スケアリー・モンスターズ
ディアソムニア寮のスタンプラリー会場・オンボロ寮。
中華風に飾り付けられた庭に、2人のゲストが足を踏み入れた。
「ここだ!元祖ゴーストスポット……『オンボロ寮』!」
「やっぱナイトレイヴンカレッジに来たからにはオンボロ寮を見ておかないと!それにここ、『ドラコニアチャレンジ』と『妖精チャレンジ』発祥の場所でしょ?もしかしたらうちらも挑戦できるかも」
「最高じゃん。マレウス・ドラコニア、と妖精ちゃん出てこねーかなー!」
そう話すゲストたちの会話は、近くで隠れていたリリアを含むディアソムニア寮生たちに聞こえていた。
「『出てこないかな』か。マレウスが珍獣扱いされておるのう。ロゼッタもこんな奴らに追いかけられておったのか…」
「奴ら、とても許してはおけませんん……。僕が身のほどを思い知らせてやる!!!!!」
「待てセベク。まだ彼らがルール違反をすると決まったわけではない。手を出してはいけない。それに、作戦通りにやれとマレウス様に言われているだろう」
「そうじゃ。マレウスは自分の手で無礼者を驚かしたくてうずうずしておる。勝手に手を出しては、また機嫌を悪くするじゃろうよ」
「失礼いたしました……!」
シルバーとリリアに指摘されて落ち着きを取り戻すセベク。
リリアはゲストたちを見ながら妖しい笑みを浮かべた。
「さてはて。奴らは善良なお客様か、それともマレウスに討たれるマジカメモンスターか……」
ゲストたちは庭のほうをあちこち歩くが、やがて不機嫌そうな顔を歪ませる。
「ゴースト、全然見当たらないじゃん。つまんねー。建物の中にいるのか?」
「入って探してみる?『民家につき建物への立ち入り禁止』って看板に書いてあるけど……」
「こんなボロ屋敷に人が住んでるわけねーじゃん。あ、もしかしてゴーストが住んでるってこと!?」
「ゴーストの家!?会ってみたい、いっぱい写真撮りたい!」
ゴースト以外にももう1人と1匹が住んでいるが、それを知らないゲストたちはオンボロ寮へ入りたい気持ちでいっぱいになる。
「……騒がなければ大丈夫じゃない?こっそり入ってみよう!」
片割れの言葉にもう1人も頷き、そのままオンボロ寮へと足を踏み入れた。
それを見たリリアは、何故か嬉しそうな顔をした。
「おっ、奴らオンボロ寮に入りおった!マジカメモンスター確定じゃ!ひゃっほい!」
「親父殿、ルールを破られて、逆に喜んでいませんか?」
「気のせいじゃー。思う存分人間をおどかせるからと言ってウキウキなどしておらぬ」
さらっと本音を言ったリリアは、寮生たちのほうを振り返り言った。
「みな準備はよいな?飛んで火にいる夏の虫……もといお客様を、ディアソムニア流の恐怖でおもてなししてやろうぞ!」
「「「はっ!」」」
リリアの言葉に、ディアソムニア寮生たちは一斉に返事した。
オンボロ寮の談話室に入ったマジカメモンスターたち。
ハロウィーン風に飾り付けられている室内を見て、楽しそうに声を上げる。
「ジャック・オ・ランタンが置いてある。廃墟もハロウィーン風に飾り付けしてるんだ!」
「いーねー!映えるわ~。いっぱい写真撮っちゃおう」
マジカメモンスターがパシャパシャ!と談話室内を撮った時。
くすくすくす……と笑い声が聞こえた。
「え?今なにか言った?」
「なにも言ってないけど」
片割れに問いかけられ首を傾げてすぐ、くすくすくす……とまた聞こえてきた。
「……笑い声?どっから聞こえてくるんだ?」
「お化け屋敷あるあるじゃん?マジカメにアップされたゴーストが近くにいるんじゃない?」
「暗くて見つけらんねーわ。あ、写真撮ったら写ったりして!」
そう言ってマジカメモンスターが写真を撮った瞬間。
フラッシュの向こうで、逆さまにぶら下がったリリアが現れた。
「「え!!??」」
思わず声を上げるが、彼らの目線の先にはすでにリリアはいない。
戸惑いながら2人は互いの顔を見合わせる。
「い、今……なにか見えなかったか……?」
「見えた!でももうどこにもいない。さっきの写真もブレててなにが写ってるのかよくわかんないし」
「たーたーりーじゃぁ―――…………」
「ひっ!?耳に風が!」
「たぁ――たぁ――りぃ――じゃぁ―――!」
「あちこちから声が聞こえてくる!?」
室内中に響く声に怯えている間もなく、リリアは告げる。
「人間どもよ。お主らは我があるじの逆鱗に触れた……」
「あ、あるじ?」
「どういうこと?マジカメに写ってた白いゴーストじゃないの?」
「くははは!わしらをあのように気の良いゴーストと同じと考えておるのか?笑わせるでない!」
マジカメモンスターたちの言葉を一蹴しながらも、リリアは言い続ける。
「我らはもっと恐ろしく、もっと残忍な存在じゃ。安寧を求めてはるか東より至りこの地に眠りしもの……。オンボロ寮を住処と決めこの地を守りしもの……」
リリアの言葉に呼応するように、ゴロゴロゴロ……と雷音が聞こえ始める。
「あれ?急に天気が悪くなってきた……」
直後、ピシャーン!!と雷が落ちた。
中華風に飾り付けられた庭に、2人のゲストが足を踏み入れた。
「ここだ!元祖ゴーストスポット……『オンボロ寮』!」
「やっぱナイトレイヴンカレッジに来たからにはオンボロ寮を見ておかないと!それにここ、『ドラコニアチャレンジ』と『妖精チャレンジ』発祥の場所でしょ?もしかしたらうちらも挑戦できるかも」
「最高じゃん。マレウス・ドラコニア、と妖精ちゃん出てこねーかなー!」
そう話すゲストたちの会話は、近くで隠れていたリリアを含むディアソムニア寮生たちに聞こえていた。
「『出てこないかな』か。マレウスが珍獣扱いされておるのう。ロゼッタもこんな奴らに追いかけられておったのか…」
「奴ら、とても許してはおけませんん……。僕が身のほどを思い知らせてやる!!!!!」
「待てセベク。まだ彼らがルール違反をすると決まったわけではない。手を出してはいけない。それに、作戦通りにやれとマレウス様に言われているだろう」
「そうじゃ。マレウスは自分の手で無礼者を驚かしたくてうずうずしておる。勝手に手を出しては、また機嫌を悪くするじゃろうよ」
「失礼いたしました……!」
シルバーとリリアに指摘されて落ち着きを取り戻すセベク。
リリアはゲストたちを見ながら妖しい笑みを浮かべた。
「さてはて。奴らは善良なお客様か、それともマレウスに討たれるマジカメモンスターか……」
ゲストたちは庭のほうをあちこち歩くが、やがて不機嫌そうな顔を歪ませる。
「ゴースト、全然見当たらないじゃん。つまんねー。建物の中にいるのか?」
「入って探してみる?『民家につき建物への立ち入り禁止』って看板に書いてあるけど……」
「こんなボロ屋敷に人が住んでるわけねーじゃん。あ、もしかしてゴーストが住んでるってこと!?」
「ゴーストの家!?会ってみたい、いっぱい写真撮りたい!」
ゴースト以外にももう1人と1匹が住んでいるが、それを知らないゲストたちはオンボロ寮へ入りたい気持ちでいっぱいになる。
「……騒がなければ大丈夫じゃない?こっそり入ってみよう!」
片割れの言葉にもう1人も頷き、そのままオンボロ寮へと足を踏み入れた。
それを見たリリアは、何故か嬉しそうな顔をした。
「おっ、奴らオンボロ寮に入りおった!マジカメモンスター確定じゃ!ひゃっほい!」
「親父殿、ルールを破られて、逆に喜んでいませんか?」
「気のせいじゃー。思う存分人間をおどかせるからと言ってウキウキなどしておらぬ」
さらっと本音を言ったリリアは、寮生たちのほうを振り返り言った。
「みな準備はよいな?飛んで火にいる夏の虫……もといお客様を、ディアソムニア流の恐怖でおもてなししてやろうぞ!」
「「「はっ!」」」
リリアの言葉に、ディアソムニア寮生たちは一斉に返事した。
オンボロ寮の談話室に入ったマジカメモンスターたち。
ハロウィーン風に飾り付けられている室内を見て、楽しそうに声を上げる。
「ジャック・オ・ランタンが置いてある。廃墟もハロウィーン風に飾り付けしてるんだ!」
「いーねー!映えるわ~。いっぱい写真撮っちゃおう」
マジカメモンスターがパシャパシャ!と談話室内を撮った時。
くすくすくす……と笑い声が聞こえた。
「え?今なにか言った?」
「なにも言ってないけど」
片割れに問いかけられ首を傾げてすぐ、くすくすくす……とまた聞こえてきた。
「……笑い声?どっから聞こえてくるんだ?」
「お化け屋敷あるあるじゃん?マジカメにアップされたゴーストが近くにいるんじゃない?」
「暗くて見つけらんねーわ。あ、写真撮ったら写ったりして!」
そう言ってマジカメモンスターが写真を撮った瞬間。
フラッシュの向こうで、逆さまにぶら下がったリリアが現れた。
「「え!!??」」
思わず声を上げるが、彼らの目線の先にはすでにリリアはいない。
戸惑いながら2人は互いの顔を見合わせる。
「い、今……なにか見えなかったか……?」
「見えた!でももうどこにもいない。さっきの写真もブレててなにが写ってるのかよくわかんないし」
「たーたーりーじゃぁ―――…………」
「ひっ!?耳に風が!」
「たぁ――たぁ――りぃ――じゃぁ―――!」
「あちこちから声が聞こえてくる!?」
室内中に響く声に怯えている間もなく、リリアは告げる。
「人間どもよ。お主らは我があるじの逆鱗に触れた……」
「あ、あるじ?」
「どういうこと?マジカメに写ってた白いゴーストじゃないの?」
「くははは!わしらをあのように気の良いゴーストと同じと考えておるのか?笑わせるでない!」
マジカメモンスターたちの言葉を一蹴しながらも、リリアは言い続ける。
「我らはもっと恐ろしく、もっと残忍な存在じゃ。安寧を求めてはるか東より至りこの地に眠りしもの……。オンボロ寮を住処と決めこの地を守りしもの……」
リリアの言葉に呼応するように、ゴロゴロゴロ……と雷音が聞こえ始める。
「あれ?急に天気が悪くなってきた……」
直後、ピシャーン!!と雷が落ちた。