深海の商人

エリーゼSide
お義父様にイソギンチャクになった生徒たちを助けるためにユウたちと協力してほしいって頼まれて、サバナクロー寮の仕事を終わらせて、こっちの寮に来たけど、ユウたちは…と探していたときグリム君の叫びが聞こえた。

グ「オイ、ちょっと待て!アザラシって?今のアザラシってオレ様のことか~~~!?」

ヒュウ~~~…

ウー風が冷たい!でもユウたちを見つけたわ!

グ「…ウウ、今日からこの寒空の下野宿かあ…辛いんだゾ。」

監「せめて屋根のある場所を探そうか。」

「ユウ、グリム君こんばんは。」

監「エリーゼさん!!こんばんは。」

「お義父様に貴方たちの手助けをしてほしいって頼まれてきたんだけど、どうして二人ともこんな寒い外にいるの?」

監「実は…」

「何ですって!?イソギンチャクになった生徒たちを解放させるためにアズール君と契約した!?それの担保にこの寮を差し出したっていうの!?こんな寒空の中契約期間の間、野宿しようとしてたなんて。」

監「ははは。」

驚きの声を上げる私を見て、ユウが苦笑いをしていたとき遠くから声が聞こえてきた。

デュ「おーい、監督生、グリム!あっ!エリーゼさん!なんでこちらに?今週はサバナクロー寮の担当じゃなかったでしたっけ?」

「こんばんは、デュース君たち。お義父様にユウを助けてあげてといわれてここに来たところだったの。あなた達もアズール君と契約したのね。まったくもう。」

グ「ふなっ?オマエたち、もしかして助けに来てくれたんだゾ!?」

エ「んー。グリムはともかく、監督生が宿無しになるのは、まあ、オレたちにも原因はあるし?野宿して風邪でもひかれると寝覚めが悪いっつーか。」

グ「オメー、ホント素直じゃねえなあ。」

デュ「エリーゼさん…契約してしまってすいませんでした。監督生、ローズハート寮長に、話はつけてある。僕たち1年生の4人部屋でいいなら雨風をしのげる場所は提供できるぞ。」

ハーツラビュルは退学者や留年者はいないし、空きはないはずだけど、どこで寝泊まりするのかしら‥と考えていたときジャック君が私と同じ疑問を口にした。

ジャック「おまえら、4人部屋にさらに1人と1匹を押し込めるつもりか?ハーツラビュルに空き部屋はねえのかよ。」

デュ「うちの寮は退学者も留年者もいないから常に満員状態なんだ。」

ジャック「…なら、サバナクロー寮に来るか?」

デュ&エ&グ「エッ!!!!??」

ジャック「アズールとの契約について行ってやると偉そうに言っておいて、結局何もできなかったからな。マジフト大会の時の借りもあるだろうし、レオナ先輩たちも断わりゃしないだろう。」

デュ「ほお~~~。」

エ「へえ~~~。ジャック君って実は優しいんだあ~~~。」

グ「意外な一面なんだゾ~~~。」

ジャック「か、勘違いするなよ!!次のテストのために監督生にはアズールとの勝負に勝ってもらわないと困るだけだ!」

この子本当にこの学校の子でしかもサバナクローなのかというくらい良い子だなあ、と感心する。

エ「はいはい。そういうことにしときましょ。」

デュ「ジャックの提案の方が、監督生たちもしっかり休めそうだしな。」

「私も今、サバナクローで寮母の仕事をしているし、ちょうどいいんじゃないかしら。」

エ「ウチの寮だと、床に寝るか、オレかデュースのベッドで一緒に寝るかになっっちゃうしねー。…あ、もしかしてそっちの方がいい?」

絶対そんなことさせられないと思ったとき、ユウはエース君の問いにすぐさま否定した。

監「じゃあ、サバナクロー寮にお世話になります」

ジャック「じゃあ、さっさと寮に戻るぞ。もう12時近いじゃねえか…ふぁあ…。」

「ジャック君は健康的でいいわね。他の子もジャック君みたいに早く寝てくれるといいんだけど…それに偽物のことも考えないと…」

最後の私の独り言は風の音にかき消され、デュース君たちは挨拶をし、寮へと帰っていく。

エ「んじゃ、また明日な。」

デュ「おやすみ。エリーゼさんもおやすみなさい。」

「エース君、デュース君、おやすみなさい。」
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