スケアリー・モンスターズ
「ぎゃあ!丸焦げにされちゃう!龍に食べられたくなんてない!!」
「もう二度と立ち入り禁止の場所に入ったりしません!」
「「許してください―――!!」」
マレウスの本気のおどかしが骨身に染みるほど伝わったマジカメモンスターたちは、泣き叫びながらオンボロ寮を離れていく。
その様子にマレウスは小さく笑みを浮かべた。
「赤子の手をひねるより容易かったな」
「若様――――っ!!」
そう言った直後、大声を出したセベクを筆頭にシルバーやリリアを含むディアソムニア寮生たちがこちらに駆け寄って来た。
「若様が直々に表に出てこられるなど……なにか不手際がありましたか!?」
「奴らならもう逃げ出していったぞ。ふふふ……あの情けない顔!お前たちにも見せてやりたかった」
「おお……厄介なモンスターをあっという間に及原素その威厳!感動いたしました!!」
「無事に作戦が成功したようで、なによりです」
マレウスの言葉に寮生たちが歓喜の声を上げる。
そんな中、リリアが考え込むように言った。
「作戦のう……。オンボロ寮の中に入ったマジカメモンスターをわしが驚かし、シルバーたちで逃げ道を塞ぎ……誘導された奴らが外に出たところでお主が展示品の龍を魔法で動かして驚かす。……そういう作戦じゃったな?」
「ああ」
「マレウスよ。直接おどかしてやらねば気が済まないほどマジカメモンスターに怒っておったのか?」
「ロゼッタをあのような目に合わせたのだから、本当は本来の姿に戻ってひとのみにしてやろうかと思ったんだが……少し炎を吹いてみせたくらいであの怯えよう。哀れになって、見逃してやることにした」
「くふふ!お主も案外、サプライズ好きよの!」
本来の作戦を最後で変更するなど、いつものマレウスならしない。
だが、マジカメモンスターに直接おどかしてやりたいほど怒っていたのは、リリアにとっても少し予想外だった。
しかし、最後のアドリブによってマジカメモンスターたちが逃げたのなら成果は上々。
だからこそ、リリアはそれ以上言わなかった。
「お前たち。奴らを僕の元まで連れてきてくれたこと、感謝する。奴らの泣き顔を見て、やっと気分が晴れた。よく働いてくれたな」
「「「はっ!もったいないお言葉です」」」
「これで楽しいハロウィーンが迎えられそうじゃな」
マレウスの言葉に寮生たちが感銘を受けている間、上機嫌に言うリリア。
するとおもむろにスマホを取り出した。
「お、そうじゃ。わしらも記念撮影をしようではないか。わしのスマホで撮ってやろう。マレウス、シルバー、セベク。そこに並べ。にっこり笑ってはいチーズじゃ!」
リリアの指示に従い並んだ3人は笑みを浮かべると、そのままパシャ!!と写真を撮る。
画面に写るマレウスたちを見て、リリアは満足そうに頷く。
「うむうむ。よく撮れておる」
「ありがとうございます!!!!この写真、実家に祭壇を作って飾ります!!そしてジグボルト家の家宝として子々孫々に至るまで大事に引き継いでいく所存です!そうだ。リリア様もぜひマレウス様とお写真を!僕が撮ります」
「そうだな。せっかく仮装をしているんですから、2人でぜひ」
「お、よいのか?じゃあ頼む!」
セベクの言葉に甘え、スマホを渡したリリアはマレウスの横に並んだ。
「改まって2人で写真を撮るなど、久しぶりだな」
「そうかもしれん。そうじゃ、お主もマジカメをはじめてみたらどうじゃ?そうしたら、自然と写真を撮る回数も増えよう」
「僕はいい。人間の好奇の目で観察されるのは好まない」
「ん?マレウス。帽子が斜めになっておるぞ。どれ、こっちを向いてみろ……」
「……それぐらい、自分で直せる。まったく……リリアはいつまで僕を子ども扱いするつもりだ?」
「おっ、そうじゃったそうじゃった。ついつい、昔の癖で世話を焼くたくなってしまう」
2人が和気藹々と語り合う前で、セベクは声をかけた。
「いきます!!せーのっ……」
「「ハッピーハロウィーン!」」
「「ハッピーハロウィーン!」」
笑顔で決めポーズを決めた2人の写真が、リリアのスマホに収められるのだった。
「もう二度と立ち入り禁止の場所に入ったりしません!」
「「許してください―――!!」」
マレウスの本気のおどかしが骨身に染みるほど伝わったマジカメモンスターたちは、泣き叫びながらオンボロ寮を離れていく。
その様子にマレウスは小さく笑みを浮かべた。
「赤子の手をひねるより容易かったな」
「若様――――っ!!」
そう言った直後、大声を出したセベクを筆頭にシルバーやリリアを含むディアソムニア寮生たちがこちらに駆け寄って来た。
「若様が直々に表に出てこられるなど……なにか不手際がありましたか!?」
「奴らならもう逃げ出していったぞ。ふふふ……あの情けない顔!お前たちにも見せてやりたかった」
「おお……厄介なモンスターをあっという間に及原素その威厳!感動いたしました!!」
「無事に作戦が成功したようで、なによりです」
マレウスの言葉に寮生たちが歓喜の声を上げる。
そんな中、リリアが考え込むように言った。
「作戦のう……。オンボロ寮の中に入ったマジカメモンスターをわしが驚かし、シルバーたちで逃げ道を塞ぎ……誘導された奴らが外に出たところでお主が展示品の龍を魔法で動かして驚かす。……そういう作戦じゃったな?」
「ああ」
「マレウスよ。直接おどかしてやらねば気が済まないほどマジカメモンスターに怒っておったのか?」
「ロゼッタをあのような目に合わせたのだから、本当は本来の姿に戻ってひとのみにしてやろうかと思ったんだが……少し炎を吹いてみせたくらいであの怯えよう。哀れになって、見逃してやることにした」
「くふふ!お主も案外、サプライズ好きよの!」
本来の作戦を最後で変更するなど、いつものマレウスならしない。
だが、マジカメモンスターに直接おどかしてやりたいほど怒っていたのは、リリアにとっても少し予想外だった。
しかし、最後のアドリブによってマジカメモンスターたちが逃げたのなら成果は上々。
だからこそ、リリアはそれ以上言わなかった。
「お前たち。奴らを僕の元まで連れてきてくれたこと、感謝する。奴らの泣き顔を見て、やっと気分が晴れた。よく働いてくれたな」
「「「はっ!もったいないお言葉です」」」
「これで楽しいハロウィーンが迎えられそうじゃな」
マレウスの言葉に寮生たちが感銘を受けている間、上機嫌に言うリリア。
するとおもむろにスマホを取り出した。
「お、そうじゃ。わしらも記念撮影をしようではないか。わしのスマホで撮ってやろう。マレウス、シルバー、セベク。そこに並べ。にっこり笑ってはいチーズじゃ!」
リリアの指示に従い並んだ3人は笑みを浮かべると、そのままパシャ!!と写真を撮る。
画面に写るマレウスたちを見て、リリアは満足そうに頷く。
「うむうむ。よく撮れておる」
「ありがとうございます!!!!この写真、実家に祭壇を作って飾ります!!そしてジグボルト家の家宝として子々孫々に至るまで大事に引き継いでいく所存です!そうだ。リリア様もぜひマレウス様とお写真を!僕が撮ります」
「そうだな。せっかく仮装をしているんですから、2人でぜひ」
「お、よいのか?じゃあ頼む!」
セベクの言葉に甘え、スマホを渡したリリアはマレウスの横に並んだ。
「改まって2人で写真を撮るなど、久しぶりだな」
「そうかもしれん。そうじゃ、お主もマジカメをはじめてみたらどうじゃ?そうしたら、自然と写真を撮る回数も増えよう」
「僕はいい。人間の好奇の目で観察されるのは好まない」
「ん?マレウス。帽子が斜めになっておるぞ。どれ、こっちを向いてみろ……」
「……それぐらい、自分で直せる。まったく……リリアはいつまで僕を子ども扱いするつもりだ?」
「おっ、そうじゃったそうじゃった。ついつい、昔の癖で世話を焼くたくなってしまう」
2人が和気藹々と語り合う前で、セベクは声をかけた。
「いきます!!せーのっ……」
「「ハッピーハロウィーン!」」
「「ハッピーハロウィーン!」」
笑顔で決めポーズを決めた2人の写真が、リリアのスマホに収められるのだった。