ゴーストマリッジ

クロウリー「白い帽子をかぶったゴーストたちにオンボロ寮を乗っ取られた?」

「え、ええ。突然現れて…」

クロウリー「ふうむ。‥白いゴーストですか…」

グリム「姫様がどうとか、わけのわからねえことを言ってた気がするんだゾ」

クロウリー「姫様…ああ、なるほど!」

監督生「その様子では心当たりあるんですね?」

クロウリー「去年まであの館は無人で下から放置していましたが‥‥今年もまた、この季節が来たんですねえ」

どういうこと?

クロウリー「あなた方を追い出したのは”花嫁のゴースト”の家臣です」

「あ!思い出しました。確か、はるか昔に滅びてしまった国のお姫さま。彼女の夢は、素敵な王子様と結婚することでしたよね?」

クロウリー「ええ、そうですね。しかし、その夢がかなう前に、残念ながら彼女は命を落としてしまいました。ゴーストとなったお姫様は今でも”理想の王子さま”と結婚することを諦めきれず…」

監督生「この季節になると、学園に花婿を探しに来る、と?」

クロウリー「その通りです」

「オンボロ寮が拠点になるなんて…。ユウやグリム君の寝る場所がないですよ?どうするんですか?」

クロウリー「数ある廃墟から、王族のゴーストに認められるなんて、光栄なことですねえ。えっへん!」

監督生・ロゼッタ「何がえっへんですか!」

グリム「自慢してる場合じゃねーだろ!とっとと追い払うんだゾ!」

クロウリー「追い払うのはめんど『お義父様💢』いえ・・・、可愛そうじゃないですか」

今めんどくさいって言おうとしたわね…

クロウリー「だって彼女は、見つかるはずもない花婿を探し続けているんですから」

グリム「花婿が見つからない?なんでなんだゾ?」

確かにそうかもしれないけれど…

クロウリー「だって彼女が花婿に望む理想の王子さまは…180cm以上の行進長!贅肉のついていないスリムなボディ!清潔感溢れる美肌!切れ長の瞳!チャーミングな笑顔!キューティクルが光り輝く髪!思わずキスしたくなる印象的な唇!」

監督生「え?」

クロウリー「などの条件を全て兼ね備えた、超!!!ハンサム男子。彼女のお眼鏡に叶う男性など、世界中のどこを探してもいるわけがないんです。ハハハ!」

ユウとグリム君は、花婿の条件のハードルの高さに呆れている

クロウリー「とにかく、毎年被害があるのはオンボロ寮だけ。それも、数日待てば、ゴーストは諦めていなくなります。」

「数日って…その間2人は、どうするんです?」

クロウリー「お友達のところに居候でもしてください」

お義父様がそういった瞬間、ユウが私に合図を送った。何をするつもり?

監督生「あ~あ、事情も何も話してくれない学園長のせいで、私は女の身でありながら、男子たちの寝床に居座ることになるとは…しょんぼり」

クロウリー「そ、それは…」

なるほど‥ユウのやりたいことがわかった!それなら私は…

「困りましたね。私、レオナさんに1週間はオンボロ寮にいるって言ってしまったんです。寮で寝泊まりができないとなると‥‥野宿するしか…あ、精霊さんに助けてもらう『あなたにそんなことさせるわけにはいかないでしょう!』

お義父様がそう叫んだ瞬間、学園長室の扉が、勢いよく開いた

オルト「学園長―!!!」

入ってきたのは、イグニハイド寮生のオルト君だった。
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