荒野の反逆者

~サバナクロー寮 マジフト場~
エリーゼSide

ラ「はーはー…レオナさん、やりましたよ!中継見てたッスか?」

レ「ああ、上出来だラギー。あばよマレウス。今年の王の座は俺がもらう。」

ラ「へへ、王様バンザイ!シシシッ!」

サバナ寮生たち「王様バンザイ!ヒューッ!!」

リドルたち「話は聞かせてもらったよ。」

ラ&レ「!?」

レ「これはこれは、ハーツラビュル寮の皆さんがお揃いで。それにそこにいるのはウチの1年坊じゃないか。ハーツラビュルに転寮したのか?」

ジャック「オレはただ、今のあんたたちと肩を並べたくねぇだけだ。」

レ「この裏切りもんが!」

リ「伝統ある試合を汚す行為。”厳格”をモットーとするハーツラビュルの寮長として、見逃すわけにはいかない。」

レ「あのなあ、お坊ちゃんがた。正義のヒーローごっこはよそでやってくれないか?」

ラ「わざわざ敵の真っただ中に少人数で乗り込んでくるなんて、酔っちゃてるッスねぇ~!」

サバナD「レオナさん、やっちまいますか?」

レ「フン。軽く遊んでやれ。」

リ「『首をはねろ!』」

サバナD「ぐっ…つ、強ぇえ…」

サバナE「寮長クラス、半端ねえ…」

リ「ふん。口ほどにもない。エース、デュース。まだやれるね?」

エ「全然、ヨユー。」

デュ「もちろんです!」

レ「チッ…やっぱりコイツらじゃリドルの相手は無理か。」

ラ「シシッ!でも、こんなことをしたってどうせディアソムニアのヤツらはもう手遅れッス!」

小柄な男「ほほう?それは興味深い話じゃ。」

長身の男「誰が手遅れだと?」

銀髪の男「このとおり、俺たちディアソムニア寮の選手には怪我1つない。そいつらのお陰でな。」

ラ「えっ!?あれっ!?お前らはさっき、群衆の群れに飲み込まれたはず…」

ケ「ざーんねん!あれはオレのユニーク魔法『舞い散る手札』で増えて変装したオレ君たちでした!」

「さらに私が、ディアソムニアの選手が危ないというアナウンスをしたことで、あなた達の作戦が成功したという誘導を誘ったんです。」

レ「なんだと?」

ケ「オレ、ディアソムニアの寮服ちょっとあこがれてたんだよね~。着られてラッキーみたいな♪後でマジカメに上げよっと。」

リリア「なんじゃ。そういうことならわしの寮服も貸してやったのに。」

ケ「リリアちゃんのはオレにはちょっとキッツいかなぁ・・」

レ「オイ、この茶番はどういうことだ?」

リリ「リドルやエリーゼから話を聞いてな。一芝居打たせてもらった。」

ラ「じゃ、じゃあ…マレウスは?」

セべク「もちろんご健在だ!先ほどの群衆の混乱も、すべての人間をコロシアムまで安全に魔法で誘導してくださった。感謝しろ!」

ラ「そ、そんなのアリッスか!?」

レ「…あー、もういい。」

少し沈黙した後、彼はこう告げた。もう何もかもどうでもいいようなそんな目をしている。

ラ「えっ?」

レ「やめだ。やめ。」

ラ「ちょ、レオナさん?それってどういう…」

レ「バーカ。マレウスが五体満足で試合に出るなら俺たちにも勝ち目があるわけねぇだろうが。そんな試合に出たって意味ねぇよ。俺は降りる。」

ぶっきらぼうに彼はそう言う。計画を立て、実行させたのはあなたなのに。あなたには力があるのに…気づいていないの?
そして、レオナさんのその言葉で、サバナクローの生徒たちの顔は曇りだした。

ラ「そ、そんな!マレウスはともかく、他寮の有力選手はみんな潰してきたじゃないッスか。なのに、レオナさんが出ないなんて3位にだってなれるかどうか…オレたちの夢はどうなるんスか?」

レ「どれだけ世界が注目していようが所詮は学生のお遊びだ。お前らが目ぇキラキラさせて夢語ってんのが可笑しくて、少し付き合ってやっただけだろ。」

ラ「なんで…?オレたちで、世界をひっくり返すんじゃなかったんスか!?」

レ「キャンキャンうるせえな…じゃあ本当のことを教えてやるよ。お前はゴミ溜め育ちのハイエナで俺は永遠に王になれない嫌われ者の第二王子!何をしようが、それが覆ることは絶対にねぇ!」

ハッキリと、冷たく言い放つ。でもどこか悲しそうな顔。覆ることはないって諦めてしまったから?私はやっぱり彼の気持ちにより添えていなかった…

ラ「ふ…ふざけんなよ!なんだよそれ!ここまできて諦めるなんて…」

サバナD「そりゃあんまりだ、レオナさん!」

サバナE「ぶん殴ってでも試合に出てもらうぜ!」

「…どうして」

レ「…あ?」

「…どうして、全てを諦めたような目をしているんですか?あなたは・・」

レ「ああ…面倒くせぇ。黙れよ雑魚ども!」

私の言葉を遮って彼はああ言った。そして私をにらみつける。

ーポタポタッー

ああ、この音はあなたのだったのね。あなたの苦しみに気づけなくてごめんなさい…

「っう…!?はぁ、はぁ…」

エ「っ!?大丈夫ですか!?」

デュ「エリーゼさん!?」

しゃがみ込む私に駆け寄るエース君たち。そのとたんあたりの空気がガラッと変わった。
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