スケアリー・モンスターズ
「え……ちょ、なんかすげー真剣ムードなんですけど……」
教師たちの視線を受けて、黙り込むゲスト。
これを聞いて木から降りてくれると思った直後。
「「「さっすがナイトレイブンカレッジの先生~~!ヒュ~~~~~~~!」」」
理解できない拍手が送られた。
「な、なんだ……!?なぜ拍手をする」
「超親切~!やばい、私感動しちゃった。泣いちゃうかも」
「林檎と俺の心配してくれた感じ!?ヨッ!教師の鑑!」
「っしゃ~。んじゃ優しい先生たちのためにも……パーフェクトな写真撮ってパーフェクトな宣伝しまーす!」
「「!?」」」
全然話を理解していないゲストに、教師たちも驚きを隠せなかった。
「そうではなく、木から降りろと言っているんだ!」
「あ、さっきの超泣ける話だったんで、センセーの写真撮ってマジカメにアップしていいっすか?」
そう言ってゲストは、勝手に教師たちの写真を撮り、マジカメに投稿し始める。
「『#NRCサイコー! #優しい先生に感謝 #林檎も大切に♡ #最高のハロウィーン』……投稿!」
「センセ、超盛れてる~!ワンチャンバズりも有るかも!?っていうか後ろにいる仮装の人たちもエモじゃない?」
「わかり~!ワンチャンツーショいいすか?マジカメにアップしてぇ!」
無許可で写真を撮り、ワイワイガヤガヤと騒ぐゲストたち。
これには教師たちも困惑していた。
「すごいテンションじゃな。悪童に恐れられるトレインですらたじろいでおる」
「絶ッ……………………………………………………対に拙者に話しかけないでほしいタイプのパリピ」
「ま、全く話が通じない……。周りに迷惑をかけているという認識がないのか?このように自己中心的な者たちは見たことがない。モンスターのほうが、まだ話が通じるぞ!」
「なるほど、『モンスター』か。さっすが文系教科担当のトレイン先生。いい例え!」
トレインのたとえに、ケイトは冷めた目つきでゲストを見た。
「楽しい写真をマジカメにアップすることしか頭にない人たちだから……タグをつけるなら『#マジカメモンスター』ってとこかな」
「なかなか適切なタグ付けね、ケイト」
嘲笑を浮かべたヴィルの横で、クルーウェルは教鞭を構えながら一歩前に出た。
「なにが『#マジカメモンスター』だ。目の前にある餌のことしか考えられないとは駄犬どころか飢えた野良犬だな。俺が躾け直してやろう」
「クルーウェル先生!」
ロゼッタに名前を呼ばれ、うれしかったのか、クルーウェルはロゼッタの頭をポンポンと優しくなでた。そして、いつものように駄犬(という名の問題児)を躾ける気満々のクルーウェルを止めたのは、さっきまで頭を痛ませていたトレインだった。
「待ちなさいクルーウェル先生。教鞭を振り上げて、一体どうするつもりだ?」
「決まっているじゃありませんか。彼らに、常識というものを教えてやるんです」
「一般人に向けて魔法を放つつもりか!?」
「ご心配いただかなくても怪我などさせませんよ」
「そういう話をしているのではない」
クルーウェルの言葉に、トレインは首を横に振った。
「魔法士が一般人に対して魔法で攻撃したと世間に知られれば、なんと言われるかわからない」
「こういうときに使わないで、なんのための魔法だ。彼らの安全のためでもあるんですよ!」
「ならば彼らが足を滑らせてから風の魔法で助けてやればいい。たとえ安全のためであっても、先に手を出したら後からなんと言いがかりをつけられるか」
「……若者を指導するのは教師の役目かと思いますが?」
「我々が指導するべきなのはナイトレイブンカレッジの生徒だけです。とにかく、我が校の名に傷をつけるような軽率な真似はやめていただきたい」
「チッ。トレイン先生は本当に頭が固い……」
「今なにか、言いましたか?」
「いいえ?なにも申しておりません」
何故か一触即発は雰囲気を出し始めるクルーウェルとトレイン。
それを見たバルガスが腕を組む。
「ふうむ。トレイン先生とクルーウェル先生はいつも意見が衝突するなあ」
「ベテランでコンサバなトレイン先生と若くてヤンチャなクルーウェル先生……バトルが起きても致し方なしだね」
「どちらもいい先生だとは思うが……2人とも、重要なことを見落としている!」
「ん?」
「大切なのは……筋肉!ここは筋肉で話をつければいい!」
「「「……」」
バルガスの言葉に全員が黙り込むが、同じ感想を抱いていた。
――今、筋肉関係ねぇだろ、と。
「先生たちも対応しようがなくて困っているみたいだわ。学園長、一体どうするの?」
「えーっと……え、え―――っと……先生たち、落ち着いて!それから……木に登っている貴方たちもです!」
数秒ほど長く思考したクロウリーが、教師とゲストに向けて声をかけた。
「早く木から降りてください!さもないと…………学園の防犯システムが、貴方がたを『危険人物』と認定して、学園の外に放り出します!」
「防犯システム……?」
「そんなものありましたか?」
「聞いてないですよ…」
教師たちの視線を受けて、黙り込むゲスト。
これを聞いて木から降りてくれると思った直後。
「「「さっすがナイトレイブンカレッジの先生~~!ヒュ~~~~~~~!」」」
理解できない拍手が送られた。
「な、なんだ……!?なぜ拍手をする」
「超親切~!やばい、私感動しちゃった。泣いちゃうかも」
「林檎と俺の心配してくれた感じ!?ヨッ!教師の鑑!」
「っしゃ~。んじゃ優しい先生たちのためにも……パーフェクトな写真撮ってパーフェクトな宣伝しまーす!」
「「!?」」」
全然話を理解していないゲストに、教師たちも驚きを隠せなかった。
「そうではなく、木から降りろと言っているんだ!」
「あ、さっきの超泣ける話だったんで、センセーの写真撮ってマジカメにアップしていいっすか?」
そう言ってゲストは、勝手に教師たちの写真を撮り、マジカメに投稿し始める。
「『#NRCサイコー! #優しい先生に感謝 #林檎も大切に♡ #最高のハロウィーン』……投稿!」
「センセ、超盛れてる~!ワンチャンバズりも有るかも!?っていうか後ろにいる仮装の人たちもエモじゃない?」
「わかり~!ワンチャンツーショいいすか?マジカメにアップしてぇ!」
無許可で写真を撮り、ワイワイガヤガヤと騒ぐゲストたち。
これには教師たちも困惑していた。
「すごいテンションじゃな。悪童に恐れられるトレインですらたじろいでおる」
「絶ッ……………………………………………………対に拙者に話しかけないでほしいタイプのパリピ」
「ま、全く話が通じない……。周りに迷惑をかけているという認識がないのか?このように自己中心的な者たちは見たことがない。モンスターのほうが、まだ話が通じるぞ!」
「なるほど、『モンスター』か。さっすが文系教科担当のトレイン先生。いい例え!」
トレインのたとえに、ケイトは冷めた目つきでゲストを見た。
「楽しい写真をマジカメにアップすることしか頭にない人たちだから……タグをつけるなら『#マジカメモンスター』ってとこかな」
「なかなか適切なタグ付けね、ケイト」
嘲笑を浮かべたヴィルの横で、クルーウェルは教鞭を構えながら一歩前に出た。
「なにが『#マジカメモンスター』だ。目の前にある餌のことしか考えられないとは駄犬どころか飢えた野良犬だな。俺が躾け直してやろう」
「クルーウェル先生!」
ロゼッタに名前を呼ばれ、うれしかったのか、クルーウェルはロゼッタの頭をポンポンと優しくなでた。そして、いつものように駄犬(という名の問題児)を躾ける気満々のクルーウェルを止めたのは、さっきまで頭を痛ませていたトレインだった。
「待ちなさいクルーウェル先生。教鞭を振り上げて、一体どうするつもりだ?」
「決まっているじゃありませんか。彼らに、常識というものを教えてやるんです」
「一般人に向けて魔法を放つつもりか!?」
「ご心配いただかなくても怪我などさせませんよ」
「そういう話をしているのではない」
クルーウェルの言葉に、トレインは首を横に振った。
「魔法士が一般人に対して魔法で攻撃したと世間に知られれば、なんと言われるかわからない」
「こういうときに使わないで、なんのための魔法だ。彼らの安全のためでもあるんですよ!」
「ならば彼らが足を滑らせてから風の魔法で助けてやればいい。たとえ安全のためであっても、先に手を出したら後からなんと言いがかりをつけられるか」
「……若者を指導するのは教師の役目かと思いますが?」
「我々が指導するべきなのはナイトレイブンカレッジの生徒だけです。とにかく、我が校の名に傷をつけるような軽率な真似はやめていただきたい」
「チッ。トレイン先生は本当に頭が固い……」
「今なにか、言いましたか?」
「いいえ?なにも申しておりません」
何故か一触即発は雰囲気を出し始めるクルーウェルとトレイン。
それを見たバルガスが腕を組む。
「ふうむ。トレイン先生とクルーウェル先生はいつも意見が衝突するなあ」
「ベテランでコンサバなトレイン先生と若くてヤンチャなクルーウェル先生……バトルが起きても致し方なしだね」
「どちらもいい先生だとは思うが……2人とも、重要なことを見落としている!」
「ん?」
「大切なのは……筋肉!ここは筋肉で話をつければいい!」
「「「……」」
バルガスの言葉に全員が黙り込むが、同じ感想を抱いていた。
――今、筋肉関係ねぇだろ、と。
「先生たちも対応しようがなくて困っているみたいだわ。学園長、一体どうするの?」
「えーっと……え、え―――っと……先生たち、落ち着いて!それから……木に登っている貴方たちもです!」
数秒ほど長く思考したクロウリーが、教師とゲストに向けて声をかけた。
「早く木から降りてください!さもないと…………学園の防犯システムが、貴方がたを『危険人物』と認定して、学園の外に放り出します!」
「防犯システム……?」
「そんなものありましたか?」
「聞いてないですよ…」