終わりの始まり

ロゼッタSide

3日間の滞在を終え、学園に帰ってきました。鏡の間に帰ってくるとそこには、レオナさんがいました。

レ「おかえり、ロゼッタ。」

「ただいま帰りました。」

レオナさんたちは授業があるので、2日目に帰ってしまいました。ですから会うのは1日ぶりです。帰らないと駄々をこねていたレオナさんが懐かしい。最終的には、ラギーさんに引きずられながら帰っていきましたが…
その光景を懐かしく思っていたら、レオナさんが”ン”といって腕を広げた。その中に私は勢いよく飛び込み・・・

「大好きです。レオナさん。」

こう言った。

レ「やけに素直じゃねぇか。」

1日会えないだけで寂しかったとは言いにくくて、誤魔化すようにレオナさんにギュッと抱き着いていると、お義父様が現れた。

クロウリー「やあ、青春はいつ見てもいいものですねえ。」

「お義父様!!」

私は恥ずかしさのあまり隠れようとするがレオナさんは離してくれない。レオナさんはお義父様に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で舌打ちをした。

クロウリー「あなたの部屋を元通りに直しました、といいたいところなんですがね。」

「何か問題が?」

クロウリー「キングスカラー君が『俺の部屋に住まわせろ』っていうものですから。部屋を元に戻す方が時間がかかりそうだったので、キングスカラー君の意見を採用することにしました。それと、あなたの仕事のことについては明日話し合いましょう。それでは私はこれで。」

「お、お義父様。待って下さ…ってもういない・・・」

お父様は言いたいことだけさらっというと。足早に去っていった。

レ「行くぞ。」

レオナさんはそれだけ言うと、私の荷物が入っていたバッグを軽々と持ち上げ、サバナクローの寮の鏡を抜けていった。ここまで言ったら覚悟を決めようと、私も鏡を通った。

~サバナクロー寮~
サバナ寮生「おかえりなさい、姐さん」

私が返ってきた時間はもう午後の授業は終わっていたし、寮生たちは帰ってきてるだろうとは思ってたけれど…サバナクロー寮生全員が整列して、こう言った。驚きを隠せない。

「ね、姐さん!?どうしてそんな呼び方を?」

ラ「ロゼッタちゃんが今まで通り接してほしいって言われて呼び方どうするかってなったときに、ちょうどいいタイミングでレオナさんの正式な婚約者だって発表されたんスよ。俺たち王様の”番”ってことで姐さん呼びになったんス。」

「そ、そんなことが・・・」

ジャック「サバナクローのメンツは大体そう呼ぶと思います。レオナ先輩の了承も得てます。」

納得するのは時間がかかるがそう呼ぶと決めたのならそれを尊重したいとだけ告げて私はレオナさんの部屋に向かった。

「レオナさん、入りますよ」

レ「あァ。」

「サバナクローで生活するっていうのも驚きましたけど、寮生の皆さんが”姐さん”って呼ぶなんてもっと驚きです。」

レオナさんはベッドに座っていたので私もその横に座り、驚いたことを隠さず話した。

レ「俺の番なんだ。お前の名前を呼ぶのは俺だけでいい。」

もしかして、他の寮生さんたちに私の名前を呼ばれたくないから、あの呼び方を許可したの?

「・・・嫉妬ですか?」

レ「悪いかよ。」

レオナさんは恥ずかしがっているのか顔が赤い。そんな顔さえも愛しいと思ってしまう私はお義父様で言う”青春している”かもしれない。。私は、そんな風に思ってくれていたことが嬉しくて、レオナさんに抱き着いてこう言った。

「こんなに大切に思ってくれて嬉しいです。姐さん呼びには驚きましたけど。馴れていきますね。」

そんなこんなで、サバナクロー寮で寝泊まりをし、私の仕事をどうするか決めるため、学園長室へ向かう。

クロウリー「ロゼッタ、あなたはどうしたいですか?あなたの意見を尊重します。」

「わ、私は…」

どうしようかと悩んでいたとき、メリッサ達が出てきた。

メリッサ『あの、獅子の子が卒業するまではいればいいんじゃない?』

ウィンディーネ『メリッサの意見に賛成しますわ。何が起こってもあの方なら私たちの愛しい子を守ってくれるでしょうし。』

ノーム『じゃが、決定権はお主にある。』

メリッサ『あのカラスの言うとおり、私たちはあなたの意見を尊重するわよ。いつだって私たちはあなたの味方。』

みんなそんな風に思ってくれていたなんて…でもこれで私はどうしたいか覚悟が決まった。

「お義父様、私は、レオナさんがこの学園を卒業なさるまで、寮母の仕事と貴族の仕事を両立したいです。」

クロウリー「わかりました。あなたに負担がかからないように、寮母の仕事は極力減らすようにします。あなたがしたいことをおやりなさい。精霊たちの言うとおり、私たちはいつでもあなたの味方なんですよ。」

「お義父様、ありがとう。」

貴族の仕事はやらなくてもいいと反対されるんじゃないかと思っていた。しかも優しい言葉をかけてくれた。嬉しさが増して、涙がこぼれる。悲しい涙なんかじゃない。嬉し涙だ。

メリッサ『カラス、愛し子のことを泣かせたわね。』

クロウリー「え!?私の責任ですか!?」

「ふふふ。」

そのやり取りが微笑ましくてつい笑ってしまった。私が笑うと皆もつられるように笑い、楽しい時間を過ごしたのであった。
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