終わりの始まり

監督生Side

夕方に近くなり、宴の時間がやってきました。制服だと宴にふさわしくないということで、ロゼッタさんに連れられ、衣装を選んだけど、似合っている自信がない。さっきまで、実家にいたというカリム先輩たちもやってきた。

カリム「おう、お前らその服、似合ってるぜ。」

グ「カリムのヤツ、いつもより派手なんだゾ。」

グリムが私の言いたかったことを言ってくれた。寮服の時よりも飾りが豪華だ。いくらするのか考えたら寒気がしてきた。そのあと、カリム先輩はジャミル先輩に勝手にどっか行くなと怒られていた。そんな会話をしているうちに本日の主役である、ロゼッタさんが来た。

ロゼッタ「ユウ、グリム君、こんなところにいたのね。2人ともその衣装、とてもよく似合っているわ。宴がもうすぐ始まると思うから、大広間に行きましょう。」

いつもとは違うきらびやかな服を着ているロゼッタさん。…綺麗だと思わず見とれてしまった。

ロゼッタ「ユウ?どうかした?」

「なんでもないです。行きましょう。」

私たちが大広間についたらすぐに熱砂の国の王様が来て、スカラビア寮とは格が違う壮大な宴が始まった。様々な料理が並び、大人たちはお酒を酌み交わしている。学生たちはというと、グリムはご馳走なんだゾって食べまくっている。ラギー先輩はここぞとばかりに食べまくっている。明日、食べ過ぎて調子が悪くならないといいが…。

私が遠慮しているとロゼッタさんが声をかけてくれた。

ロゼッタ「楽しんでるかしら?」

「私には縁のないものばかりで・・・どうすればいいのか・・・」

ロゼッタ「そうね。私もこんな大きな宴は久しぶりだわ。初めてこんな大きな宴に参加する人はそうなってしまうのも無理はないわね。でも、こんな経験めったにできないんだから、楽しまなきゃ。」

ロゼッタさんはすべてを吹っ切れたわけではなさそうだが、今その瞬間を楽しもうとしている。私も全力で楽しもうと思ったとき、ロゼッタさんは王様に呼び出された。

熱砂の国の王「ロゼッタはいるか?」

ロゼッタ「はい。伺います!王様が呼んでるから行ってくるわね。楽しんで!」

ロゼッタさんはそういうと去っていった。私はグリムたちが心配になったので、食べ物がある場所へと戻った。

エ「おい、グリム。それはオレが取ってきたやつだぞ。」

グ「そのままにしてある方が悪いんだゾ。」

やっぱり、食べ物のこととなるとグリムは‥‥厄介だ。

ラ「グリム君の言うとおりッスよ。食べ物の確保は弱肉強食ッス。」

エ「グリムよりもスゲー人がいた…」

デュ「ブッチ先輩、皿が凄いことになってるな。」

「ラギー先輩、レオナ先輩と一緒じゃないんですね。」

ラ「レオナさんなら…あそこッスよ。」

そっちの方を見ると、レオナ先輩は貴族のしかも女性の方に話しかけられていた。

グ「レオナのヤツ、明らかにイライラしてるんだゾ。」

ジャック「レオナ先輩の婚約者はロゼッタさんですよね?ならどうしてあんなふうになるんだ?」

ラ「レオナさんとロゼッタちゃんの婚約は秘密裏に行われたらしいッスよ~。今日発表するんじゃないッスかねぇ~。」

レオナ先輩とロゼッタさんの婚約は公にはされてなかったのか。二人とも仲がいいからてっきり公のことかと思っていた。驚いていると、王様がロゼッタさんを隣に呼び寄せる。楽器の演奏は止まり、辺りは静寂に包まれた。

熱砂の国の王「皆の者、よく聞け。我々は一つ大きな勘違いをしていた。だが、それを今日正し、元ある相応しい熱砂の国の政治を取り戻そうと思う。ここにいるロゼッタ・シャーティーに貴族の位を戻し、シャーティー家を復刻しようではないか。」

そう王様が言った瞬間、場には盛大な拍手が沸き起こった。ロゼッタさんを見るとうっすらと涙を浮かべている。だけど、婚約の話はなかったなと思っていると、王様は再び話し始めた。

熱砂の国の王「それともう一つ、言わなければいけないことがあるのお。レオナ様こちらに来てもらえるかな。」

レ「王の仰せのままに。」

レオナさんがいつもとは違うと驚く。周りを見るとエースたちもびっくりしている。

熱砂の国の王「わしとお前の父親はかつて秘密裏にレオナ様の婚約を取り付けた。その相手はここにいるロゼッタじゃ。」

そうだったのかと知らない人たちはざわざわしている。

熱砂の国の王「シャーティー家が没落したことによりその婚約は白紙に戻ったが、シャーティー家は今日復活した。其方さえよければ、婚約を正式なものにしようと思うのじゃが、いかがかな?」

レ「私は、ロゼッタを心から愛しています。その話をお引き受けいたします。」

熱砂の国の王「そうか、それならよいな。皆の者、シャーティー家の後継者であるロゼッタ・シャーティーと、夕焼けの草原の第2王子であるレオナ・キングスカラー様の婚約は今正式なものとなった。2人に拍手を!」

会場全体が幸せな雰囲気に包まれ、拍手の大喝采。宴の盛り上がりは最高潮だ。学園長はというと、号泣している。私たちはそっとしておこうと、学園長のもとを離れた。

そんな中、王様はロゼッタさんに舞を披露してほしいとお願いをした。舞?と思っていると、ロゼッタさんは、広場の中央へと移動し、踊り始めた。

その舞を踊っている間、私たちの周りには幾千もの光が光っていた。

「綺麗」

デュ「これは、一体・・」

エ「わかんねーけど、とりあえず、スゲーことはわかるな。」

そのうち声が聞こえ始めた

???『おめでとう 愛しい子』

???『祝福しましょう』

グ「ふな゛っ!?声が聞こえるんだゾ!」

ジャック「な!?この光、全部精霊なのか!?」

ラ「そうみたいッスねえ。」

その光はだんだんと羽のある小さな精霊たちに見えてきた。ここにいる全員がロゼッタさんのことを見ている。ロゼッタさんのことを見ていると私たちが見たことのある精霊が現れた。

「メリッサさん!!ウィンディーネさんもいる」

グ「あそこにはノームもいるんだゾ!」

クロウリー「久しぶりにこれを見ましたが、いつも以上に綺麗ですねぇ。」

いつの間に私たちのところへ来たのか涙声の学園長がいた。

グ「どういうことなんだゾ?」

クロウリー「あの舞は、精霊を見せ、且つ、ロゼッタが思いを乗せるとその思いに沿って精霊たちは願いをかなえる素晴らしい舞なのです。今回の場合は、ロゼッタの婚約をここつけた精霊たちが祝福の気持ちを込めてこんなにも出てきたのでしょう。普段やるときはこんなにも来ませんし。」

ロゼッタさんってこんなこともできたのか。でも精霊って…

デュ「こんなにも精霊を呼び出したら、対価はどうするんですか?」

クロウリー「このような舞で出てくる精霊は中央にいるノームたちとは違ってはるか下の級の精霊。対価を必要としないんです。」

へえ~そうだったのかと思っているとロゼッタさんの舞が終わった。その瞬間、また拍手が起こった。ロゼッタさんは笑顔で礼をすると、中央の舞台から去っていった。

宴はそのあとも、どんちゃん騒ぎだった。楽しすぎて時間を忘れるくらい楽しんだ私たちは、用意してくださった部屋に帰り、余韻に浸りながら眠りについたのだった。
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