スケアリー・モンスターズ

何故か顔色の悪い寮生たちにイデアが首を傾げると、1人がいきなりテンションの高い声を上げた。

「『うわ。さすが名門ナイトレイブンカレッジだわ。みんな頭良さそー!スゲー!』『ちょちょ、お兄さん。俺らになんかタメになること教えてよ』『……しっ!なんか言ってるよ。みんなこの人にちゅうもーく!』……って絡まれてしまったんです」

「つ、つら~~~~~~~~~!陽キャにやられたら一番嫌いなやつ!頼む、1人が好きな人間んのことは放っておいてェ!」

寮生による陽キャ再現を見て、イデアはここでマジカメモンスターに対応していた彼らに激しく同情する。
陰キャの多いイグニハイドにとって、その類の絡まれ方はかなり辛いのだ。

「いくら逃げても『今なんか言った?『ナイトレイヴンカレッジのこともっと教えて』『マジカメやってる?ID交換しよう』『うちらもう友だちじゃん!』と言って追いかけられました」

「俺たちが無理やり絡まれていたから、オルトはマジカメモンスターを排除しようとしたんです」

「『これ以上大切なハロウィーンを妨害するなら容赦しない』と、事前にビープ音も発していました」

「オルトは、寮を守るという務めを果たそうとしただけなんです」

「そ……そうだったのか~~~~!」

寮生たちの話を聞いて、イデアは感激しながらオルトを抱きしめた。

「オルトは本当にいい子だ。みんなのために頑張ってくれてありがとう」

「ううん。全然へっちゃらだよ。だって……みんなで楽しいハロウィーンを過ごすためだもん!」

「「「オルト……!」」」

「さっきは充填に手間取っちゃったけど……次はすぐにビームを発射できるように常に魔導エネルギーフル充填状態にしておくね!」

「「「それはやりすぎ!」」」

イグニハイドの良心の言葉に感動するも、完全にマジカメモンスターを殺す気でいる様子に怯えるイデアたち。

「お、お客さんに魔導ビームを放ったら僕もオルトもどんな処分を受けるかわからない。オルトよりも早くマジカメモンスターを見つけてこっそり追い出さないと!」

二重の意味で訪れた危機に、さすがのイデアも気を引き締める。
その光景を窓から見ていたカラスは、最終地であるオンボロ寮へと向かった。
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