ナイトレイヴンカレッジと賢者の島の間にある道。
メインストリートにいたカラスが戻り、自身の指に止まる。

空中に浮いていたランタンとロゼッタの両親はもう片方の手の指先で軽く頭を撫でた。

「ご苦労様。報告ありがとう」

くちばしにキスを落とすと、カラスはすりっと軽くすり寄りそのまま飛び去った。
たった数日だけだがお世話になった彼に手を振りながら、

「あの子たちは無事にマジカルモンスターたちを追い払えたのね。なら……“コレ”は、ちょっとお節介だったかしら？」

そのまま眼下の光景を見下ろす。
足元で広がっていたのは、ユウたちが追い払ったマジカルモンスターたち。
彼らは偽物ではない、本物のゴーストに襲われていた。

「ぎゃ―――！！！」

「来るな、来るなぁぁぁ――――！！！！」

「助けて～～～～～！！！！！」

ある者は絶叫を上げ、ある者は必死に逃げ惑い、ある者は泣きながら助けを乞う。
阿鼻叫喚の光景を見下ろしながら、ランタンはふわふわ浮きながらペロペロキャンディーを舐めた。

『愛し子をあんな目に合わせたんだ。これくらいのお仕置きはあってもいいよね♪』

あのゴーストたちはお菓子を報酬に、ナイトレイブンカレッジに出てくるマジカルモンスターたちを軽く驚かしてほしいと頼んだ。
本人たちは軽い程度だが、さっきまで恐怖を味わったマジカルモンスターたちにとってはそれすら効き目が強すぎた。

「これで来年のハロウィーンはマシになるわね。その時は一体どんなものになっているのかしら？」

「楽しみだな。ロゼッタもレオナ様と仲良くやっているようで安心した」

「あら、嫁に出したくないと駄々をこねていたのは誰でしたっけ？」

「そ、その話はもいいだろう」

「ふふっ――ハッピーハロウィーン。あなたたちのハロウィーンが、素敵なものになりますように」