ゴーストマリッジ

クロウリー「おや、イグニハイドのオルト・シュラウド君。そんなに慌ててどうしました?」

オルト「た、大変なんだ…兄さんがっ!」

「オルト君のお兄さんってイデアさんよね?イデアさんがどうかしたの?」

オルト「兄さんが…ゴーストに攫われちゃった!」

「「えええ!?」」

オルト君の言葉に皆驚く。まさか、花婿の条件に合ってしまったんじゃ…

監督生「さ、攫われた!?」

オルト「そうなんだ!まずはこの映像を見て!学園の監視カメラの、昨晩の映像の記録だよ」

クロウリー「ちょっと!勝手に学園のセキュリティシステムをハッキングしないでください!」

監督生「え…ハッキング?」

オルト「しっ、静かに!」

オルト君がどこからかタブレットを取り出し、私たちに画面を見せる。それに映し出されたのはグレート・セブンの石像が置かれているメインストリートの映像

時間的には夜…どうやら昨晩の様子。どうして、夜中に歩いているのかしら?

イデア「大好きな漫画の最新刊…通販でミニ色紙付き特別版を予約していたのに、発売日に届かないなんて!初日にゲットできないなどオタクの名俺、人の気配もないし、ささッと購買に買いに行…」

<・・・つけた?>

イデアさんの声じゃない!…女性の声…

イデア「え?今の…誰の声?」

<見つけた…ついに>

その声がどんどん近づいてくる…

次の瞬間、画面いっぱいに青白い肌に花嫁のような恰好をした女性が映し出された

<私の王子様!!!>

イデア「ぎゃああああああああああああ!!?」

この声を最後に映像は切れてしまった

グリム「・・・このゴーストって」

監督生「花嫁の格好をしてましたけど」

「まさか、あのゴーストって・・」

クロウリー「ああ…なんてことだ‥ついに花嫁のゴーストが理想の花婿を見つけてしまったようです!」

グリム「全然”王子さま”じゃないんだぞ!ひょろっとしてるし、家に引きこもってるから日にはやけてねえし、眼付は悪いし、笑顔は変だし…あれ?」

「高身長にスリム、紫外線しらずの美肌、切れ長の瞳・・・」

監督生「チャーミングとは言い切れなくもない笑顔。輝くというよりも燃えている髪と印象的な色の唇・・」

クロウリー「言い様によっては、確かにシュラウド君はゴーストの理想通りです。」

オルト「うん。僕の兄さんはどこからどう見てもかっこいい。ゴーストめ、なんて見る目が確かなんだ」

「ちょっと待ってください!ゴーストの花婿に選ばれたってことは…」

クロウリー「ええ、ゴーストの花婿に選ばれたってことは、つまり・・・『つまり?』

その時廊下の方から「大変だー」という声が聞こえてきた

監督生「いやな予感が…」

廊下に出てみると、叫び声をあげたり、顔色を悪くした生徒たちが背後から来る何かから逃げている。

クロウリー「いったい何の騒ぎですか!」
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