スケアリー・モンスターズ
「そ、そんな……」
「これ、夢じゃないよね?」
「にわかに信じがたい光景です」
「グ、グレート・セブンの像が……」
メインストリートに来た私たちは、目の前の光景を見て絶句する。
ヴィルさんたちは愕然とした声を出したが、むしろ今の状況ではすごいと思う。
だって……。
「グレート・セブンの像が!全部倒れているっ!!」
メインストリートに鎮座していたグレート・セブンの像。
その像が台座から降ろされ、地面に寝かされていた。
幸い傷はないが、それでもこの光景はショックだ……。
「い、偉大なるグレート・セブンの像に一体誰がこんなひどいことを!?」
「朝、俺たちが見回りをした時にはもう倒れていたんだ……」
「それじゃあ犯人はわからないってことか!?」
「少なくとも深夜にやったことくらいしかわからないわ……」
「……。……はい、はっけーん♪」
「えっ?」
スマホを片手に言ったケイト先輩に、全員が目を丸くする。
ベール越しでもわかるほど冷たい顔をしたケイト先輩は、全員に見えるようすスマホの画面を向けた。
「マジカメのこの投稿、見てみて?『うちらグレート・セブン☆ #エモい #キリッ! #NRC来たよ #ハッピーハロウィーン』」
「こ、こ……これは!?グレート・セブンの石像があった場所に人が立っている!」
画面に写っているのはグレート・セブンの像と同じポーズをしている青年たち。
投稿した時間も、私の予想通り深夜だ。
「グレート・セブンになりきるため置いてあった石像をどけたってところかな?ご丁寧に像のポーズまで真似ちゃってほんとよくやるよね~」
「ダイヤモンド先輩。よくこんなに早く犯人を見つけられましたね」
「『グレート・セブン』『ハロウィーン』ってマジカメで検索したらすぐに出てきたよ。登校時間や周りの状況からして昨日の夜中に学園に忍び込んだみたいだね」
「完全に不法侵入じゃない。完全に頭が狂ってるわね」
「自らの違反行為を恥じもせず語るとは……やつら、本当に自分たちがしていることを悪いこととは思うておらんのじゃなあ」
問題児が多いここの生徒でも、やっていいことと悪いことの区別くらいある。
「こんな…………こんなに……こんなに悲しいことは……私が学園長になってから……今の今まで一度もありませんでした……!美しき女王の像が、地面に伏す日がくるだなんて。ああ、夢であって欲しい」
「お義父様・・・」
本気で肩を落としているお義父様に、私は何も言えなかった。
「……アタシが美しき女王のお話を知ったのはまだ文字も読めないほど小さい頃だったわ。父がアタシに美しき女王の偉業を伝える絵本を読んでくれたの。女王の奮起の精神に支えられてアタシはここまできた。それを蔑ろにされて……ああ、もう言葉が出ないわ!」
「オレも、砂漠の魔術師みたいに賢くて人に助言を与えられるような……頼られる人間になりたいって思って毎日頑張ってるんだ!」
「っていうかグレート・セブンに憧れてない生徒とかこの学園にいる?いないよね?その像をめちゃくちゃにして逃げるとか……なにされても文句言えないな」
「海の魔女の慈悲深さの一滴でもあの方々にあればよかったものを。全く許し難い」
「みんな、すげーショック受けてるんだゾ。ウチの学校は、かっけぇグレート・セブンに憧れてるヤツばっかって言ってたもんな……」
「そうね。どんな形であれ、ここにいるみんなはグレート・セブンに憧れている。それをこんな風にされて怒るのは当然だわ」
「「「……」」」
ヴィルさんをはじめとする運営委員たちの言葉に、私は自分の中で怒りが湧き始めていることに気付く。
どんな理由があったにせよ、マジカメモンスターたちのしたことは許されない。
「なんということだ……」
「うそだろ!?いつかの丸焦げどころか像が全部倒れてんじゃねーか!」
「あっ。先生と、運営委員以外のヤツらも集まってきたんだゾ」
遅れてやってきたみんなもこの光景にはショックを受けており、中には怒りを浮かべていた。
「偉人の像を倒すなど……我が校の顔に泥を塗られたも同然だ!」
「大切なグレート・セブンの像を倒したのは一体、どこの野良犬だ!?」
「石でできた像を倒すだなんて、相当な筋肉だ……危険な犯人を、早く見つけねば!」
「そうだそうだ!犯人を出せ!」
「ナイトレイヴンカレッジを侮ればどんな目に遭うか教えてやろう!」
憧れのグレート・セブンの像を倒され、みんなかなり頭に血が上っている。
犯人を出せ、とまるで魔女狩りのように叫ぶ。
(まずいわ。早く場を鎮めないと……!)
「犯人は……」
ゴーストたちが、静かに口を開いた……
「これ、夢じゃないよね?」
「にわかに信じがたい光景です」
「グ、グレート・セブンの像が……」
メインストリートに来た私たちは、目の前の光景を見て絶句する。
ヴィルさんたちは愕然とした声を出したが、むしろ今の状況ではすごいと思う。
だって……。
「グレート・セブンの像が!全部倒れているっ!!」
メインストリートに鎮座していたグレート・セブンの像。
その像が台座から降ろされ、地面に寝かされていた。
幸い傷はないが、それでもこの光景はショックだ……。
「い、偉大なるグレート・セブンの像に一体誰がこんなひどいことを!?」
「朝、俺たちが見回りをした時にはもう倒れていたんだ……」
「それじゃあ犯人はわからないってことか!?」
「少なくとも深夜にやったことくらいしかわからないわ……」
「……。……はい、はっけーん♪」
「えっ?」
スマホを片手に言ったケイト先輩に、全員が目を丸くする。
ベール越しでもわかるほど冷たい顔をしたケイト先輩は、全員に見えるようすスマホの画面を向けた。
「マジカメのこの投稿、見てみて?『うちらグレート・セブン☆ #エモい #キリッ! #NRC来たよ #ハッピーハロウィーン』」
「こ、こ……これは!?グレート・セブンの石像があった場所に人が立っている!」
画面に写っているのはグレート・セブンの像と同じポーズをしている青年たち。
投稿した時間も、私の予想通り深夜だ。
「グレート・セブンになりきるため置いてあった石像をどけたってところかな?ご丁寧に像のポーズまで真似ちゃってほんとよくやるよね~」
「ダイヤモンド先輩。よくこんなに早く犯人を見つけられましたね」
「『グレート・セブン』『ハロウィーン』ってマジカメで検索したらすぐに出てきたよ。登校時間や周りの状況からして昨日の夜中に学園に忍び込んだみたいだね」
「完全に不法侵入じゃない。完全に頭が狂ってるわね」
「自らの違反行為を恥じもせず語るとは……やつら、本当に自分たちがしていることを悪いこととは思うておらんのじゃなあ」
問題児が多いここの生徒でも、やっていいことと悪いことの区別くらいある。
「こんな…………こんなに……こんなに悲しいことは……私が学園長になってから……今の今まで一度もありませんでした……!美しき女王の像が、地面に伏す日がくるだなんて。ああ、夢であって欲しい」
「お義父様・・・」
本気で肩を落としているお義父様に、私は何も言えなかった。
「……アタシが美しき女王のお話を知ったのはまだ文字も読めないほど小さい頃だったわ。父がアタシに美しき女王の偉業を伝える絵本を読んでくれたの。女王の奮起の精神に支えられてアタシはここまできた。それを蔑ろにされて……ああ、もう言葉が出ないわ!」
「オレも、砂漠の魔術師みたいに賢くて人に助言を与えられるような……頼られる人間になりたいって思って毎日頑張ってるんだ!」
「っていうかグレート・セブンに憧れてない生徒とかこの学園にいる?いないよね?その像をめちゃくちゃにして逃げるとか……なにされても文句言えないな」
「海の魔女の慈悲深さの一滴でもあの方々にあればよかったものを。全く許し難い」
「みんな、すげーショック受けてるんだゾ。ウチの学校は、かっけぇグレート・セブンに憧れてるヤツばっかって言ってたもんな……」
「そうね。どんな形であれ、ここにいるみんなはグレート・セブンに憧れている。それをこんな風にされて怒るのは当然だわ」
「「「……」」」
ヴィルさんをはじめとする運営委員たちの言葉に、私は自分の中で怒りが湧き始めていることに気付く。
どんな理由があったにせよ、マジカメモンスターたちのしたことは許されない。
「なんということだ……」
「うそだろ!?いつかの丸焦げどころか像が全部倒れてんじゃねーか!」
「あっ。先生と、運営委員以外のヤツらも集まってきたんだゾ」
遅れてやってきたみんなもこの光景にはショックを受けており、中には怒りを浮かべていた。
「偉人の像を倒すなど……我が校の顔に泥を塗られたも同然だ!」
「大切なグレート・セブンの像を倒したのは一体、どこの野良犬だ!?」
「石でできた像を倒すだなんて、相当な筋肉だ……危険な犯人を、早く見つけねば!」
「そうだそうだ!犯人を出せ!」
「ナイトレイヴンカレッジを侮ればどんな目に遭うか教えてやろう!」
憧れのグレート・セブンの像を倒され、みんなかなり頭に血が上っている。
犯人を出せ、とまるで魔女狩りのように叫ぶ。
(まずいわ。早く場を鎮めないと……!)
「犯人は……」
ゴーストたちが、静かに口を開いた……