終わりの始まり

アイツと同じ部屋で寝るらしい。アイツはさっきからソワソワしていやがる。

「緊張してんのか?」

ロゼッタ「す、すこし」

声が随分と震えていやがる。緊張しすぎだろ。

「お前、緊張しすぎだろ。」

ロゼッタ「す、すこしだけです」

「俺に嘘が通じると思ったか。緊張してるのがまるわかりだぜ。仔猫ちゃん。」

ロゼッタ「なんでもお見通しなんですね。その瞳は。」

「あァ、そうだ。」

ロゼッタは俺の方にもたれかかってくる。その途端、急な不安に襲われた。アイツが国に戻って陰口をたたかれたら…なんてことが頭をよぎった。

「これで、お前は正式に俺の婚約者になる。・・・俺は第2王子だ。国のヤツらがお前に悪口を言ったとしてもすべて俺のせいだ。お前は悪くない。お前にとって王宮は住みにくい環境かもしれねえ。それでも俺についてきてくれるか?」

ロゼッタは俺にもたれかかるのをやめて正面を向いた。眼はまっすぐ俺を見つめている。

ロゼッタ「そのようなこと、私は気にしません。言いたい人には言わせておけばいいんです。私にとっての王は‥いいえ、愛しているのはあなたなんです。あなたがどんな選択をしても私はそれについていきます。」

お前はいつも俺が欲しい言葉をくれるなと思っていたときアイツが自ら俺の頬にキスをした。可愛いことすんじゃねぇか。俺は物足りなくなって、唇にもキスをせがんだ。

「随分と可愛いことしてくれるじゃねぇか。こっちにはしてくれねぇのか?」

ロゼッタ「そ、それは恥ずかしいです」

恥ずかしがってる顔すら愛おしい。俺はあいつがしてくれるのを待たずして唇にキスをした。

ロゼッタ「な、な」

されると思ってなかったのか、顔が真っ赤だ。

「はっ、なんて顔してんだよ。」

俺が笑っているとロゼッタは急に眠気が来たのか、眠たそうな顔をしている。俺も眠たかったしベッドに寝かせた。

「ふぁ~。寝るぞ。」

そういってロゼッタのことを抱きかかえる。ロゼッタは相当眠たかったのかすぐ寝たみてえだ。

「ロゼッタ、いい夢を。」

お前のことは俺がぜってぇ守る。そう覚悟を決めて眠りについた。
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