荒野の反逆者

エリーゼSide
だけど、グリム君のおかげで少し冷静になれた気がする…
とりあえずレオナさんに張り付いている化身を引きはがさないと…
でも、どうやって?その時、私が最初に契約を交わした上級精霊メリッサが私に声をかけた。

メリッサ『私が手伝ってあげてもいいわよ。あの子たちの魔力を底上げして何とかあの化身に近づけさせてあげる。あなたの力と私の力を合わせてね。』

エリーゼ『でも、それだけだとレオナさんに近づくだけ。全員やられてしまうかも…。』

ジャック「砂埃が邪魔だ…」

『ん?砂…!!』

「大地・・・あー!」

監「きゅ、急にそんな大声出して、どうしたんですか?エリーゼさん。」

「ああ、ごめんなさい。」

メ『あなた、思いついたらすぐに口に出す癖直しなさい…。』

『ごめんね、メリッサ。でも、ここなら大地の精霊が助けてくれるかも!』

メ『私だけでは何とかできないし、今回ばかりはしょうがないわね。上級精霊じゃなくていいんだからね!呼び出すのは!』

『わかってるよ。』

メリッサとその言葉を交わした後、私はみんなより前に出た。

ケ「ちょ、ちょっと!エリーゼちゃん危ないって!」

「私の声が聞こえるのなら答えてくださいっ、大地の精霊さん!!!いたのなら、出てきて!!!」

リ「何をして・・」

リドル君がそう言いかけた瞬間、レオナさんが出したものではない砂嵐が出現した。

ラ「っつ!?」

ジャック「何だ!?」

私の目の前に精霊が現れた。

『我が名はノーム。我を呼んだか?人の子よ。』

リ「ノームってあの大地の精霊の!?なぜエリーゼが?」

「説明は後程致します。ノーム!お願いします!あなたのお力をお貸しください!このままだと、レオナさんが…」

ノーム『其方にとって大事なものなのか?あの男は?』

「ええ。たとえ、どれほど対価をあなたに与えるとしても、あの人を助けたいの!」

メ『あなた、何を言ってるの!?ちょっとノーム、私たちの愛し子が力を貸せって言ってるんだから、貸しなさいよ。』

ケ「なんか増えた!?」

ノーム『そうか、其方は愛し子であったか。あいわかった。其方に力を貸そう。』

「ありがとうございます!後で、しっかり対価はお支払するので。ジャック君!先ほどのような狼の姿にもう一度なれますか?」

ジャック「な、なれるにはなれるが・・・いったい何を」

「私を乗せて、前に出てください!」

無茶なお願いだとはわかってる。怪我をするかもしれないし…

メ『あなたが危険な目に合う必要はないでしょ!私とコイツがいけばいい!』

ノーム『そやつの言う通りじゃ。愛し子よ。其方が無茶をする必要はない。』

反対されてるが、もう後には引けない。事態は一刻を争うのだから。ジャック君が狼になる前にやっておくことがあるわね。

『メリッサ、今から歌うわ。』

メ『もう、あなたって子はいつも無茶ばかりするんだから。後であのカラスに叱られなさい。』

『ふふふ。わかった。それじゃあ、いくよ!』

「♪♪♪♪♪」

ラ「なんだこれ…?腕が!?治った!?」

グ「力が漲ってくるんだゾ!」

「メリッサの癒しの力で、皆さんの魔力を増幅させました。さて、ジャック君。無理に狼になれとは言いません。あなたにも危険が及ぶかもしれませんから。」

ジャック「…やるよ。あんたがここまで腹くくってんだ、俺も腹をくくってやる!『月夜を破る遠吠え』!」

ジャック君はユニーク魔法で再び狼の姿へと変身した。グルルと私を見ながら言う。背中に乗れといってるのね。どうやら、狼の姿の間はしゃべれないみたい。可愛いわね。私がそれに頷きジャック君に乗ろうとした時、私のことをケイトさん呼び止めた。

ケ「レオナ君の魔法は強力だよエリーゼちゃん!やっぱりやめた方が…」

「レオナさんの暴走を止めるにはこれしかないと思います。」

リ「それ以外にも方法はあるはずだ!キミがいかなくったって…」

「私じゃなきゃいけないんです!”今”やらなくてはいけないんです!」

その言葉を発したとき、ラギー君は笑いだした。

ラ「シシッ!あー、面白。エリーゼちゃん、サイコーッスねえ。いいッスよ。砂嵐のフォローは俺がするッス。任せるッスよ。」

そういってまたラギー君は笑った。

リ「…しょうがないね、キミって子は。」

ケ「リドル君の言うとおりだよ。ま、エリーゼちゃんとジャック君に攻撃が当たらないように、攻撃はオレらがはじいてあげる。」

「皆さん…ありがとうございます!」

私は今度こそジャック君の背中に乗り、彼に向かってこう告げた。

「ジャック君、レオナさんのところへギリギリまで近づいたら、私を彼の方に向かって振り落としてください。」

ギャン!?と驚いたような声を出すジャック君。今のは「何言ってるんすか、あんた」みたいな感じだろう。

「そのあとは私とノームで何とかします。お願いです。」

ジャック「…ガルル」

彼は渋々といった感じの様子で鳴き、頷いた。お礼のつもりで銀色の毛並みをなでると耳がピクリと動き、足踏みを始めた。走るぞという意図が分かったので姿勢を低くする。走り出したと同時に砂嵐が襲い掛かってきた。

リ「そうはさせないよ!」

ラ「あんたの好きにはさせないッス!」

皆が背後で援護してくれる…本当にみんなありがとう。
そんな気持ちをかみしめていると、私たちはレオナさんの目の前まで迫っていた。

「ここでいい!おろしてください、ジャック君!」

私がそういうと、ジャック君は遠吠えをし、私を空中へ飛ばした。


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