スケアリー・モンスターズ

「ひいっ、許してください!もう宝物には触りません!」

「呪わないで!助けて――――!!」

ジャックのおどしが効いたマジカメモンスターたちは、泣きながらコロシアムを出て行く。
その後ろ姿を見えなくなると、ジャックがガッツポーズをする。

「……よっしゃあ!見たか、マジカメモンスターどもめ」

「おー、怖い怖い」

「あっ、レオナ先輩にラギー先輩!他のみんなも!」

ジャックの声に反応し、サバナクロー寮生たちが全員出てきた。

「シシシッ。マジカメモンスター、みんないなくなったッスね」

「あいつら。逃げ足は速いじゃねえか!」

「最初から本気出せっつーの!ひひひっ」

みんなマジカメモンスターを追い出せて嬉しいのか、気分が最高にいい感じだ。

「みんな、俺の作戦に付き合ってくれてありがとうございました。その……結局、一般人に魔法かけちまいましたけど……」

「知らないんスか、ジャックくん。『やられたらやり返せ!』が海賊のお作法なんスよ。あちが先にルールを破ったんだからやり返されたって文句は言えねえッス。それに、別にオレたちは危害は加えてないッスよ。ちょっとおどかしただけ!それにロゼッタちゃんを苦しめるなんて許せないッスから」

「そうだそうだ!ひゃはは!」

「ははは……うちの寮らしいぜ」

弱肉強食をモットーとする自寮の様子に、ジャックは苦笑する。

「この俺のユニーク魔法を前座に使ったんだ。みっともねぇ吠え方をしたら容赦しねぇと思ってたが……お前を見てインパラの群れみてぇに泡食って逃げるヤツらの顔……ククッ。悪くないショーだったぜ、ジャック」

「……!あざっす!」

だけど、憧れの寮長に褒められ、ジャックの顔が明るくなる。

「きっと、明日は最高のハロウィーンパーティーになるはずだ。みんな……いや、野郎ども!思いっきり楽しもうぜ!ヨーホー!」

気分はすっかり海賊になっているジャックは、あの合言葉を言う。

「ハッピーハロウィーン!」

「「「ハッピーハロウィーン!」」」

一斉に合言葉を言ったサバナクロー寮生たちは、声を上げながら笑い合うのだった。

「レオナさん‥早くロゼッタさんのところ行ってあげてください」

「そうですよ!!早く姐さんのところへ!!」

「お前ら…気が利くじゃねえか」

「心配なんすよ。いつも自分のことを後回しにして、今起こってる問題を解決しようとするから‥‥」

「もしかして‥俺らに怒った時のもストレスになってんじゃねえかって」

ロゼッタに対する心配の声が続々上がる

レオナはそんな寮生たちに背を向けて、去っていった

「素直じゃないッスねえ~」

「どういうことっすか?」

「自分の婚約者を心配してくれてうれしいんスよ」
52/85ページ
スキ