終わりの始まり

ロゼッタSide

目が覚めてから数日が経過し、体調はすっかり良くなりました。保健室にいる間、寮ごとにお見舞いに来てくださって、とてもうれしかったです。レオナさんは、暇を見つけては私に会いに来てくれました。お話しするのがとても楽しかったです。ですが、目を覚まして一番驚いたことはジャミル君をはじめ、多くの方が敬語を使って話すことです。私が身分が高いことが判明し、敬語で話していたようでした。私は今まで通りの関係性で接したいと伝えると、ほとんどの方が敬語をやめてくれました。一番敬語をやめるのにためらっていたのはジャミル君。何とか説得したときが懐かしく感じます。

今日は体調も元通りになったということで、私が眠っている間に何があったのか、説明してもらうことにしました。学園長室には、解決するのにかかわったのであろう方々がいました。

クロウリー「貴方が眠っている間に、何があったかお話しします。あなたが倒れた翌日、私たちは、アリアドネが今までやってきたことの証拠を持ってアリアドネに接触しました。」

~回想シーン~
監督生Side

私たちはエリーゼさん、いいえ、ロゼッタさんに毒をもった偽物ロゼッタに接触した。

クロウリー「シャーティーさん。お話があります。」

偽物ロゼッタ「私をこんな場所に呼び出していったい何のお話かしら。」

リ「昨日、エリーゼが突然意識を失った。その事件の重要参考人として話を聞かせてもらおう。」

偽物ロゼッタ「どうして私が重要参考人にならなくてはいけないの?エリーゼさんには昨日会っていないわ。」

クロウリー「今回の件もそうですが、あなた頻繁にエリーゼに暴力をふるっていましたね。教育者として見過ごすわけにはいきません。」

偽物ロゼッタ「私が暴力?そんなことするはずがありませんわ。」

ア「それではこれはどのように説明なさるつもりで?」

毒を盛ったことも、暴力をふるったことも認めないつもりらしい。だけど、アズール先輩がスマホに録音したとされるデータを聞いて、その表情は一変した。

偽物ロゼッタ『生意気な態度がむかつくのよ!!レオナ様に媚び売るなんて!!レオナ様の婚約者は私なの!立場をわきまえなさい!!』

エリーゼ『私は媚びなんて…』

偽物ロゼッタ『うるさい!!黙れ!!』

偽物ロゼッタ「そ、それは…誰かが私に成りすましてやったに違いありませんわ。」

「私は、あなたがエリーゼさんに暴力をふるっている姿をこの目で見ました。」

デュ「僕たちの声が聞こえて立ち去っていきましたよね。」

偽物ロゼッタ「それが、私だっていう証拠はあるのですか?」

自分がやったとかたくなに認めようとしない。学園長は話題を毒の方へと切り替えた。

クロウリー「エリーゼが意識を失った件なんですがね、迅速な対応を取ったことで、数日経過すれば、目が覚めるそうです。良かったですね。」

偽物ロゼッタ「私がそれもやったという口ぶりですわね。先ほども言いましたけれど、私はエリーゼさんにお会いしていないので毒を盛るなど不可能ですわ。」

ヴィル「あら、あなたなんでエリーゼが毒を盛られたって知ってるの?」

偽物ロゼッタ「そ、それは、生徒の皆さんが噂していましたわ。」

クロウリー「それはおかしいですねぇ。エリーゼの意識がなくなった原因は生徒の皆さんにはまだはっきりわかっていない。わかったら話すといったのですが。そうですよね。皆さん。」

学園長の言葉に全員がうなづく。

グ「おとなしく、自分がやったんだって認めるんだゾ!」

グリムがそう言うが、認めようとしない。

偽物ロゼッタ「私がやったという証拠はあるんですの!!証拠もないのに言いがかりはよしてくださいな!!」

犯人っていつもこういうのはなんでなんだろう・・・

クロウリー「最近、あの子自分の部屋に帰ってこようとしないんですよ。寮母の仕事があるとはいえ、いつもなら部屋に帰ってきて寝るはずなのに、最近は仕事をしている寮の空き部屋に泊まっている。おかしいと思いませんか?」

偽物ロゼッタ「そ、それと、証拠にどう関係があるんですの」

偽物は、明らかに動揺している。


クロウリー「エリーゼ以外にこの学園で働いている女性はいませんから、部屋に行くことは今まで躊躇っていたんですがね。ユウくんは学生といえど、女性ということで部屋に行ってきてもらったんです。」

「その部屋にはエリーゼさんのものは一切ありませんでした。」

偽物ロゼッタ「あなたになんでそんなことがわかるのよ!」

口調が変わっていることからも同様が見て取れる。

「私は以前、その部屋に行ったことがあります。以前行ったときとは全く別の部屋のようになっていたんです。」


エ「オレとデュースも一緒に行ったんスけど、そこで、コレ見つけちゃったんスよね。」

エースが取り出したのは、瓶。それを見た瞬間、偽物は目を見開く。

クロウリー「エース君が持っている瓶を調べました。そこに入っていたのは、エリーゼが飲まされたであろう毒の成分。それとあなたの指紋が残っていましたよ。観念しなさい。」

学園長はそういうと、魔法を知らない私はよくわからないが、拘束魔法のようなもので偽物を拘束し、成りすましていた顔も元の状態になった。

偽物ロゼッタ「私を陥れるための罠よ!!あなた達こんなことしていいと思っているの!お父様が黙ってないわ!!」

こんなことになってもまだ、自分はやってないと言い切れる根性がすごい。レオナ参拝でさえ、あの事件の時認めたというのに。そう思っていたときタイミングよく、カリム先輩たちが現れた。これで、あの人たちは終わりだ。

カリム「話は進んでるか?」

ジャミル「カリム、もうちょっと考えて部屋に入れ。お待たせしました皆さん。こちらの任務は完了しました。」

偽物ロゼッタ「何なのよ、あんたたち!!」

ジャミル「口のきき方に気を付けた方がいい。先日付でお前の家の貴族の権利は剥奪された。お前の両親は多くの悪行が明らかになり、今は牢屋の中だ。」

偽物ロゼッタ「な、なんですって」

声にはさっきのような勢いがない。

ジャミル「お前の家の権利は今眠っていらっしゃる本物のロゼッタ様のものだ。それに、他の貴族の方々もお前たちの家に味方する気はないということだ。」

カリム「父ちゃんたちも、お前たちの悪行を止めたかったけど、証拠がそろわなくて止められなかったって言ってたぜ。」

クロウリー「あなたは退学処分とします。熱砂の国の法律で罰を受けてください。」

事実を受け入れたのだろうか。アリアドネは何も話さなくなった。

~回想シーン Fin~

「そんなことが・・・」

クロウリー「今、アリアドネたちは熱砂の国の牢の中にいます。どうしますか?」

レ「お前のしたいようにすればいい。」

どうしようか悩んでいたとき、レオナさんが背中を押すような発言をしてくれた。


「会いに行きたいです。彼らに会わせて下さい。」

クロウリー「わかりました。そのように手配しましょう。」

そういうわけで、アリアドネたちに会うために、闇の鏡を用い、熱砂の国に行くことになりました。
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