スケアリー・モンスターズ
パーティーの中止。
それは、マジカメモンスターの対応を頑張ってきたみんなのご褒美を奪う行為。
その日を楽しみにしているみんなは、お義父様の言葉に叫び声を上げる。
「な、な、なんでなんだゾ!?どうして一番楽しみにしてたパーティーを中止にしなきゃなんねぇんだ!?」
「我々はさまざまな対策を講じ、穏便な対応を心がけた。それでも話が通じないとなると……」
「調子に乗ったヤツらが、今度は像ではなくお前たちの誰かに危害を加えたらどうする?」
「豪華なパーティーなんてマジカメモンスターの格好の餌さ」
「残念だが、お前たちの安全のためにも……このような混乱の中でパーティーを開くなど到底認めることはできない。私たち大人は、たとえ嫌われてでもいざというときには子どもを守らなければ」
「先生たち……サム……」
先生たちの言い分はもっともだ。
大人である以前に彼らはこの学園の教師。生徒の身の安全を守るのは当然の仕事だ。
「その通りです。幸い我々は魔法士。グレート・セブンの像もすぐに修復可能です。ですが、もしも怪我人まで出たとなればいよいよ警察に通報せざるを得なくなる。そうなれば…………あ~~~~ッ!考えたくもない!!」
そこで叫んだお義父様にみんながびっくりするが、お義父様はすぐに姿勢を直す。
「ごほん!とにかく、これ以上の騒ぎになるのは避けなければなりません」
「で、でも僕たちこれまで一生懸命準備をしてきたんです」
「31日のパーティーをみんなすごく楽しみにしてるのに!」
「毎年パーティーに来てくれている賢者の島の人たちもがっかりすんじゃないっすか」
「そうなるといきなり中止というのは些か早計ですよ」
「そうだそうだ!パーティーでうめぇ飯が食えねえなんていやなんだゾ!」
「気持ちはわかるが……」
1年生の言葉にクルーウェル先生は難しい顔をする。
そもそも前もって企画していたイベントがいきなり中止、というのは賢者の島の人たちから反感を買う恐れもある。
「どうするんだい、学園長」
「……大人だけで、少し話し合いましょうか。本件は非常に難しい問題です。生徒の安全を第一に、慎重に話し合いましょう」
お義父様はそういうが、これは職員会議で済ませる問題じゃない。
……そもそも。
(どうしてマジカメモンスターに気を遣わないといけないの?)
マジカメモンスターは学園に迷惑行為を振りまく悪魔。
彼らが寮に不法侵入し追いかけ回され、せっかく直した箇所がダメになってしまった。
そんな連中のせいで、パーティーを中止?
……何故私たちがここまで我慢しないといけないの!?
『本当に許せない時はたとえ外部の人間でもそれ相応の報復を受けさせるのも大事よ。せっかくのハロウィーンを台無しにされたのなら、彼らに責任を負わせる義務がある。
もしその時が来たら……迷わず、全力で報復しなさい。それをやる権利は、あなたたちにはあるのだから』って聞こえたんです
ふと、昨日ユウが夢うつつでだれかから聞いた言葉を思い出す。
「『問題』が解決して、学園に『安全』が戻ればパーティーを開けるんですよね、お義父様?」
「え?はい、その通りですが……」
「学園長、早く職員室へ戻りましょう。他の職員も招集しなければ……」
「はいはい、今行きます!」
お義父様が私の質問にそう答えた後、トレイン先生に促されてメインストリートから離れる。
その後ろ姿を見ながら、私は先ほどの答えを聞いて小さく笑みを浮かべた。
「行っちまった……。いったいどーすんだ?このままじゃパーティーがなくなっちまうんだゾ!」
そグリムは疑問を投げかけた時だ。
「ふふふ……ロゼッタさんもなかなかいいことをおっしゃる」
「あら、なんのこと?」
「またまたご謙遜を」
わざとらしく言うと、アズール君はまたくすりと笑った。
「は?ロゼッタ、イイコト言ったか?」
「先ほど学園長とお話をされていたではありませんか。『問題が解決して、学園が安全になればパーティーは開ける』……と。ケイトさんがおっしゃっていましたよね。トラブルのもとは、マジカメでもゴーストでもない」
「……うん!全ての元凶は……」
「「マジカメモンスター!」」
ケイトさんとヴィルさんが忌々しそうに一緒に言うと、ジェイド君は頷いた。
「そう。ですからやってくるマジカメモンスターを1人残らず追い出せばいいんです。そうすれば学園が平和になる。パーティーを開くことができます」
「はっ。ならば簡単ではないか。今すぐに学園を閉鎖しよう!外からやってきた者どもを全て追い出してしまえ!」
「……茨の谷ってのは本当に引きこもり気質なんだな。王様が陰気なせいか?」
「アホなの?セベクって本当はアホな子なの?」
「なんだと!?」
「セベクよ……今のはレオナとユウに呆れられても仕方がないぞ」
さすがのリリアさんも擁護できず、セベク君はショックを受けた。
「『ハロウィーンウィーク』の主賓は、来場客じゃ。我々はあくまでパーティーを開く側。もてなす相手がいなくてはパーティーなど開く意味がない」
「僕も、ルールを守って安全に楽しんでくれてるゲストを追い出したくはないです」
「でも、どうやってマジカメモンスターと普通のお客さんを見分けるんですか?見た目だけじゃ良い人か悪い人かなんてわからない。マジカメモンスターだけを追い返すなんてできないんじゃあ……」
「マジカメモンスターとはすなわちアタシたちの話を聞かない人間……それならすぐに判断できる。アンタたちも注意書きを作ればいいのよ」
「注意書き?」
ヴィルさんのアイデアに、デュース君は首を傾げた。
それは、マジカメモンスターの対応を頑張ってきたみんなのご褒美を奪う行為。
その日を楽しみにしているみんなは、お義父様の言葉に叫び声を上げる。
「な、な、なんでなんだゾ!?どうして一番楽しみにしてたパーティーを中止にしなきゃなんねぇんだ!?」
「我々はさまざまな対策を講じ、穏便な対応を心がけた。それでも話が通じないとなると……」
「調子に乗ったヤツらが、今度は像ではなくお前たちの誰かに危害を加えたらどうする?」
「豪華なパーティーなんてマジカメモンスターの格好の餌さ」
「残念だが、お前たちの安全のためにも……このような混乱の中でパーティーを開くなど到底認めることはできない。私たち大人は、たとえ嫌われてでもいざというときには子どもを守らなければ」
「先生たち……サム……」
先生たちの言い分はもっともだ。
大人である以前に彼らはこの学園の教師。生徒の身の安全を守るのは当然の仕事だ。
「その通りです。幸い我々は魔法士。グレート・セブンの像もすぐに修復可能です。ですが、もしも怪我人まで出たとなればいよいよ警察に通報せざるを得なくなる。そうなれば…………あ~~~~ッ!考えたくもない!!」
そこで叫んだお義父様にみんながびっくりするが、お義父様はすぐに姿勢を直す。
「ごほん!とにかく、これ以上の騒ぎになるのは避けなければなりません」
「で、でも僕たちこれまで一生懸命準備をしてきたんです」
「31日のパーティーをみんなすごく楽しみにしてるのに!」
「毎年パーティーに来てくれている賢者の島の人たちもがっかりすんじゃないっすか」
「そうなるといきなり中止というのは些か早計ですよ」
「そうだそうだ!パーティーでうめぇ飯が食えねえなんていやなんだゾ!」
「気持ちはわかるが……」
1年生の言葉にクルーウェル先生は難しい顔をする。
そもそも前もって企画していたイベントがいきなり中止、というのは賢者の島の人たちから反感を買う恐れもある。
「どうするんだい、学園長」
「……大人だけで、少し話し合いましょうか。本件は非常に難しい問題です。生徒の安全を第一に、慎重に話し合いましょう」
お義父様はそういうが、これは職員会議で済ませる問題じゃない。
……そもそも。
(どうしてマジカメモンスターに気を遣わないといけないの?)
マジカメモンスターは学園に迷惑行為を振りまく悪魔。
彼らが寮に不法侵入し追いかけ回され、せっかく直した箇所がダメになってしまった。
そんな連中のせいで、パーティーを中止?
……何故私たちがここまで我慢しないといけないの!?
『本当に許せない時はたとえ外部の人間でもそれ相応の報復を受けさせるのも大事よ。せっかくのハロウィーンを台無しにされたのなら、彼らに責任を負わせる義務がある。
もしその時が来たら……迷わず、全力で報復しなさい。それをやる権利は、あなたたちにはあるのだから』って聞こえたんです
ふと、昨日ユウが夢うつつでだれかから聞いた言葉を思い出す。
「『問題』が解決して、学園に『安全』が戻ればパーティーを開けるんですよね、お義父様?」
「え?はい、その通りですが……」
「学園長、早く職員室へ戻りましょう。他の職員も招集しなければ……」
「はいはい、今行きます!」
お義父様が私の質問にそう答えた後、トレイン先生に促されてメインストリートから離れる。
その後ろ姿を見ながら、私は先ほどの答えを聞いて小さく笑みを浮かべた。
「行っちまった……。いったいどーすんだ?このままじゃパーティーがなくなっちまうんだゾ!」
そグリムは疑問を投げかけた時だ。
「ふふふ……ロゼッタさんもなかなかいいことをおっしゃる」
「あら、なんのこと?」
「またまたご謙遜を」
わざとらしく言うと、アズール君はまたくすりと笑った。
「は?ロゼッタ、イイコト言ったか?」
「先ほど学園長とお話をされていたではありませんか。『問題が解決して、学園が安全になればパーティーは開ける』……と。ケイトさんがおっしゃっていましたよね。トラブルのもとは、マジカメでもゴーストでもない」
「……うん!全ての元凶は……」
「「マジカメモンスター!」」
ケイトさんとヴィルさんが忌々しそうに一緒に言うと、ジェイド君は頷いた。
「そう。ですからやってくるマジカメモンスターを1人残らず追い出せばいいんです。そうすれば学園が平和になる。パーティーを開くことができます」
「はっ。ならば簡単ではないか。今すぐに学園を閉鎖しよう!外からやってきた者どもを全て追い出してしまえ!」
「……茨の谷ってのは本当に引きこもり気質なんだな。王様が陰気なせいか?」
「アホなの?セベクって本当はアホな子なの?」
「なんだと!?」
「セベクよ……今のはレオナとユウに呆れられても仕方がないぞ」
さすがのリリアさんも擁護できず、セベク君はショックを受けた。
「『ハロウィーンウィーク』の主賓は、来場客じゃ。我々はあくまでパーティーを開く側。もてなす相手がいなくてはパーティーなど開く意味がない」
「僕も、ルールを守って安全に楽しんでくれてるゲストを追い出したくはないです」
「でも、どうやってマジカメモンスターと普通のお客さんを見分けるんですか?見た目だけじゃ良い人か悪い人かなんてわからない。マジカメモンスターだけを追い返すなんてできないんじゃあ……」
「マジカメモンスターとはすなわちアタシたちの話を聞かない人間……それならすぐに判断できる。アンタたちも注意書きを作ればいいのよ」
「注意書き?」
ヴィルさんのアイデアに、デュース君は首を傾げた。