スケアリー・モンスターズ
デュースに呼ばれ、ハーツラビュルのスタンプラリー会場である植物園に来たケイト。
そこで目にしたのは、花壇に入ろうとするマジカメモンスターとブチ切れ寸前のリドルだった。
「そこの3人組!!何度同じことを言わせるつもりだい!?花壇にずかずか入るだなんて…ハートの女王の法律以前の、マナー違反だ!規則ルール違反者はたとえゲストであろうと容赦はしないよ!」
「リドル、落ち着け!気持ちはわかるがなんとか堪えてくれ!」
「寮長の魔法を食らったら一般人はただじゃすみませんって。大問題っすよ!」
「「「抑えてください、寮長~!」」」
「みんな離せ!」
トレイとエースを率先し、他の寮生もリドルを抑えるもほぼ効果はない。
その光景をマジカメモンスターははしゃぎながら見る。
「うわ、勢いやっべ。花への愛情?つーか熱意?マジぱねぇ!」
「やっぱ愛情かけられてる花って綺麗さが違うわ~」
「ならこんなところでひっそりと咲いてるのもったいなくない?世界中の人に見てもらおーよ!」
そうして花に向けて写真を撮るマジカメモンスター。
しかも命知らずにも、キレかけているリドルに話しかけた。
「あ、寮長サンも記念に1枚撮りましょうよ!」
「僕が育てました、ってやつ!?いいね~~!」
「はい笑って、笑って~」
「「「スマーイル!フッフゥ~~~~~!」」」
ついには音頭を取ったマジカメモンスターに、ついにリドルの堪忍袋の緒が切れた。
「ウギギギギギギ!!!やっぱりもう我慢できない……今すぐ首をはねてやる!!!!!!!」
いつでも首をはねるのが可能になっているリドルを見て、ケイトは冷や汗を流す。
「うわやっば。リドルくんマジおこ!」
「僕が先輩たちと別れて植物園に来たときにはもう寮長とお客さんがもめてて……」
「完全に頭に血がのぼっちゃってる。これはまずいな……」
いつもならここで宥めるのだが、今のリドルの様子ではそれすらも火に油を注ぐだろう。
「……よし、デュースちゃん。オレたちでこっそり、あのお客さんたちを魔法で追い払っちゃおう」
「えっ、一般人に魔法!?いいんですか」
「いいのいいの。これは『防犯システム』だから♪」
「防犯システム……?なんのことですか」
「説明はあと!そんじゃリドルくんのためにも……リドルくんからあのお客さんを守ろうか!」
そうしてケイトはデュースと一緒に、マジカメモンスターを追い払うために魔法を使うのだった。
防犯システムという体で浮遊魔法を使ってマジカメモンスターを追い払ったデュースとケイト。
リドルはトレイとケイトに宥められ、ようやく落ち着いてきた。
「なんとか怪我をさせずに、ゲストを追い払いましたね」
「はあ、やっと迷惑な客がいなくなった。どうなることかと思ったわ……」
「一体なにがあったの?」
「それが……」
「奴らが、植物園の花壇で育てている大切な魔法植物をもぎ取っていたんだ!」
トレイが答える前に、リドルが怒り気味に答えた。
「『花が綺麗だから、髪に飾って自撮りをマジカメにアップする』なんてくだらない理由で……魔法薬を作るための貴重な植物をいったいなんだと考えているんだろう。それに……ハートの女王の法律第228条『水曜日に庭の花を摘んではならない』……これは重大な法律違反だよ!」
「確かに、勝手に花を摘むなんて常識的に考えてなしっすけど……寮長も言い方がよくないんですって。ハートの女王の法律なんて一般人は知らないっすよ」
「なんだって!?ハートの女王は偉大なるグレート・セブンの1人だよ。810条すべてと言わずとも、一般常識として100条ぐらいは覚えておくべきだ!!」
「う、うーん……」
「僕もまだ100条まで覚えてないです……」
リドルの言い分にハーツラビュル寮生たちは微妙な顔をした。
一般人にあの法律を100条まで覚えるというのは、難易度が高すぎる要求だ。
「ま、寮長がこの調子なもんで……お客さんが面白がって、寮長がキレてさらにそれがウケて……って泥沼状態」
「ゲストが相手ということもあってずいぶん辛抱はしていたよな。ただその……真面目なリドルと話を聞かないお客さんの、相性が悪すぎて……」
「なるほどね……。大変だったね、リドルくん」
「……すまない。迷惑をかけたね。みんなも、止めてくれて感謝するよ」
謝罪とお礼を言うリドルに寮生たちが頷いていると、デュースは肩を組みながら言った。
「それにしてもあいつら一体なにを考えていたんだろう。ダイヤモンド先輩、なにか知ってますか?それに防犯システムって……?」
「実はねえ、さっき先生たちとお客さんが……」
ケイトがメインストリートでの出来事を話すと、全員は納得の表情を浮かべた。
「なるほど……マジカメのことしか考えていない『マジカメモンスター』か」
「言い得て妙な名前だね。他の寮でもすぐにその呼び方が広まるだろう」
「あの怖~い先生たちがみんなで注意しても言うことを聞かない奴らがいるとはねー」
「こんなの想定外だ。先生方もさぞ慌てただろうね」
「いやあー……後出しっぽくなっちゃうけどさ、オレはこうなるんじゃないかなーって思ってたよ。ロゼッタちゃんも薄々気づいてたんじゃないかな?」
「「「え?」」」
リドルとエースの言葉に、ケイトは苦笑いながらも言った。
「いいねをもらうためには手段を問わないマジカメグラマーって、結構いるんだよ。ナイトレイヴンカレッジはハロウィーンの映える写真が撮れる場所として有名になったから……そういう問題アリなマジカメグラマーもお客さんの中には当然混ざってると思う」
「そ、そんな……いいねのためなら人に迷惑をかけてもかまわないってことですか!?」
「自分の『楽しい!』を求めるのに必死で人に迷惑かけてるとも思ってないんじゃないかな♪」
愕然とするデュースに、ケイトはいつもの調子で答える。
「不憫な交通の壁を乗り越えて、わざわざナイトレイヴンカレッジまで来てるわけでしょ?楽しんでやろう!っていう気合の入り方が違うよねー」
「そ、そんな……」
「しかも厄介なのはー……一度バズった情報は、もう止められないってこと!もちろん、純粋に『ハロウィーンを楽しみたい』ってお客さんがほとんどだとは思うけど……これからは良いお客さんだけじゃなくマジカルモンスターも増える一方だろうね」
「もしかして、今頃他の寮も……?」
「うん……。大変なことになってるんじゃないかなぁ……」
ハーツラビュルの中でマジカメに詳しいケイトの言葉を聞いて、周囲の空気が重くなるのを感じた。
その光景をガラス屋根から見ていたカラスは、そのままコロシアムのほうへ飛んで行った。
そこで目にしたのは、花壇に入ろうとするマジカメモンスターとブチ切れ寸前のリドルだった。
「そこの3人組!!何度同じことを言わせるつもりだい!?花壇にずかずか入るだなんて…ハートの女王の法律以前の、マナー違反だ!規則ルール違反者はたとえゲストであろうと容赦はしないよ!」
「リドル、落ち着け!気持ちはわかるがなんとか堪えてくれ!」
「寮長の魔法を食らったら一般人はただじゃすみませんって。大問題っすよ!」
「「「抑えてください、寮長~!」」」
「みんな離せ!」
トレイとエースを率先し、他の寮生もリドルを抑えるもほぼ効果はない。
その光景をマジカメモンスターははしゃぎながら見る。
「うわ、勢いやっべ。花への愛情?つーか熱意?マジぱねぇ!」
「やっぱ愛情かけられてる花って綺麗さが違うわ~」
「ならこんなところでひっそりと咲いてるのもったいなくない?世界中の人に見てもらおーよ!」
そうして花に向けて写真を撮るマジカメモンスター。
しかも命知らずにも、キレかけているリドルに話しかけた。
「あ、寮長サンも記念に1枚撮りましょうよ!」
「僕が育てました、ってやつ!?いいね~~!」
「はい笑って、笑って~」
「「「スマーイル!フッフゥ~~~~~!」」」
ついには音頭を取ったマジカメモンスターに、ついにリドルの堪忍袋の緒が切れた。
「ウギギギギギギ!!!やっぱりもう我慢できない……今すぐ首をはねてやる!!!!!!!」
いつでも首をはねるのが可能になっているリドルを見て、ケイトは冷や汗を流す。
「うわやっば。リドルくんマジおこ!」
「僕が先輩たちと別れて植物園に来たときにはもう寮長とお客さんがもめてて……」
「完全に頭に血がのぼっちゃってる。これはまずいな……」
いつもならここで宥めるのだが、今のリドルの様子ではそれすらも火に油を注ぐだろう。
「……よし、デュースちゃん。オレたちでこっそり、あのお客さんたちを魔法で追い払っちゃおう」
「えっ、一般人に魔法!?いいんですか」
「いいのいいの。これは『防犯システム』だから♪」
「防犯システム……?なんのことですか」
「説明はあと!そんじゃリドルくんのためにも……リドルくんからあのお客さんを守ろうか!」
そうしてケイトはデュースと一緒に、マジカメモンスターを追い払うために魔法を使うのだった。
防犯システムという体で浮遊魔法を使ってマジカメモンスターを追い払ったデュースとケイト。
リドルはトレイとケイトに宥められ、ようやく落ち着いてきた。
「なんとか怪我をさせずに、ゲストを追い払いましたね」
「はあ、やっと迷惑な客がいなくなった。どうなることかと思ったわ……」
「一体なにがあったの?」
「それが……」
「奴らが、植物園の花壇で育てている大切な魔法植物をもぎ取っていたんだ!」
トレイが答える前に、リドルが怒り気味に答えた。
「『花が綺麗だから、髪に飾って自撮りをマジカメにアップする』なんてくだらない理由で……魔法薬を作るための貴重な植物をいったいなんだと考えているんだろう。それに……ハートの女王の法律第228条『水曜日に庭の花を摘んではならない』……これは重大な法律違反だよ!」
「確かに、勝手に花を摘むなんて常識的に考えてなしっすけど……寮長も言い方がよくないんですって。ハートの女王の法律なんて一般人は知らないっすよ」
「なんだって!?ハートの女王は偉大なるグレート・セブンの1人だよ。810条すべてと言わずとも、一般常識として100条ぐらいは覚えておくべきだ!!」
「う、うーん……」
「僕もまだ100条まで覚えてないです……」
リドルの言い分にハーツラビュル寮生たちは微妙な顔をした。
一般人にあの法律を100条まで覚えるというのは、難易度が高すぎる要求だ。
「ま、寮長がこの調子なもんで……お客さんが面白がって、寮長がキレてさらにそれがウケて……って泥沼状態」
「ゲストが相手ということもあってずいぶん辛抱はしていたよな。ただその……真面目なリドルと話を聞かないお客さんの、相性が悪すぎて……」
「なるほどね……。大変だったね、リドルくん」
「……すまない。迷惑をかけたね。みんなも、止めてくれて感謝するよ」
謝罪とお礼を言うリドルに寮生たちが頷いていると、デュースは肩を組みながら言った。
「それにしてもあいつら一体なにを考えていたんだろう。ダイヤモンド先輩、なにか知ってますか?それに防犯システムって……?」
「実はねえ、さっき先生たちとお客さんが……」
ケイトがメインストリートでの出来事を話すと、全員は納得の表情を浮かべた。
「なるほど……マジカメのことしか考えていない『マジカメモンスター』か」
「言い得て妙な名前だね。他の寮でもすぐにその呼び方が広まるだろう」
「あの怖~い先生たちがみんなで注意しても言うことを聞かない奴らがいるとはねー」
「こんなの想定外だ。先生方もさぞ慌てただろうね」
「いやあー……後出しっぽくなっちゃうけどさ、オレはこうなるんじゃないかなーって思ってたよ。ロゼッタちゃんも薄々気づいてたんじゃないかな?」
「「「え?」」」
リドルとエースの言葉に、ケイトは苦笑いながらも言った。
「いいねをもらうためには手段を問わないマジカメグラマーって、結構いるんだよ。ナイトレイヴンカレッジはハロウィーンの映える写真が撮れる場所として有名になったから……そういう問題アリなマジカメグラマーもお客さんの中には当然混ざってると思う」
「そ、そんな……いいねのためなら人に迷惑をかけてもかまわないってことですか!?」
「自分の『楽しい!』を求めるのに必死で人に迷惑かけてるとも思ってないんじゃないかな♪」
愕然とするデュースに、ケイトはいつもの調子で答える。
「不憫な交通の壁を乗り越えて、わざわざナイトレイヴンカレッジまで来てるわけでしょ?楽しんでやろう!っていう気合の入り方が違うよねー」
「そ、そんな……」
「しかも厄介なのはー……一度バズった情報は、もう止められないってこと!もちろん、純粋に『ハロウィーンを楽しみたい』ってお客さんがほとんどだとは思うけど……これからは良いお客さんだけじゃなくマジカルモンスターも増える一方だろうね」
「もしかして、今頃他の寮も……?」
「うん……。大変なことになってるんじゃないかなぁ……」
ハーツラビュルの中でマジカメに詳しいケイトの言葉を聞いて、周囲の空気が重くなるのを感じた。
その光景をガラス屋根から見ていたカラスは、そのままコロシアムのほうへ飛んで行った。