スケアリー・モンスターズ
メインストリートを歩くマレウスとリリアは、ディアソムニアのスタンプラリー会場・オンボロ寮に向かう途中でマジカメモンスターについて話していた。
「たかが写真のために、魔法士の集うナイトレイヴンカレッジを荒らす者がいるとは。あの客人たちは、なぜそこまでして楽し気な写真を撮ることにこだわるのだろう」
「さあのう。こればかりは種族もなにも関係なく個人の価値観の問題じゃ。人に迷惑をかけるのはよくないが誰がなにを大切にしようとそれ自体は責められない。ただ、わしたの大切にしたいものとマジカメモンスターの大切にしたいものは違う。ゆえに衝突するのじゃ」
「ふむ。大切にしたいものか……」
「マジカメモンスターとわしらでは、重きを置くものがあまりにも違いすぎるからのう。おおかた、ディアソムニアのハロウィーン会場も大変なことになっとるじゃろうよ。さあ、急いで向かうとしよう」
哲学的な会話を繰り広げた2人はオンボロ寮へ向かう。
その時、ちょうどセベクがマジカメモンスターに向けて大声を上げていた。
「この無礼者!!!!!ディアソムニアを汚す者はひいてはマレウス様を汚す者……これ以上は許しておけんぞ!!!!!!!!」
「声でけぇ~。空気ビリッビリ震えてるわ」
「お兄さん、姿勢良くてかっこいいのに超面白い!絶対バズる」
「写真撮らせて~!そのあとムービーもお願いしまーす」
「貴様ァ!!!!スマホをしまえと言っているだろうがァ!!!!!」
マジカメモンスターはセベクの様子を面白がるだけでなく無断で写真を撮り始め、さらに火に油を注ぐ真似をする。
さらに大声を上げたセベクに、リリアは小さく笑った。
「ほらな?大変なことになっとったじゃろ?」
「セベク……血の気の多さは祖父に似たのか?」
2人の登場に他の寮生たちが佇まいを直し、セベクとシルバーも同じように姿勢を正す。
「はっ。わ、若様!それにリリア様も」
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。怒鳴ったところで解決しないと何度も言っているのですが……」
「シルバー、お前はいつも甘いのだ!今すぐ僕がこの者どもを追い払います。少々お待ちください!」
「いい。お前たちは下がっていろ」
セベクの言葉をやんわりと一蹴したマレウスは、ゆっくりとした動きでマジカメモンスターの前に出た。
「……そこの観光客」
「ん?」
「え、え、え……まさか茨の谷の……マレウス・ドラコニア!?」
「や、いぇべえ。マジフト中継で観たまんま!本当にナイトレイブンカレッジにいるんだ!」
「ふんっ。さすがに無知な人間どももマレウス様の御尊名は知っていたか」
「少し話をしようか」
騒ぐマジカメモンスターを見て、何故かセベクがドヤ顔をする。
マレウスはそれを無視しながら、話を続ける。
「……郷に入っては郷に従えという言葉を知っているか?お前たちがなにを考え、なにを好んでもそれ自体は悪ではない。責めもしない。だが一歩この学園に踏み入れたからには学園のルールに従うべきだ。多少不自由でも、破ることが簡単だとしても規則は守る。それが礼節ではないか?」
「ああ。なんと尊きお言葉……!これで響かぬはずがない!」
「ああ。マレウス様が直々に、それもこんなにも丁寧に話をしてくださったんだ。きっと客人たちも納得してくれるだろう」
マレウスの言葉に感銘を受けるセベクとシルバー。
しかし、マジカメモンスターのほうを見たセベクは眉をひそめた。
「……む?人間どもの様子がおかしいぞ?」
「………………ひそひそ……」
「「ひそ…………………ひそひそ…………」」
「「「じー…………」」」
「なんだ?じろじろと僕を見て。そんなに妖精が珍しいのか?」
妖精など他の国では滅多に見られない種族。
マレウスも最初、マジカメモンスターが単純に妖精が珍しがっているかと思っていた。
しかし。
「…………うぇ~~~~~い!」
突然、マジカメモンスターの1人がマレウスの腕に触れた。
触れられたマレウスも目を丸くしながら驚いており、そばにいたセベクもシルバーも瞠目する。
「「なっ!?」」
「な、なんてことだ…………マレウス様の腕に…………気安く触る人間がいるとは!」
「……」
「マレウス様も驚いていらっしゃるし……」
「……!…………!?…………!!」
「セベクは言葉を失っている」
マレウスとセベクの反応に困惑するシルバーは、そばにいたリリアに言った。
「たかが写真のために、魔法士の集うナイトレイヴンカレッジを荒らす者がいるとは。あの客人たちは、なぜそこまでして楽し気な写真を撮ることにこだわるのだろう」
「さあのう。こればかりは種族もなにも関係なく個人の価値観の問題じゃ。人に迷惑をかけるのはよくないが誰がなにを大切にしようとそれ自体は責められない。ただ、わしたの大切にしたいものとマジカメモンスターの大切にしたいものは違う。ゆえに衝突するのじゃ」
「ふむ。大切にしたいものか……」
「マジカメモンスターとわしらでは、重きを置くものがあまりにも違いすぎるからのう。おおかた、ディアソムニアのハロウィーン会場も大変なことになっとるじゃろうよ。さあ、急いで向かうとしよう」
哲学的な会話を繰り広げた2人はオンボロ寮へ向かう。
その時、ちょうどセベクがマジカメモンスターに向けて大声を上げていた。
「この無礼者!!!!!ディアソムニアを汚す者はひいてはマレウス様を汚す者……これ以上は許しておけんぞ!!!!!!!!」
「声でけぇ~。空気ビリッビリ震えてるわ」
「お兄さん、姿勢良くてかっこいいのに超面白い!絶対バズる」
「写真撮らせて~!そのあとムービーもお願いしまーす」
「貴様ァ!!!!スマホをしまえと言っているだろうがァ!!!!!」
マジカメモンスターはセベクの様子を面白がるだけでなく無断で写真を撮り始め、さらに火に油を注ぐ真似をする。
さらに大声を上げたセベクに、リリアは小さく笑った。
「ほらな?大変なことになっとったじゃろ?」
「セベク……血の気の多さは祖父に似たのか?」
2人の登場に他の寮生たちが佇まいを直し、セベクとシルバーも同じように姿勢を正す。
「はっ。わ、若様!それにリリア様も」
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。怒鳴ったところで解決しないと何度も言っているのですが……」
「シルバー、お前はいつも甘いのだ!今すぐ僕がこの者どもを追い払います。少々お待ちください!」
「いい。お前たちは下がっていろ」
セベクの言葉をやんわりと一蹴したマレウスは、ゆっくりとした動きでマジカメモンスターの前に出た。
「……そこの観光客」
「ん?」
「え、え、え……まさか茨の谷の……マレウス・ドラコニア!?」
「や、いぇべえ。マジフト中継で観たまんま!本当にナイトレイブンカレッジにいるんだ!」
「ふんっ。さすがに無知な人間どももマレウス様の御尊名は知っていたか」
「少し話をしようか」
騒ぐマジカメモンスターを見て、何故かセベクがドヤ顔をする。
マレウスはそれを無視しながら、話を続ける。
「……郷に入っては郷に従えという言葉を知っているか?お前たちがなにを考え、なにを好んでもそれ自体は悪ではない。責めもしない。だが一歩この学園に踏み入れたからには学園のルールに従うべきだ。多少不自由でも、破ることが簡単だとしても規則は守る。それが礼節ではないか?」
「ああ。なんと尊きお言葉……!これで響かぬはずがない!」
「ああ。マレウス様が直々に、それもこんなにも丁寧に話をしてくださったんだ。きっと客人たちも納得してくれるだろう」
マレウスの言葉に感銘を受けるセベクとシルバー。
しかし、マジカメモンスターのほうを見たセベクは眉をひそめた。
「……む?人間どもの様子がおかしいぞ?」
「………………ひそひそ……」
「「ひそ…………………ひそひそ…………」」
「「「じー…………」」」
「なんだ?じろじろと僕を見て。そんなに妖精が珍しいのか?」
妖精など他の国では滅多に見られない種族。
マレウスも最初、マジカメモンスターが単純に妖精が珍しがっているかと思っていた。
しかし。
「…………うぇ~~~~~い!」
突然、マジカメモンスターの1人がマレウスの腕に触れた。
触れられたマレウスも目を丸くしながら驚いており、そばにいたセベクもシルバーも瞠目する。
「「なっ!?」」
「な、なんてことだ…………マレウス様の腕に…………気安く触る人間がいるとは!」
「……」
「マレウス様も驚いていらっしゃるし……」
「……!…………!?…………!!」
「セベクは言葉を失っている」
マレウスとセベクの反応に困惑するシルバーは、そばにいたリリアに言った。