スケアリー・モンスターズ
イグニハイド寮スタンプラリー会場の図書室。
パンプキン騎士のプロジェクションマッピングが映し出されている中、一組のカップルはうっとりと見とれていた。
「ねえ見て、とっても綺麗なイルミネーション……幻想的にライトがゆらいでて、すごくロマンチック」
「小鳥の声が聞こえてくる。本当に森の中にいるみたいで、リラックスできるね。あっ、今本棚に映ってるカボチャのツル、ハート型になってない?」
「え、どこどこ?……ほんとだ、かわいい~~!」
きゃっきゃとはしゃぎながらプロジェクションマッピングを楽しむカップル。
「……」
その光景を、イデアは憮然とした態度で見ていた。
イデア「ロマンチック?ハート?かわいい?霧のたちこめる森のどごが『ロマンチック』で『かわいい』んだ?リスペクト元のホラー映画『パンプキン・ホロウ』と同じように、どう見ても『怖い』だろ!
ツルの形はたまたまハートっぽく見えただけで意図してるわけじゃないし……そもそもイルミネーションじゃないですし。プロジェクションマッピングですし」
自分が予想していた反応と違い、イデアの機嫌が悪くなる。
しかし、カップルたちはさらに楽しそうな声を上げる。
「わあ!ジャック・オ・ランタンが飛び出してきた」
「愛嬌があってかわいい~~~!」
イデア「出たまた『かわいい』!パリピはなにを見てもそう言って盛り上がる!!そんなに『かわいい』が好きなら本に溢れた暗い図書館に来るんじゃなく……みんなで自慢のお料理持ち寄って、お洒落なホームパーティーでも開けばいいんですよ!」
カップルから離れた場所でぐちぐちぐちぐち文句を言うイデア。
そんな彼を、ジェイドと一緒に行動していたアズールは呆れた表情で見ていた。
ジェイド「イデアさん、あの方々になにか恨みがおありなんですか?」
アズール「恨みというより妬みでしょうね」
イデア「は?妬んでなんかいないですけど?僕の志高いプロジェクションマッピングを見せるには、もったいないって言ってるだけ。どうせ最後に僕が仮装で登場したって、奴らは……『カボチャのゴーストちゃんだ~~かわいい~~♡』……って言うんですよ!」
イデアのきゃぴっとした声真似に一瞬絶句するも、それが実現する可能性は高そうだということは理解できた。
アズール「あながち否定もできませんが……」
イデア「でしょ?こんなの『パンプキン・ホロウ』への侮辱だ!もしもうちのハロウィーンの噂だけ聞いた人に……『へえ、『パンプキン・ホロウ』ってかわいいんだ♡』なんて思われたら……!拙者原作クラッシャーではないですか!!!そんな大罪を犯すぐらいなら、いっそプロジェクションマッピングを中止したほうがマシ!」
「「中止!?」」
まさかの爆弾宣言に、アズールもジェイドも目を見開く。
しかしイデアの目を見て、彼は本気だと2人は察した。
アズール「今年のハロウィーンは人が増えたのでなにか起こるんじゃないかとは思いましたが……」
ジェイド「念の為に確認しにきて正解でしたね」
オルト「アズール・アーシェングロットさん。ジェイド・リーチさん。わざわざ兄さんの様子を見にきてくれてありがとう。心配してくれたんだね!」
アズール「もちろんですよ!」
オルトの登場にアズールが笑顔でそう言うと、ジェイドは尋ねる。
ジェイド「イデアさんはああ仰っていますま……オルトくんはどうされるんですか?」
オルト「うーん。兄さんには言ってないんだけどさ……実は僕、ハロウィーンのことそんなに大好きってわけじゃないんだ。兄さんとの思い出は欲しいけど……兄さんが嫌だって言うなら無理しなくてもいいかなって思ってる」
オルトからのまさかの真実と思いを聞かされた2人は、神妙な顔つきで黙り込む。
オルト「プロジェクションマッピングがなくてもスタンプラリーはできるから、みんなに迷惑はかけないし……今年は、僕と兄さんは部屋でのんびりハロウィーンを楽しむことにするよ」
アズール「そんなのいけません!」
「「えっ?」」
アズールからの否定に、シュラウド兄弟は声を上げた。
オルト「あ、アズール・アーシェングロットさん?急に拳を握りしめてどうしたの?」
アズール「悲しいことを言わないでください……せっかくのハロウィーンじゃないですか。これまでイデアさんが運営委員として一生懸命頑張ってきたのを、僕もジェイドも知っています。それをなかったことにするなんて勿体な……いえ、とても心が痛む」
イデア「今、勿体ないって言おうとしたよね?」
アズール「僕はナイトレイブンカレッジの生徒全員でハロウィーンを楽しみたいんです」
パンプキン騎士のプロジェクションマッピングが映し出されている中、一組のカップルはうっとりと見とれていた。
「ねえ見て、とっても綺麗なイルミネーション……幻想的にライトがゆらいでて、すごくロマンチック」
「小鳥の声が聞こえてくる。本当に森の中にいるみたいで、リラックスできるね。あっ、今本棚に映ってるカボチャのツル、ハート型になってない?」
「え、どこどこ?……ほんとだ、かわいい~~!」
きゃっきゃとはしゃぎながらプロジェクションマッピングを楽しむカップル。
「……」
その光景を、イデアは憮然とした態度で見ていた。
イデア「ロマンチック?ハート?かわいい?霧のたちこめる森のどごが『ロマンチック』で『かわいい』んだ?リスペクト元のホラー映画『パンプキン・ホロウ』と同じように、どう見ても『怖い』だろ!
ツルの形はたまたまハートっぽく見えただけで意図してるわけじゃないし……そもそもイルミネーションじゃないですし。プロジェクションマッピングですし」
自分が予想していた反応と違い、イデアの機嫌が悪くなる。
しかし、カップルたちはさらに楽しそうな声を上げる。
「わあ!ジャック・オ・ランタンが飛び出してきた」
「愛嬌があってかわいい~~~!」
イデア「出たまた『かわいい』!パリピはなにを見てもそう言って盛り上がる!!そんなに『かわいい』が好きなら本に溢れた暗い図書館に来るんじゃなく……みんなで自慢のお料理持ち寄って、お洒落なホームパーティーでも開けばいいんですよ!」
カップルから離れた場所でぐちぐちぐちぐち文句を言うイデア。
そんな彼を、ジェイドと一緒に行動していたアズールは呆れた表情で見ていた。
ジェイド「イデアさん、あの方々になにか恨みがおありなんですか?」
アズール「恨みというより妬みでしょうね」
イデア「は?妬んでなんかいないですけど?僕の志高いプロジェクションマッピングを見せるには、もったいないって言ってるだけ。どうせ最後に僕が仮装で登場したって、奴らは……『カボチャのゴーストちゃんだ~~かわいい~~♡』……って言うんですよ!」
イデアのきゃぴっとした声真似に一瞬絶句するも、それが実現する可能性は高そうだということは理解できた。
アズール「あながち否定もできませんが……」
イデア「でしょ?こんなの『パンプキン・ホロウ』への侮辱だ!もしもうちのハロウィーンの噂だけ聞いた人に……『へえ、『パンプキン・ホロウ』ってかわいいんだ♡』なんて思われたら……!拙者原作クラッシャーではないですか!!!そんな大罪を犯すぐらいなら、いっそプロジェクションマッピングを中止したほうがマシ!」
「「中止!?」」
まさかの爆弾宣言に、アズールもジェイドも目を見開く。
しかしイデアの目を見て、彼は本気だと2人は察した。
アズール「今年のハロウィーンは人が増えたのでなにか起こるんじゃないかとは思いましたが……」
ジェイド「念の為に確認しにきて正解でしたね」
オルト「アズール・アーシェングロットさん。ジェイド・リーチさん。わざわざ兄さんの様子を見にきてくれてありがとう。心配してくれたんだね!」
アズール「もちろんですよ!」
オルトの登場にアズールが笑顔でそう言うと、ジェイドは尋ねる。
ジェイド「イデアさんはああ仰っていますま……オルトくんはどうされるんですか?」
オルト「うーん。兄さんには言ってないんだけどさ……実は僕、ハロウィーンのことそんなに大好きってわけじゃないんだ。兄さんとの思い出は欲しいけど……兄さんが嫌だって言うなら無理しなくてもいいかなって思ってる」
オルトからのまさかの真実と思いを聞かされた2人は、神妙な顔つきで黙り込む。
オルト「プロジェクションマッピングがなくてもスタンプラリーはできるから、みんなに迷惑はかけないし……今年は、僕と兄さんは部屋でのんびりハロウィーンを楽しむことにするよ」
アズール「そんなのいけません!」
「「えっ?」」
アズールからの否定に、シュラウド兄弟は声を上げた。
オルト「あ、アズール・アーシェングロットさん?急に拳を握りしめてどうしたの?」
アズール「悲しいことを言わないでください……せっかくのハロウィーンじゃないですか。これまでイデアさんが運営委員として一生懸命頑張ってきたのを、僕もジェイドも知っています。それをなかったことにするなんて勿体な……いえ、とても心が痛む」
イデア「今、勿体ないって言おうとしたよね?」
アズール「僕はナイトレイブンカレッジの生徒全員でハロウィーンを楽しみたいんです」