スケアリー・モンスターズ
私は、メインストリートを歩いていた。
メインストリートのカボチャ細工やキャンドル、オーナメントはとても綺麗で、まるで遊園地みたいだ。
(最も、私は遊園地なんか一度も行ったことないけど……)
お父様とお母様と行く約束をした矢先に亡くなってしまったし、引き取られてからも行ったことはなかった。
「ん?あれって、エペル君とリドル君……?」
笑顔で談笑している2人に、私は頭を下げながら近寄った。
「ハッピーハロウィーン、エペル君、リドル君」
エペル「あ、ロゼッタサン!ハッピーハロウィーン」
リドル「ハッピーハロウィーン、ロゼッタ」
「ところで、2人は何をしているんですか?」
エペル「大したことじゃないですよ。こんな派手なハロウィーン、地元じゃなかったって話をしてたんだす。」
リドル「しかし、キミの地元はあまりハロウィーンを祝わないのかい?ツイステッドワンダーランドでは珍しい」
エペル「なにもしないわけではないんです。家でのパーティーは毎年やっていました。でも、ハロウィーンを祝うといよりは林檎を収穫する前の景気づけ、って感じですね」
「収穫祭の前夜祭みたいな感じかしら?」
エペル「それに近いかもしれません」
私のたとえにエペル君は頷いた。
エペル「近所の人や親戚で40人くらいがうちに集まって賑やか……というか、やかましくなっちゃうんですけど」
「私はとっても素敵だと思うけど」
そんな会話をした直後、リドル先輩が目を見開いた。
リドル「ホームパーティーでそんなに人数が集まるのかい!?テーブルセットが大変そうだ……」
エペル「いえ、机に料理をざっと並べて、みんな立ったまま食べるから大した準備はしてないです」
リドル「なるほど、立食形式のパーティーということか」
リドル「言われてみればそう……なのかな?基本的には、おばあさまが大皿に作ってくれた料理をみんなでつつくんですけど……」
「人が多いと、そっちの方が楽よね。」
リドル「えっ、1つの皿からみんなで食べる!?それは1人分の寮が決まってないということかい?そんなのどれくらい食べるのが正しいマナーなのかわからないじゃないか……!」
エペル君の話を聞いて、リドル君は逐一反応する。
もしかしてリドル君……カルチャーショック受けてる?
エペル「大丈夫ですよ!みんな大雑把だから、そういう細かいことは気にせずわいわい食べるので」
「好きな料理を好きなだけ食べる…これがマナーなの。」
リドル「そ、そうなのかい……?」
エペル「あ、そうだ!あの話をするのを忘れてた」
リドル君が困惑している間も、エペル君は話を進める。
エペル「おばあさまはハロウィーンには必ず、カボチャのプディングを大鍋いっぱいに作ってくれるんですけど、これが数ある料理の中でも……だんげ、めぇ!!」
リドル「た、たんげ……?今なんて?」
「エペル君、訛ってるわ」
エペル「あっ!すみません、つい興奮して地元の言葉が……」
リドル「ああ、郷里の言葉だったのか……それにしても、キミはずいぶん楽しそうに実家の話をするものだ。故郷のことが、本当に好きなんだね」
エペル「……はい。うちの地元は本当にいいところなんです。食べ物は美味しいし、人もおおらかで。今年のハロウィーンは実家の宴会に参加できないのが実はちょっと残念……かな。
でも、ナイトレイブンカレッジのハロウィーンが僕にとっては新鮮で楽しくて……。どっちかを選ぶのは難しい、かな」
エペル「ふふ。贅沢な悩みだね」
「そうね。でも、エペル君らしい悩みだと思うわ」
実家もナイトレイブンカレッジ楽しいと思って、どっちも選べない。
なんともエペル君らしいと思った。
エペル「あ、そうだ。リドルサンとロゼッタサンの実家だと、どんな風にハロウィーンを過ごすんですか?」
リドル「ボクか……うちはイベントに乗り気な家ではなかったから、特別なことはしていないね。それに、こういった催事の日に勝手に出歩くことは許されていなかった。仮装をして、お菓子のバケツを手に歩いている子たちが少しだけ羨ましかったよ」
リドル君の話を聞いて、彼の母親のことを思い出す。
確かに、あの人なら一歩外に出たたけで怒鳴り散らすのが簡単に想像できるわ……。
エペル「えぇっ……それは……すごく厳しいお家だったの、かな?でも、学園では家のことは気にしなくていい、ですよね?せっかくだから、今までのぶんもここでは自由に楽しみましょう!」
リドル「……悪くない提案だね。前向きに検討しよう」
エペル「ロゼッタサンの家もリドルサンと同じ感じなのかな?」
「私は・・・・あんまり覚えていないの。パーティーをしたことは覚えてるんだけど…」
2人はどこか困った顔になった。
「そんな顔させてしまってごめんなさいね、ここに来てからの思い出はたくさんあるから…大丈夫よ」
謝罪した私に2人が慌てて謝ってくれたので、すぐに元に戻った。
リドル「さて、ボクはそろそろ寮へ戻るとするよ」
エペル「はい……あ、そうだ」
立ち去ろうとするリドル君に向けて、エペル君は笑顔で言った。
エペル「リドルサンもいつかうちの地元に遊びに来てください!ナイトレイブンカレッジからはちょっと遠いですけど親戚総出でおもてなししますよ!みんなでおばあさまのうまい料理をつつきましょう!」
リドル「そ、そうだね。……考えておくよ……」
エペル「はい、楽しみにしてます!!」
そう言って、リドル君は今度こそメインストリートから立ち去る。
横で聞いていた私は、エペル君の顔を覗き込みながら言った。
「その地元のパーティーには、私は呼んでくれないの?」
エペル「あ、ごめんなさい!忘れてたわけじゃないんです。もちろん、ロゼッタサンたちも大歓迎ですよ!」
「ふふっ、ありがとう。そうだ、これから一緒にハロウィーンを見て回らない?。イグニハイドのプロジェクションマッピング、昨日と違うみたいよ」
エペル「そうなんですか?行ってみたいです!」
私の話に食いついたエペル君と一緒に、イグニハイドのスタンプラリー会場である図書室へと向かう。
それを鏡舎に向かう途中のリドル君が、微笑ましそうに見つめていたことに気付くことはなかった。
メインストリートのカボチャ細工やキャンドル、オーナメントはとても綺麗で、まるで遊園地みたいだ。
(最も、私は遊園地なんか一度も行ったことないけど……)
お父様とお母様と行く約束をした矢先に亡くなってしまったし、引き取られてからも行ったことはなかった。
「ん?あれって、エペル君とリドル君……?」
笑顔で談笑している2人に、私は頭を下げながら近寄った。
「ハッピーハロウィーン、エペル君、リドル君」
エペル「あ、ロゼッタサン!ハッピーハロウィーン」
リドル「ハッピーハロウィーン、ロゼッタ」
「ところで、2人は何をしているんですか?」
エペル「大したことじゃないですよ。こんな派手なハロウィーン、地元じゃなかったって話をしてたんだす。」
リドル「しかし、キミの地元はあまりハロウィーンを祝わないのかい?ツイステッドワンダーランドでは珍しい」
エペル「なにもしないわけではないんです。家でのパーティーは毎年やっていました。でも、ハロウィーンを祝うといよりは林檎を収穫する前の景気づけ、って感じですね」
「収穫祭の前夜祭みたいな感じかしら?」
エペル「それに近いかもしれません」
私のたとえにエペル君は頷いた。
エペル「近所の人や親戚で40人くらいがうちに集まって賑やか……というか、やかましくなっちゃうんですけど」
「私はとっても素敵だと思うけど」
そんな会話をした直後、リドル先輩が目を見開いた。
リドル「ホームパーティーでそんなに人数が集まるのかい!?テーブルセットが大変そうだ……」
エペル「いえ、机に料理をざっと並べて、みんな立ったまま食べるから大した準備はしてないです」
リドル「なるほど、立食形式のパーティーということか」
リドル「言われてみればそう……なのかな?基本的には、おばあさまが大皿に作ってくれた料理をみんなでつつくんですけど……」
「人が多いと、そっちの方が楽よね。」
リドル「えっ、1つの皿からみんなで食べる!?それは1人分の寮が決まってないということかい?そんなのどれくらい食べるのが正しいマナーなのかわからないじゃないか……!」
エペル君の話を聞いて、リドル君は逐一反応する。
もしかしてリドル君……カルチャーショック受けてる?
エペル「大丈夫ですよ!みんな大雑把だから、そういう細かいことは気にせずわいわい食べるので」
「好きな料理を好きなだけ食べる…これがマナーなの。」
リドル「そ、そうなのかい……?」
エペル「あ、そうだ!あの話をするのを忘れてた」
リドル君が困惑している間も、エペル君は話を進める。
エペル「おばあさまはハロウィーンには必ず、カボチャのプディングを大鍋いっぱいに作ってくれるんですけど、これが数ある料理の中でも……だんげ、めぇ!!」
リドル「た、たんげ……?今なんて?」
「エペル君、訛ってるわ」
エペル「あっ!すみません、つい興奮して地元の言葉が……」
リドル「ああ、郷里の言葉だったのか……それにしても、キミはずいぶん楽しそうに実家の話をするものだ。故郷のことが、本当に好きなんだね」
エペル「……はい。うちの地元は本当にいいところなんです。食べ物は美味しいし、人もおおらかで。今年のハロウィーンは実家の宴会に参加できないのが実はちょっと残念……かな。
でも、ナイトレイブンカレッジのハロウィーンが僕にとっては新鮮で楽しくて……。どっちかを選ぶのは難しい、かな」
エペル「ふふ。贅沢な悩みだね」
「そうね。でも、エペル君らしい悩みだと思うわ」
実家もナイトレイブンカレッジ楽しいと思って、どっちも選べない。
なんともエペル君らしいと思った。
エペル「あ、そうだ。リドルサンとロゼッタサンの実家だと、どんな風にハロウィーンを過ごすんですか?」
リドル「ボクか……うちはイベントに乗り気な家ではなかったから、特別なことはしていないね。それに、こういった催事の日に勝手に出歩くことは許されていなかった。仮装をして、お菓子のバケツを手に歩いている子たちが少しだけ羨ましかったよ」
リドル君の話を聞いて、彼の母親のことを思い出す。
確かに、あの人なら一歩外に出たたけで怒鳴り散らすのが簡単に想像できるわ……。
エペル「えぇっ……それは……すごく厳しいお家だったの、かな?でも、学園では家のことは気にしなくていい、ですよね?せっかくだから、今までのぶんもここでは自由に楽しみましょう!」
リドル「……悪くない提案だね。前向きに検討しよう」
エペル「ロゼッタサンの家もリドルサンと同じ感じなのかな?」
「私は・・・・あんまり覚えていないの。パーティーをしたことは覚えてるんだけど…」
2人はどこか困った顔になった。
「そんな顔させてしまってごめんなさいね、ここに来てからの思い出はたくさんあるから…大丈夫よ」
謝罪した私に2人が慌てて謝ってくれたので、すぐに元に戻った。
リドル「さて、ボクはそろそろ寮へ戻るとするよ」
エペル「はい……あ、そうだ」
立ち去ろうとするリドル君に向けて、エペル君は笑顔で言った。
エペル「リドルサンもいつかうちの地元に遊びに来てください!ナイトレイブンカレッジからはちょっと遠いですけど親戚総出でおもてなししますよ!みんなでおばあさまのうまい料理をつつきましょう!」
リドル「そ、そうだね。……考えておくよ……」
エペル「はい、楽しみにしてます!!」
そう言って、リドル君は今度こそメインストリートから立ち去る。
横で聞いていた私は、エペル君の顔を覗き込みながら言った。
「その地元のパーティーには、私は呼んでくれないの?」
エペル「あ、ごめんなさい!忘れてたわけじゃないんです。もちろん、ロゼッタサンたちも大歓迎ですよ!」
「ふふっ、ありがとう。そうだ、これから一緒にハロウィーンを見て回らない?。イグニハイドのプロジェクションマッピング、昨日と違うみたいよ」
エペル「そうなんですか?行ってみたいです!」
私の話に食いついたエペル君と一緒に、イグニハイドのスタンプラリー会場である図書室へと向かう。
それを鏡舎に向かう途中のリドル君が、微笑ましそうに見つめていたことに気付くことはなかった。