スケアリー・モンスターズ
「「うわあっっ!!!!」」
あまりの音に悲鳴を上げるマジカメモンスターたち。
そのうちの片割れが窓のほうを見た瞬間、目を見開いたまま硬直する。
「……外に雷が落ちたみたい。びっくりしたあ~」
「あ…………あ、あ…………!」
「ん?どうしたの?雷ぐらいでそんなに驚いちゃって……」
「ち、ちちち、違うんだ!い、今…………今、外に………!窓からはみ出すぐらい、大きな目玉が!」
「えっ!?……どこにもいないけど?」
「確かに見たんだって!稲妻の中に光る、ギラギラの目を!」
叫ぶように言う片割れの言葉に、リリアは笑いながら言った。
「くふふ……あれぞ我があるじの姿。何百という同胞を束ねる、王の中の王。何千という時を生きた、巨大な巨大な……龍じゃあ―――!!!」
マジカメモンスターたちの前にリリアが現れた直後、再び雷が落ちた。
しかも周囲に緑色の炎が現れ、取り囲むように燃え広がる。
「うわあ――!また雷が!!」
「な、なんか様子がおかしくない……?もしかして本当に龍のたたり?」
「気味悪ぃわ!早く出ようぜ!」
襲い掛かる恐怖に耐えきれず、マジカメモンスターたちは談話室を出る。
明かりがついていないため、足元が覚束ない。
「はあっ……はあっ……暗くて前がよく見えない!」
「ウウゥゥ―――……待てぇ――……待つのじゃぁー……」
「お、追いかけてきてる!」
「早く玄関に向かおう!!」
背後から聞こえるリリアの声に足を速めると、開けっ放しの玄関を見て表情が明るくなる。
「よかった!入ってきた時のまま、扉は開いてる……」
しかしマジカメモンスターの希望を潰すように、ガチャン!と玄関の扉が閉められた。
「「え!?」」
「と、扉が閉まった!動かない!!」
「押しても引いてもびくともしないんだけど!」
「どこへ行った……絶対に逃がさぬぞぉー……」
「ひいっ、声が近付いてくる!開けて!ここから出して!!」
「なんで扉が開かねーんだよ!」
リリアの声に怯え、必死に扉を開けようとするマジカメモンスターたち。
その玄関の向こう側では、シルバーやセベクが両手でしっかりと抑えていた。
「いいか。シルバー……マレウス様とリリア様に託されし、この門!絶対に開けるわけにはいかない!!たとえこの両足が折れようとも死守してみせる!!!」
「心配はいらない。中にいる彼らとは鍛え方が違う。俺たちなら、この程度片手でも抑えられるだろう」
「たとえの話だ、たとえの!」
2人がそんな会話をしている間に、中ではマジカルモンスターたちの悲鳴が響く。
「ぎやぁ―――!!!首になんか触った!!」
「足を撫でられた!これも龍のしわざ!?どこにいるの!?」
「くふふ……まだじゃ!まだまだ、こんなものではないぞ!がおー!」
「「きゃ――――!!!」」
リリア直々のおどかしに悲鳴を上げるマジカメモンスターたち。
ドタンバタン!と外からでも聞こえる騒音に、シルバーは苦笑を浮かべた。
「親父殿……とても楽しんでいるようだ」
「リリア様は毎年、とても張り切ってハロウィーンに挑まれるからな……。あの恐ろしいゴーストの仮装の数々……僕は今でも時々夢に見るぐらいだ」
リリアの過去の所業の数々を思い出し、顔を青くするシルバーとセベク。
だからこそ、今回の作戦にはリリアが適役だったのだ。
「僕たちを全力で驚かし続けて十数年。種類も技術も一般人とは次元が違う!」
「今頃マジカメモンスターはオンボロ寮の中で凄まじい恐怖を味わっているだろう。しかし玄関はもちろん、裏口もベランダも全て俺たちディアソムニア生が塞いでいる。パニックになった者たちが外にでることができるのは、唯一……」
シルバーがそう語っている間に、寮内にいるマジカメモンスターたちはようやく出口を見つけた。
「あっ!あそこの窓が開いてるぜ!」
「窓から脱出しよう!」
開いていた窓は大人一人なら余裕で通れる広さで、マジカメモンスターたちは窓を潜ってようやく外に出た。
「はあっ、はあっ……ひどい目にあった」
「でも外に出たからもう安心っしょ。ここまできたらもう追ってこないはず……」
マジカルモンスターたちが安堵の息を吐こうとした直後、ピシャアアアン!ゴロゴロゴロ!と雷鳴が響いた。
「「ぎゃああ――――――!!!!!」」
あまりの音の大きさ、そして目の前で落ちた雷の迫力によって2人は腰を抜かしてしまう。
「ひっ…………ひいい………………め……目の前に……雷が落ちた………!」
「こ、腰が抜けて立てない……」
「グルルル……」
「な、なんだ。地面が揺れてる!」
「グウウウオオオオオオオオオオオォォォォォォォ――――――――――――!!」
低い唸り声から咆哮に変わった直後、マジカメモンスターたちの周囲が緑色の炎で囲まれる。
「うわ――っ!!どうしよう、一瞬で炎に囲まれちゃった……!」
「……騒々しいぞ、人間ども。いや、忠告を守らず他人の土地に踏み込むお前たちなど、人間と呼ぶのも惜しい……砂粒だ。砂粒の分際で……頭が高い!!」
「「きゃ―――――っ!!」」
謎の言葉に呼応し再び雷が落ち、マジカメモンスターたちは悲鳴を上げた。
「長い間封じ込められていたから腹が減ったな……さて、今日の晩餐は炙り焼きがいいかそれとも蒸し焼きにしょうか……」
調理法を口にしながら、ドスン……ドスン……と重い地響きが起こる。
「なにかの足音が近づいてくる……!」
「無礼で身のほどを弁えないこの愚か者どもめ……」
「「も、もしかして……雷を落としたり、炎を吐いてたりしたのは……」」
恐怖ですっかり怯え切っているマジカメモンスターたちに追い打ちをかけるように、緑色の炎の中から謎の声の主――マレウスが現れた。
「僕を怒らせるとどうなるか、思い知らせてやろう!!」
「「うわ――――!!!龍のたたりだ~~~!!!!!」」
「ガオォォ――――」
この学園で最も恐れられているマレウスの登場に、マジカメモンスターたちは絶叫を上げるのだった。
あまりの音に悲鳴を上げるマジカメモンスターたち。
そのうちの片割れが窓のほうを見た瞬間、目を見開いたまま硬直する。
「……外に雷が落ちたみたい。びっくりしたあ~」
「あ…………あ、あ…………!」
「ん?どうしたの?雷ぐらいでそんなに驚いちゃって……」
「ち、ちちち、違うんだ!い、今…………今、外に………!窓からはみ出すぐらい、大きな目玉が!」
「えっ!?……どこにもいないけど?」
「確かに見たんだって!稲妻の中に光る、ギラギラの目を!」
叫ぶように言う片割れの言葉に、リリアは笑いながら言った。
「くふふ……あれぞ我があるじの姿。何百という同胞を束ねる、王の中の王。何千という時を生きた、巨大な巨大な……龍じゃあ―――!!!」
マジカメモンスターたちの前にリリアが現れた直後、再び雷が落ちた。
しかも周囲に緑色の炎が現れ、取り囲むように燃え広がる。
「うわあ――!また雷が!!」
「な、なんか様子がおかしくない……?もしかして本当に龍のたたり?」
「気味悪ぃわ!早く出ようぜ!」
襲い掛かる恐怖に耐えきれず、マジカメモンスターたちは談話室を出る。
明かりがついていないため、足元が覚束ない。
「はあっ……はあっ……暗くて前がよく見えない!」
「ウウゥゥ―――……待てぇ――……待つのじゃぁー……」
「お、追いかけてきてる!」
「早く玄関に向かおう!!」
背後から聞こえるリリアの声に足を速めると、開けっ放しの玄関を見て表情が明るくなる。
「よかった!入ってきた時のまま、扉は開いてる……」
しかしマジカメモンスターの希望を潰すように、ガチャン!と玄関の扉が閉められた。
「「え!?」」
「と、扉が閉まった!動かない!!」
「押しても引いてもびくともしないんだけど!」
「どこへ行った……絶対に逃がさぬぞぉー……」
「ひいっ、声が近付いてくる!開けて!ここから出して!!」
「なんで扉が開かねーんだよ!」
リリアの声に怯え、必死に扉を開けようとするマジカメモンスターたち。
その玄関の向こう側では、シルバーやセベクが両手でしっかりと抑えていた。
「いいか。シルバー……マレウス様とリリア様に託されし、この門!絶対に開けるわけにはいかない!!たとえこの両足が折れようとも死守してみせる!!!」
「心配はいらない。中にいる彼らとは鍛え方が違う。俺たちなら、この程度片手でも抑えられるだろう」
「たとえの話だ、たとえの!」
2人がそんな会話をしている間に、中ではマジカルモンスターたちの悲鳴が響く。
「ぎやぁ―――!!!首になんか触った!!」
「足を撫でられた!これも龍のしわざ!?どこにいるの!?」
「くふふ……まだじゃ!まだまだ、こんなものではないぞ!がおー!」
「「きゃ――――!!!」」
リリア直々のおどかしに悲鳴を上げるマジカメモンスターたち。
ドタンバタン!と外からでも聞こえる騒音に、シルバーは苦笑を浮かべた。
「親父殿……とても楽しんでいるようだ」
「リリア様は毎年、とても張り切ってハロウィーンに挑まれるからな……。あの恐ろしいゴーストの仮装の数々……僕は今でも時々夢に見るぐらいだ」
リリアの過去の所業の数々を思い出し、顔を青くするシルバーとセベク。
だからこそ、今回の作戦にはリリアが適役だったのだ。
「僕たちを全力で驚かし続けて十数年。種類も技術も一般人とは次元が違う!」
「今頃マジカメモンスターはオンボロ寮の中で凄まじい恐怖を味わっているだろう。しかし玄関はもちろん、裏口もベランダも全て俺たちディアソムニア生が塞いでいる。パニックになった者たちが外にでることができるのは、唯一……」
シルバーがそう語っている間に、寮内にいるマジカメモンスターたちはようやく出口を見つけた。
「あっ!あそこの窓が開いてるぜ!」
「窓から脱出しよう!」
開いていた窓は大人一人なら余裕で通れる広さで、マジカメモンスターたちは窓を潜ってようやく外に出た。
「はあっ、はあっ……ひどい目にあった」
「でも外に出たからもう安心っしょ。ここまできたらもう追ってこないはず……」
マジカルモンスターたちが安堵の息を吐こうとした直後、ピシャアアアン!ゴロゴロゴロ!と雷鳴が響いた。
「「ぎゃああ――――――!!!!!」」
あまりの音の大きさ、そして目の前で落ちた雷の迫力によって2人は腰を抜かしてしまう。
「ひっ…………ひいい………………め……目の前に……雷が落ちた………!」
「こ、腰が抜けて立てない……」
「グルルル……」
「な、なんだ。地面が揺れてる!」
「グウウウオオオオオオオオオオオォォォォォォォ――――――――――――!!」
低い唸り声から咆哮に変わった直後、マジカメモンスターたちの周囲が緑色の炎で囲まれる。
「うわ――っ!!どうしよう、一瞬で炎に囲まれちゃった……!」
「……騒々しいぞ、人間ども。いや、忠告を守らず他人の土地に踏み込むお前たちなど、人間と呼ぶのも惜しい……砂粒だ。砂粒の分際で……頭が高い!!」
「「きゃ―――――っ!!」」
謎の言葉に呼応し再び雷が落ち、マジカメモンスターたちは悲鳴を上げた。
「長い間封じ込められていたから腹が減ったな……さて、今日の晩餐は炙り焼きがいいかそれとも蒸し焼きにしょうか……」
調理法を口にしながら、ドスン……ドスン……と重い地響きが起こる。
「なにかの足音が近づいてくる……!」
「無礼で身のほどを弁えないこの愚か者どもめ……」
「「も、もしかして……雷を落としたり、炎を吐いてたりしたのは……」」
恐怖ですっかり怯え切っているマジカメモンスターたちに追い打ちをかけるように、緑色の炎の中から謎の声の主――マレウスが現れた。
「僕を怒らせるとどうなるか、思い知らせてやろう!!」
「「うわ――――!!!龍のたたりだ~~~!!!!!」」
「ガオォォ――――」
この学園で最も恐れられているマレウスの登場に、マジカメモンスターたちは絶叫を上げるのだった。