終わりの始まり

ロゼッタSide

仕事のことをどうするか決め、はや1週間。私は、両立するための方法を模索し、ようやく慣れてきました。

私は、今日、重大なことがあるため学園の仕事を速やかに終わらせると、鏡の間に行きました。熱砂の国に行くためです。重大なこととは、ルシファー家の判決を言い渡されるということ。これまでの裁判で、かたくなに罪を認めようとしなかったらしいのですが、証拠がそろいすぎているため、今日判決が下されることになったのでした。鏡の間に着くとお義父様がいました。

「お義父様がこんなところに来るなんて、仕事に不備があったのですか?」

クロウリー「仕事はいつも通り完璧でしたよ。私は裁判に参加できませんから、ここでお見送りをしようと。私優しいので。気を付けていってらっしゃい。」

何だ。そういうことだったのね。


「はい。行ってきます。」

私はそういうと鏡の中を通り熱砂の国へ行った。

~熱砂の国~

私が到着すると、裁判の大まかな準備ができていたらしく、私の準備が整い次第始めるということだった。私のお手伝いさんは、私が生まれる前からシャーティー家で働いていたらしいが、お父様とお母様が殺された後、ルシファー家に全員奴隷のように扱われていたが取り戻した。

ジンジャー「お嬢様、これですべてが終わるのですね。」

服も着替え、準備ができたとき、私の乳母であるジンジャーがそう私に話しかけてきた。

「ええ、そうね。私が、いなくなってから、あなた達には不便をかけたわ。本当にごめんなさい。私に仕えたくないのなら…」

私のこの言葉をさえぎるようにしてジンジャーはこう言った。

ジンジャー「言葉をさえぎってごめんなさい。ですが、お嬢様のせいではありません。すべてはあの逆賊がしたこと。私たちは再びお嬢様にお仕えできることを、私含め全員が誇りに思っておりますよ。」

「本当?」

今ここにいるお手伝いさん全員が、私の言葉にうなづく。そんな風に思われていたとは思わず、泣きそうになる。

ジンジャー「ええ。本当です。お嬢様、泣かないでください。これから、王に会うのですから、そのような顔をなされていたら心配なさいますよ。」

「そうね・・・ありがとう。皆。さあ、行きましょう。」

かつて奴隷のように扱われていた彼女たちのためにも私がしっかりしないと。そう覚悟を決め、裁判の始まりを迎えた。

ヘドラは最後まで認めようとしない。貴族たちからはブーイングの嵐だ。静粛にするよう促されようやく静かになった。判決は王様が言うのではなく、その側近が言うのが決まりだ。静かになったところでその方が発言した。

王の側近「ここにいる、罪人ヘドラ・ルシファーは前回までの裁判で分かるように、数々の罪を起こした。よって、正式に貴族の権利を剥奪し、処刑する。処刑執行までは、他の誰とも接触できぬよう執行部屋に入れておく。連行せよ。」

ヘドラ「お、お待ち下さい、陛下!!私は何もやっておりません。」

あれだけのことをやっていればそうなるのも無理はない。それなのに、まだ自分はやっていないといい、命乞いをしようとする。どこまであくどい人なのと思っていたとき、王が発言した。

熱砂の国の王「其方の言い訳など聞きたくはない。」

普段は優しい王様の冷たく、威厳のある声にヘドラは黙り込んだ。そして連れていかれた。着々と罪を言い渡されるルシファー家の人たち。次はアリアドネの番だ。

アリアドネは、おぼつかない足取りで歩いている。あの子は私に毒薬を飲ませ捕まった以降、精神状態が不安定だ。裁判でも、有意義な答弁ができていないと聞く。

王の側近「ここにいる、罪人アリアドネ・ルシファーは、ここにいらっしゃるロゼッタ・シャーティー様に成りすまし生活を送っていた。加えて、猛毒な毒薬でロゼッタ様を暗殺しようとした張本人である。よって、この女を平民とし、幽閉することとする。」

本当は、アリアドネも処刑されるはずだった。だけど、私が処刑にならないよう説得した。精神状態を安定させるためにもそのような措置を取った方がいいと王様も納得してくださった。

メリッサ『すべてが終わったわね。』

『うん、そうだね。』

この事件は大きなニュースとなり、裁判の結果はすぐに報道された。生徒たちも見ていたのか帰ってきたら、労いの言葉をかけてくる生徒もいた。お義父様は、また号泣しながら、良かったですね。と言ってくれた。

ようやくすべてが終わり、今まで止まっていた”ロゼッタ”としての時間が動き始めたような気がした。
17/22ページ
スキ