王子様と秘密のお嬢様 番外編

ーある日の放課後、学園長室にてー

「試合の時のマネージャーですか?」

「1日だけでいいですから、お願いします」

「通常練習はやったことありますけど、試合はちょっと…」

「あなたがやったら生徒たちの士気はうなぎのぼり!ロイヤルソードとの試合だって101回目の正直!勝てるに違いないんです!」

「ここの生徒はそんな単純じゃないですよ」

「高校生の単純さをなめちゃいけませんよ!!引き受けてくれた暁には特別ボーナスを差し上げます」

「特別ボーナス?」

「それは―――」

ーーー
「みんな知ってると思うが、一応自己紹介でもするか?」

「はい。今日1日マネージャーをさせていただくことになりました。ロゼッタです。皆さんが気持ちよく試合の臨めるよう頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

バルガス先生に促されて簡単に自己紹介するとざわつく部員たち

「「うオオオオオオオオオオ女子マネ・姐さんだ!コレで負けねえ!」」

本当に単純だった、と後にロゼッタは監督生に言った。(監督生は男ってやっぱ異世界共通で単純なんだと思ったらしい)

今回の大会はRSAで行うらしく、鏡で移動しようとした時…

「ロゼッタ・・・」

「レオナさん!何か御用ですか?」

いつにも増してご機嫌斜めのようで‥‥

「RSAに行くの初めてだろ」

「はい!楽しみです!」

私がそういうと、眉間にしわが増える。

「あそこの奴らは行け好かねえ奴らが多いからな…」

そんな会話をした後、すぐにRSAに到着した。

すぐに仕事を開始する。試合に出場するドリンクやタオル、コールドスプレーの準備など…

そんなことをしていたときふとレオナさんを見ると、さっきの不機嫌はどこへ行ったのか、真剣な表情のレオナさんがいて、視線がくぎ付けになってしまう。一瞬目が合った気がして慌てて目をそらす。その後すぐに、レオナさんがやってきて‥‥

「俺に惚れ直したか?」

「ひゃい・・」

「くっくく・・・試合楽しみにしとけ」

最後に私の頭をなでて、去っていった。周囲からは「レオナさんがあんな顔するなんて」とか「甘々だな」とか聞こえたような気がするけど、恥ずかしすぎて頭に入ってこなかった

そして試合が始まった
さっきの行動がレオナさん含む選手のみんなのやる気を引き出したのか、点を取っては取り返しの絵にかいたようなシーソーゲームだった。熱気に充てられて大声を挙げて応援した

試合終了は後アディショナルタイムのみ、得点は同点。ディスクはNRCサイド。

ゴールまでの距離が遠いからだろうか。祈るような気持ちでコートを見つめる。

レオナさんにパスが回った。残り時間が少ないこともあり、RSAの生徒たちには油断が見える・・・そのとき

「おいRSA,ライオンなめんなよ?」

レオナさんが右手を上げると、ディスクがふわりと浮き上がる

「・・ッォラア!」

吠えるような声とともに振り下ろすように手を下ろすと、その動きと連動するように、ディスクは目にもとまらぬ速さでコートを飛んでいく。瞬く間もなくディスクがゴールのリングに飛び込んだ。

油断も相まって反応できなかったRSAの選手たちも唖然。観客も唖然。一息遅れてゴールと試合終了のひっするが鳴り、観客たちの歓声が響く。

ラギー君やほかの部員たちに囲まれるレオナさん。

「レオナさん、お疲れさまでした。最後のシュート、かっこよかったです!」

試合後、選手のみんなにドリンクとタオルを配り、最後にレオナさんのもとへ

声をかけてスポーツドリンクとタオルを渡すと、にやりと不敵な笑み

「惚れ直したか?」

真っ赤になる顔を炎天下のせいにしてしまいたい…

「か・・・」

「か?」

「会場の後片付けがあるので失礼します!」

「くくっ‥・可愛い奴」

後日、お義父様から、ご褒美のである私が欲しかった学術書を買ってもらった。けど、その2倍もの量の学術書と「レオナによろしく」というメッセージがファレナ様から届いた。レオナさんに伝えたらすごく嫌な顔をされたのは、ファレナ様には黙っておくことにしよう。
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