんなポーズで写真を撮ろうかな」

「オイッ。オレ様がどびっきりかっこいいポーズを教えてやるんだゾ!偉大なる大魔法士である、オレ様と同じようにしろ!ふなーっ!」

「「かわいい~~~!!」」

グリムのポーズを見て黄色い声を上げるゲスト。
その反応にグリムは苦い顔をする。

「ぐぬ……オレ様かっこいいのに……」

「今のはかわいいで合ってたよ」

「……まあ追いかけ回されるよりはマシかぁ。勘弁してやるんだゾ。それに……今日はハロウィーンだからな!」

「ええ。今日はハロウィーンだもん」

「「「ハッピーハロウィーン!」」」

一緒になって恒例の合言葉を言う監督生たち。
笑い合う彼女らを見て、トレインは言った。

「どこを探してもマジカメモンスターがいない……」

「お客さんも、生徒たちもハロウィーンを楽しんでいますね」

「こりゃupperな光景だ!」

「他の寮も見てきたが、どこも穏やかにスランプラリーを行えているようです」

「我が校に、平和が戻っている!」

信じがたいが、目の前の光景は現実だ。
クロウリーはそれを見つめながら、無言になる。

「……。先生方。各寮を回って、運営委員の中から代表の生徒を連れてきてください。後、サバクロー寮にロゼッタもいると思うので、ロゼッタも連れてきてください。皆さんにお話があります」

クロウリーの指示に、教師たちは全員頷いた。
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