スケアリー・モンスターズ

異世界からやってきて、この世界のハロウィーンを初めて経験する彼女に少しでも楽しんでもらおうと企画した。
それなのに、逆に迷惑をかけてしまいさすがのマレウスも落ち込んでしまう。

「マレウス様を悲しませるとは……許すまじ、マジカメモンスター!お前たち!自分たちの長がこのように侮辱されて黙っていていいのか!」

「いいや許せない!寮長の名誉を守るぞ!」

「このままではディアソムニアの……いや、ナイトレイヴンカレッジの名折れ!」

「マジカメモンスターに粛清を!」

「「「粛清を!!」」」

「お前たちにそこまでしろとは言っていないんだが……」

マレウスを敬愛する寮生たちの物騒な言葉に、当の本人だけでなくリリアたちも困惑する。

「このままでは収集がつきません」

「こりゃ、なかなか笑っていられない事態になってきたのう」

完全に頭に血を上っている寮生たちに、リリアは普段とは違う顔つきになる。
その時、オンボロ寮の木の上に止まっているカラスに気付いた。

時折虹色に変わる黒い目をじっと向けるカラスは、何も言わずメインストリートのほうへ飛んでいく。
それを見て、リリアは軽く口元をひきつらせ、冷や汗を流す。

「……本当になんとかせんといかんのう。あの精霊が何とかする前に…・・」


メインストリートにいたロゼッタの両親は、戻って来たカラスを腕に止める。

そのまま何かを呟くと、カラスの目から虹が消え、そのままどこかへと羽ばたく。

動物を使った、視覚共有魔法。
あのカラスを使って、全てのスタンプラリー会場を見て回っていたのだ。

「マジカメモンスター……随分とおいたをしているようね」

何年ぶりに戻って来たこの世界でのハロウィーンを台無しする憎き害虫。
ロゼッタの両親に協力していたのは、ロゼッタがランタン君と呼ぶ精霊だった。

『彼らが本当に取り返しのつかないことをしたら、その時は……』

そこで言葉を切り、ジャック・オー・ランタンは邪悪な笑みを浮かべた。

『――最高のハロウィーンを届けてあげる♪。永遠に忘れられない、恐怖と悲鳴に満ちたものを・・・・あの子に手を出したらもっと許さないよ』

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