スケアリー・モンスターズ
サバナクロー寮のスタンプラリー会場・コロシアム。
お宝のレプリカと船の展示品が一際目立つその場所で、サバナクロー寮生がゲスト――マジカメモンスターたちを追っていた。
「待てー!宝物を返せ!」
「くそっ、完全に見失った……どこ行った!出てこい!おいっ、あっちを探すぞ!!」
声をかけても返事はなく、寮生たちは苛立った様子でその場から離れる。
その近くで隠れていたマジカメモンスターたちは、きょろきょろと辺りを見渡す。
「……なんとか撒けたっぽい?ハァ~~疲れた、もう走れねぇわ!」
「すごい剣幕で追いかけてくるからビビったよー。ナイトレイブンカレッジ生こわ~」
そう言いながら、マジカメモンスターたちは『展示品に触らないでください』の注意書きを見ながら言った。
「宝物に触れるなって看板、あちこちに立ってるけどさあ……たくさんあるんだから、1つ2つ借りたぐらいでガミガミする必要なくね?」
「だよね~~。ちゃんと返せば問題ないでしょ!」
「『宝物を持って写真を撮ったら願い事が叶う』って噂が本当だったらサイコーだし?とりま流行り物にはのっときたい!今のうちにイケてる写真撮りまくろうぜ~~!」
そう言って写真を撮りまくるマジカメモンスターたち。
遠く見ていたラギーは呆れた様子で言った。
「あーあ。見たくださいよ、アレ。アイツら人様に迷惑かけといて能天気に記念撮影なんかしちゃって」
「フン、やらせとけ。獲物が一番油断するのは『逃げおおせた』と思ってるときだからなァ」
「へいっ!逃げるマジカメモンスターに追いつかないよう、わざと遅く走るの大変っした」
「ひゃははっ、追いかけがいがなかったぜぇ!」
レオナの言葉に背後にいた寮生たちは笑いながら言う。
そもそも、獣人属である彼らがただの人間であるマジカメモンスターたちを捕まえられないこと自体、ありえない。
彼らにそこまで考える思考がなかったのか、単純にバカだったのか。おそらく正解は両方だろう。
「寮長!早くアイツらをしめちまいましょうぜ!姐さんのためにも!」
「まだだ。それに今日の司令塔は俺じゃねぇ。今日は……ジャック。お前の考えた案でみんな動く。うまいメシにあずかれるかどうかはテメェにかかってる。覚悟はできてんだろうな?」
「……もちろんっす!絶対に俺の考えた作戦で、マジカメモンスターを追い出してみせます!」
「おーおー。ジャックくんったらやる気満々」
「力みすぎてミスるなよ、1年坊」
やる気が十分伝わってくる形相をしているジャックに、レオナとラギーが軽口を叩く。
それを激励として受け取ったジャックは、サバナクロー寮全体に向けて言った。
「ロゼッタさんのためにもこの作戦絶対成功させてやる!みんな、いくぞ!」
「「「おうっ!」」」
サバナクロー寮生たちが作戦に移ろうとしている間、マジカルモンスターたちは呑気にスマホを構える。
「んじゃ写真撮るよ~。自撮り棒の位置は……こんぐらいかな?」
「盛れてる盛れてる!せーのっ」
触れてはいけない宝物を手に写真を撮ろうとした直後、手に持っていたはずの宝物が砂となって消えた。
「「えっ!?」」
「持ってた宝物が……砂になっちゃった!?」
「冗談きついって!次は壊さないようにしてよ~~?」
「俺が壊したけじゃないっつーの。まあ、他の宝物で写真撮ればいいよ!お、この首飾りイケてんじゃん。次はこれにしようっと」
懲りずに首飾りを手にするマジカメモンスター。
「はい、ポーズ……」
しかし写真を撮る直前で首飾りが砂になった。
「また砂になった!?」
もう一度と宝物に触れるも、マジカメモンスターが手にした物が全て砂に変わってしまう。
何度も何度も繰り返しても、結果は同じだった。
「これも……これも、これも……これも!触った宝物が次々と砂に変わっていく!一体どうなってんの!?」
そう問いかけても、この場にはそれを答える者はいない。
不気味に思い始めたマジカメモンスターが、手についた砂を払いながら立ち上がった。
「え~~……なんか気味悪い……なあ、もう出ようぜ」
「……」
「ちょ、お前まだ写真のためのポーズとってたの?もういいって!」
「……けない……」
「え?」
「う、動けないの!!」
「はあ!?そんなわけ……うっ!」
微動だにしない片割れの言葉に素っ頓狂な声を上げた直後、もう1人も同じように体が動けなくなる。
「お、俺も動けなくなっ……んぐぐ!」
しかも口が強制的に塞がれ、声を発することもできなくなる。
(く、口が開かない!)
(いったいなにが起こってるんだ!?)
驚愕し戸惑うマジカメモンスターたちは、動けず口も開けないままその場で固まるのだった。
お宝のレプリカと船の展示品が一際目立つその場所で、サバナクロー寮生がゲスト――マジカメモンスターたちを追っていた。
「待てー!宝物を返せ!」
「くそっ、完全に見失った……どこ行った!出てこい!おいっ、あっちを探すぞ!!」
声をかけても返事はなく、寮生たちは苛立った様子でその場から離れる。
その近くで隠れていたマジカメモンスターたちは、きょろきょろと辺りを見渡す。
「……なんとか撒けたっぽい?ハァ~~疲れた、もう走れねぇわ!」
「すごい剣幕で追いかけてくるからビビったよー。ナイトレイブンカレッジ生こわ~」
そう言いながら、マジカメモンスターたちは『展示品に触らないでください』の注意書きを見ながら言った。
「宝物に触れるなって看板、あちこちに立ってるけどさあ……たくさんあるんだから、1つ2つ借りたぐらいでガミガミする必要なくね?」
「だよね~~。ちゃんと返せば問題ないでしょ!」
「『宝物を持って写真を撮ったら願い事が叶う』って噂が本当だったらサイコーだし?とりま流行り物にはのっときたい!今のうちにイケてる写真撮りまくろうぜ~~!」
そう言って写真を撮りまくるマジカメモンスターたち。
遠く見ていたラギーは呆れた様子で言った。
「あーあ。見たくださいよ、アレ。アイツら人様に迷惑かけといて能天気に記念撮影なんかしちゃって」
「フン、やらせとけ。獲物が一番油断するのは『逃げおおせた』と思ってるときだからなァ」
「へいっ!逃げるマジカメモンスターに追いつかないよう、わざと遅く走るの大変っした」
「ひゃははっ、追いかけがいがなかったぜぇ!」
レオナの言葉に背後にいた寮生たちは笑いながら言う。
そもそも、獣人属である彼らがただの人間であるマジカメモンスターたちを捕まえられないこと自体、ありえない。
彼らにそこまで考える思考がなかったのか、単純にバカだったのか。おそらく正解は両方だろう。
「寮長!早くアイツらをしめちまいましょうぜ!姐さんのためにも!」
「まだだ。それに今日の司令塔は俺じゃねぇ。今日は……ジャック。お前の考えた案でみんな動く。うまいメシにあずかれるかどうかはテメェにかかってる。覚悟はできてんだろうな?」
「……もちろんっす!絶対に俺の考えた作戦で、マジカメモンスターを追い出してみせます!」
「おーおー。ジャックくんったらやる気満々」
「力みすぎてミスるなよ、1年坊」
やる気が十分伝わってくる形相をしているジャックに、レオナとラギーが軽口を叩く。
それを激励として受け取ったジャックは、サバナクロー寮全体に向けて言った。
「ロゼッタさんのためにもこの作戦絶対成功させてやる!みんな、いくぞ!」
「「「おうっ!」」」
サバナクロー寮生たちが作戦に移ろうとしている間、マジカルモンスターたちは呑気にスマホを構える。
「んじゃ写真撮るよ~。自撮り棒の位置は……こんぐらいかな?」
「盛れてる盛れてる!せーのっ」
触れてはいけない宝物を手に写真を撮ろうとした直後、手に持っていたはずの宝物が砂となって消えた。
「「えっ!?」」
「持ってた宝物が……砂になっちゃった!?」
「冗談きついって!次は壊さないようにしてよ~~?」
「俺が壊したけじゃないっつーの。まあ、他の宝物で写真撮ればいいよ!お、この首飾りイケてんじゃん。次はこれにしようっと」
懲りずに首飾りを手にするマジカメモンスター。
「はい、ポーズ……」
しかし写真を撮る直前で首飾りが砂になった。
「また砂になった!?」
もう一度と宝物に触れるも、マジカメモンスターが手にした物が全て砂に変わってしまう。
何度も何度も繰り返しても、結果は同じだった。
「これも……これも、これも……これも!触った宝物が次々と砂に変わっていく!一体どうなってんの!?」
そう問いかけても、この場にはそれを答える者はいない。
不気味に思い始めたマジカメモンスターが、手についた砂を払いながら立ち上がった。
「え~~……なんか気味悪い……なあ、もう出ようぜ」
「……」
「ちょ、お前まだ写真のためのポーズとってたの?もういいって!」
「……けない……」
「え?」
「う、動けないの!!」
「はあ!?そんなわけ……うっ!」
微動だにしない片割れの言葉に素っ頓狂な声を上げた直後、もう1人も同じように体が動けなくなる。
「お、俺も動けなくなっ……んぐぐ!」
しかも口が強制的に塞がれ、声を発することもできなくなる。
(く、口が開かない!)
(いったいなにが起こってるんだ!?)
驚愕し戸惑うマジカメモンスターたちは、動けず口も開けないままその場で固まるのだった。