スケアリー・モンスターズ
「この騒動の犯人は……」
「「「…………俺たちだ」」」
「え?」
「……今なんと?」
みんなが犯人を出せと騒ぎ始めた時、ゴーストたちがそう告げた。
自分たちが、犯人だと。
「そもそも、俺たちゴーストが写真をマジカメにあげなければ……こんな迷惑な行為をする人間は来なかったしグレート・セブンの像も倒されなかった」
「……実はね、オンボロ寮にユウとグリ坊という仲間が増えて……今年はきっと、いつもよりもっと楽しいハロウィーンになるだろうって浮かれちゃってたんだ」
そういえば、ゴーストさんたちは、ユウとグリム君が来るまでずっとあのオンボロ寮で3人だけでいた。
「だからあんなに一生懸命、ユウとグリムにハロウィーンの衣装を作っていたのか……」
「“オンボロ寮の仲間”全員でハロウィーンを楽しみたかったつーこと?」
「ああ。そのつもりじゃった……」
「オマエら……」
「ゴーストたち……」
「それを自ら台無しにするなんてわしらはなんて馬鹿だったんじゃ!」
「マジカメなんか始めなけりゃよかった!」
「ハロウィーンを台無しにした犯人は俺たちだ。ぜーんぶ、俺たちが悪い」
「「「みんな……本当にごめんよ」」」
「「「ゴーストたち……」」」
さっきまで犯人に憤っていたみんなは、ゴーストたちの話を聞いて沈黙する。
彼らなりに事情もあったし、ヴィルさんたちが言ったように彼らのやったことは悪いことではなかった。
「ちょっと待って。それは絶対に違うと思うな」
「「「えっ?」」」
「ケイト先輩……?」
だけど、その空気をケイトさんが壊した。
「どうしたんだケイト。お前がみんなを否定するなんて珍しい」
「いやー、オレも空気読めないこととかあんまり言いたくないんだけどさぁ……みんなが暗い顔をしてるから言っちゃおっかなって」
トレイさんもケイトさんの行動が気になったのか、2人が小声で話す。
するとケイトさんは笑みを浮かべながらゴーストたちの前に出た。
「ゴーストちゃんたちは、ただハロウィーンの写真をマジカメにあげただけ。それのなにが悪いの?オレや、みんなが、いつもマジカメを楽しく使ってるのと同じことだよ」
「……うん。そうだな」
「確かに、オレも自分の写真とか珍しいものとかよくマジカメに上げるわ」
「でしょ?rそれにさっき、『マジカメなんて始めなきゃよかった』って言ってたけど……ゴーストちゃんたちのマジカメのおかげで喜んでる人もたくさんいるんだよ。ほら、見てみて」
「スマホ?……映ってるのは、マジカメの画面?」
そう言ってケイトさんはゴーストたちにスマホを見せる。
「『ナイトレイヴンカレッジのハロウィーン楽しかった!』『ゴーストがたくさん見られて嬉しい。見えなくてもきっと家族のところにも帰ってきてくれてるんだね』『賢者の島、遠かったけどいいところだった!また来年もこの時期に行きたいな』」
ケイトさんが読み上げたのは、『ハロウィーンウィーク』に参加した人たちのコメント。
普段ゴーストが見られない人たちにとって、彼らの存在はいろんな意味で影響を与えていたのだろう。
「……ね?写ってる人たち、みんなすっごくいい笑顔!これ全部ゴーストちゃんのおかげ♪」
「……!」
「ハロウィーンを素直に楽しむ人もいるし珍しい写真を撮りたがる人もいる。考え方は人それぞれ。全ての人とわかり合うなんて現実的に考えて無理じゃん?
たくさんの人が集まったら、分かり合えない人の数も増える。なにがきっかけでも一緒だよ。だからこの騒ぎは、マジカメとかゴーストちゃんのせいとかじゃないってオレは思う」
ケイトさんの言葉は、どこか説得力もあって重みもあった。
それはマジカメを使っているからとかそういうものではなく、誰よりも多くの人と接してきたからこそ出る言葉だった。
「「「う……うう……ありがとう~~~!!!」」」
嬉しさで勢いよくケイトさんにハグしようとするゴーストたちだが、スカッと通り過ぎた。
「おお~ん。抱きしめたいのに透けてしまうよ~~」
「き、気持ちだけ受け取っとくね」
「ふふっ……」
感動シーンを台無しするドジに、私は思わず笑ってしまった。
「……確かに、犯人を責めている場合じゃないわね」
「それに、在るのは『像の台座に登った』という写真だけ。像を倒したという決定的な証拠にはなりません。マジカメモンスターたちを責めることはできないでしょう」
「しかしこんな嫌な気持ちのままハロウィーン当日を迎えるだなんて……」
「チッ。納得いかねぇ」
「俺もマジカメモンスターは許せません。でも、パーティーのために我慢するしか……」
「みんな困ってるんだゾ」
「でも、物的証拠がない以上、何もできないわ」
仮に責めたとしても、彼らは「証拠はあるのか」と言ってくる。
打つ手がなくみんなが黙り込んでいると、ふと先生たちのほうを見た。
「……」
「「「……」」」
「ん?学園長たちも、なんかこえー顔してるんだゾ」
グリム君の言う通り、先生たちの表情は険しい。
これは…………非常にマズいかもしれない。
「「「……」」」」
「明日、10月31日に開く予定のハロウィーンパーティーは……中止すべきかもしれません」
「「「ええ~~~~~~~~~~っ!?」」」
そして、私の予想通りの事態になった。
「「「…………俺たちだ」」」
「え?」
「……今なんと?」
みんなが犯人を出せと騒ぎ始めた時、ゴーストたちがそう告げた。
自分たちが、犯人だと。
「そもそも、俺たちゴーストが写真をマジカメにあげなければ……こんな迷惑な行為をする人間は来なかったしグレート・セブンの像も倒されなかった」
「……実はね、オンボロ寮にユウとグリ坊という仲間が増えて……今年はきっと、いつもよりもっと楽しいハロウィーンになるだろうって浮かれちゃってたんだ」
そういえば、ゴーストさんたちは、ユウとグリム君が来るまでずっとあのオンボロ寮で3人だけでいた。
「だからあんなに一生懸命、ユウとグリムにハロウィーンの衣装を作っていたのか……」
「“オンボロ寮の仲間”全員でハロウィーンを楽しみたかったつーこと?」
「ああ。そのつもりじゃった……」
「オマエら……」
「ゴーストたち……」
「それを自ら台無しにするなんてわしらはなんて馬鹿だったんじゃ!」
「マジカメなんか始めなけりゃよかった!」
「ハロウィーンを台無しにした犯人は俺たちだ。ぜーんぶ、俺たちが悪い」
「「「みんな……本当にごめんよ」」」
「「「ゴーストたち……」」」
さっきまで犯人に憤っていたみんなは、ゴーストたちの話を聞いて沈黙する。
彼らなりに事情もあったし、ヴィルさんたちが言ったように彼らのやったことは悪いことではなかった。
「ちょっと待って。それは絶対に違うと思うな」
「「「えっ?」」」
「ケイト先輩……?」
だけど、その空気をケイトさんが壊した。
「どうしたんだケイト。お前がみんなを否定するなんて珍しい」
「いやー、オレも空気読めないこととかあんまり言いたくないんだけどさぁ……みんなが暗い顔をしてるから言っちゃおっかなって」
トレイさんもケイトさんの行動が気になったのか、2人が小声で話す。
するとケイトさんは笑みを浮かべながらゴーストたちの前に出た。
「ゴーストちゃんたちは、ただハロウィーンの写真をマジカメにあげただけ。それのなにが悪いの?オレや、みんなが、いつもマジカメを楽しく使ってるのと同じことだよ」
「……うん。そうだな」
「確かに、オレも自分の写真とか珍しいものとかよくマジカメに上げるわ」
「でしょ?rそれにさっき、『マジカメなんて始めなきゃよかった』って言ってたけど……ゴーストちゃんたちのマジカメのおかげで喜んでる人もたくさんいるんだよ。ほら、見てみて」
「スマホ?……映ってるのは、マジカメの画面?」
そう言ってケイトさんはゴーストたちにスマホを見せる。
「『ナイトレイヴンカレッジのハロウィーン楽しかった!』『ゴーストがたくさん見られて嬉しい。見えなくてもきっと家族のところにも帰ってきてくれてるんだね』『賢者の島、遠かったけどいいところだった!また来年もこの時期に行きたいな』」
ケイトさんが読み上げたのは、『ハロウィーンウィーク』に参加した人たちのコメント。
普段ゴーストが見られない人たちにとって、彼らの存在はいろんな意味で影響を与えていたのだろう。
「……ね?写ってる人たち、みんなすっごくいい笑顔!これ全部ゴーストちゃんのおかげ♪」
「……!」
「ハロウィーンを素直に楽しむ人もいるし珍しい写真を撮りたがる人もいる。考え方は人それぞれ。全ての人とわかり合うなんて現実的に考えて無理じゃん?
たくさんの人が集まったら、分かり合えない人の数も増える。なにがきっかけでも一緒だよ。だからこの騒ぎは、マジカメとかゴーストちゃんのせいとかじゃないってオレは思う」
ケイトさんの言葉は、どこか説得力もあって重みもあった。
それはマジカメを使っているからとかそういうものではなく、誰よりも多くの人と接してきたからこそ出る言葉だった。
「「「う……うう……ありがとう~~~!!!」」」
嬉しさで勢いよくケイトさんにハグしようとするゴーストたちだが、スカッと通り過ぎた。
「おお~ん。抱きしめたいのに透けてしまうよ~~」
「き、気持ちだけ受け取っとくね」
「ふふっ……」
感動シーンを台無しするドジに、私は思わず笑ってしまった。
「……確かに、犯人を責めている場合じゃないわね」
「それに、在るのは『像の台座に登った』という写真だけ。像を倒したという決定的な証拠にはなりません。マジカメモンスターたちを責めることはできないでしょう」
「しかしこんな嫌な気持ちのままハロウィーン当日を迎えるだなんて……」
「チッ。納得いかねぇ」
「俺もマジカメモンスターは許せません。でも、パーティーのために我慢するしか……」
「みんな困ってるんだゾ」
「でも、物的証拠がない以上、何もできないわ」
仮に責めたとしても、彼らは「証拠はあるのか」と言ってくる。
打つ手がなくみんなが黙り込んでいると、ふと先生たちのほうを見た。
「……」
「「「……」」」
「ん?学園長たちも、なんかこえー顔してるんだゾ」
グリム君の言う通り、先生たちの表情は険しい。
これは…………非常にマズいかもしれない。
「「「……」」」」
「明日、10月31日に開く予定のハロウィーンパーティーは……中止すべきかもしれません」
「「「ええ~~~~~~~~~~っ!?」」」
そして、私の予想通りの事態になった。