荒野の反逆者

ジャック「…」

レ「こんな夜更けに何の用だ?ホームシックで子守唄でもねだりにきたのか?」

ラ「オレが歌ってやろーか?シシシッ!」

ジャック「理由が知りたい。アンタたちは、何故こんなことをする?」

レ「なるほど。寝物語をご所望か。いいぜ、話してやるよ。俺たちは2年連続でマレウス率いるディアソムニア寮とトーナメント1回戦でぶつかった。ー結果、初戦敗退。優勝常連、敵を力でねじ伏せてきたサバナクロー寮がまるで目も開いてねぇ仔猫みたいな有様だった。その無様な姿が全世界に放映されちまったわけだ。結果、どうなったと思う?寮長は無能の烙印を押され、サバナクロー寮へのプロリーグや一流企業からのスカウトはゼロになった。」

ジャック「それは…自分たちの力が足りなかったせいで…」

レ「お前の言う通りだ。去年までの俺たちは、本当の意味で人事を尽くしていなかった。バケモノ相手に真っ向勝負を挑むなんざ考えなしの馬鹿のやることだ。敗けるとわかってるのに、何の策も講じないなんて。百獣の王の不屈の精神に基づくサバナクロー寮が聞いてあきれるよなァ。」

ジャック「だからって、あんな闇討ちみてぇな卑怯な真似をするのは、間違ってる!」

レ「間違ってる?ジャック…俺はな、お前たち寮生のことを一番に考えてやってるんだぜ?マレうすを打ち破り、今までの雪辱を果たせば世間のサバナクロー寮への評価は回復するだろう。今年勝てなければ、マレウスは殿堂入り選手になることが決まってる。これが最後のチャンスなんだ。それをテメェは安い正義で潰すって?お前は先輩たちの未来を台無しにしたいのか?」

ジャック「そ、それは・・・!」

レ「頭を使って獲物を追い込むのは狩りの基本だ。卑怯でもなんでもねぇ。」

ラ「シシシッ!この学園は弱肉強食。イイコちゃんなだけじゃ生き残れねぇってことッスよ。」

ジャック「寮長、あんたが本気を出せば十分ディアソムニア寮と戦えるはずだ!3年前のあんたのプレイ、今でも覚えてる。俺は…っ!」

レ「新入りが知った口を利くんじゃねぇ!本気を出せ?馬鹿馬鹿しい。本気になったところで、何も変わらねぇよ。…失せろ。明日の朝日が拝みたいならな。」

ジャック「…」

ラ「アイツ、危険ッスね。オレ、やっちまいましょうか?」

レ「まぁ、待て。どうせアイツがクロウリーたちにチクったところで証拠はなにもない。それに、アイツの能力は潰すのには惜しい。動向だけしっかり見張っておけ。」

ラ「うぃッス。」

レ「…チッ、あの1年坊…兄貴みてぇなこと言いやがって。」

~レオナSide~
草食動物どもとやった試合、アイツも見てたな。試合を止めさせた時のアイツのウルウルした目が頭から離れねえ。クッソ。だが、ここまで来たからには引き返すわけにいかねぇ。アイツに嫌われてもいい。俺は…2番目なんかじゃないって証明してやる。
                        ~レオナSideFin.~
~エリーゼSide~
サバナクロー寮を訪問した時、レオナさん中心とする寮生たちは皆、狩りを楽しんでいるように見えた。サバナクロー寮生たちにとって、この世は弱肉強食。でも…
多分レオナさんは、2番目だってことと、ユニーク魔法のことでいろいろとあったはず。この気持ちは理解しえないもの。私に止められる自信はない…
今お義父様に報告したところで何も証拠がないし…
明日からどうしようかしら…

ポタポタっ…
ブロットの溜まる音?やっぱり何かが起こることは間違いない!それがあの方が関係しているということも…
                       ~エリーゼSideFin.~
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